Yahoo広告のABテストは、検索広告やディスプレイ広告のパフォーマンスを改善する効果的な手法です。
A/Bテストでは、異なるパターンの広告を同時に配信し比較できるため、どの要素がより成果を上げるかを明確に判断できます。
本記事では、初めてYahoo広告のABテストに取り組む方向けに、基本からメリット、具体的な設定手順・確認方法、効果的な実施のポイントまでをわかりやすく解説します。ぜひ、参考にしてみてください。
目次
Yahoo広告のABテストとは
A/Bテストは、複数の広告バージョンを比較して「どちらがより効果的か」を客観的に検証できる手法です。
名前からは2つのパターンを比較するイメージがありますが、実際には3つ以上の異なるバージョンを同時に検証も可能です。
まず、Yahoo!ディスプレイ広告では2022年にA/Bテスト機能が公式に追加されました。そして、広告の配信機会を均等に分割した環境で、正確な効果比較ができるようになりました。
この機能の重要なポイントは、「配信機会」を均等化するものです。決して、実際のインプレッション数が同じになるわけではない点です。そのため、オークション結果によって最終的な表示回数は変わります。
これまでのA/Bテスト実施方法では、期間をずらして比較する場合は季節要因などの影響を受け、別キャンペーンで同時配信する場合はターゲティングの重複によるオークションへの干渉が問題でした。しかし、新機能では、これらの外的要因の影響を極力抑えた正確な比較が可能になりました。
A/Bテストで効果検証する代表的な要素は、次の4つです。
- 広告テキスト
- 画像
- キーワード
- リンク先のランディングページ
これらの要素を体系的にテストして最適化することで、広告キャンペーン全体のパフォーマンス向上につながります。
Yahoo広告のABテストをおこなうメリット
Yahoo!広告でA/Bテストをおこなうメリットは、下記のとおりです。
- 低コストで手軽におこなうことができる
- コンバージョン率の向上につながる
- ランディングページの改善に役立つ
では、それぞれ解説します。
低コストで手軽におこなうことができる
まず、A/Bテストの大きなメリットは、最小限の投資で広告効果を段階的に改善できる点にあります。
テストで変更する部分は広告テキストや画像など比較的小規模な部分が中心になります。そのため、期待した結果が得られなくても、全体の広告パフォーマンスへの悪影響は限定的です。
また、テスト実施や分析では、Yahoo!広告が提供する標準機能を追加費用なしで活用ができます。よって、専門的な外部ツールに投資する必要もありません。これにより、リスクを最小化しながら効果検証を繰り返し実施することが可能となります。
コンバージョン率の向上につながる
次にA/Bテストの実施は、広告のコンバージョン率向上に直接的な効果をもたらします。
複数のクリエイティブや広告要素のうち、どのバージョンが最も顧客の行動変容をすかをシステマチックなテストプロセスを通じて検証できるからです。
購買意欲の高いターゲット層に効果的に訴求できる広告表現を特定することで、クリック数ではなく、実際の成約や申し込みなどの価値ある行動に結びつきやすくなります。
ランディングページの改善に役立つ
ランディングページの改善は、多くの時間とリソースを必要とします。そこで、A/Bテストを活用することにより、本格的な改修作業に着手する前にどのデザイン要素やコンテンツが効果的かを事前に把握できます。
例えば、ヘッダー部分のレイアウト、CTAボタンの色や位置、フォームの入力項目数、価格表示方法など。ユーザー体験に影響を与えるさまざまな要素の最適な組み合わせの特定が可能です。
この予備検証アプローチにより、何度も修正と再構築を繰り返す非効率な開発サイクルを避けられます。よって、初回から高いパフォーマンスを発揮するランディングページを作ることができます。
Yahoo広告でABテストを実施する際の準備
Yahoo!広告でA/Bテストを実施する際は、次の3つの準備が必要です。
- 目的・目標を明確にする
- 仮説を立てる
- 予算を決める
では、それぞれ解説します。
目的・目標を明確にする
まず、効果的なA/Bテストを実施するための第一歩は、テストを通じて達成したい明確な目的を設定することです。あらゆるマーケティング施策と同様、目標があいまいなままテストを開始すると、得られた結果の解釈や次のアクションにつなげることが困難になります。
例えば、ブランド認知度の向上を目指す場合と具体的な商品購入を促進したい場合。検証すべき広告要素や評価指標が異なります。
認知向上のためには印象的なビジュアルやメッセージが重要になります。一方、コンバージョン獲得では商品の具体的な価値や特典を強調する必要があるでしょう。
テストの方向性を決定づける目的・目標設定は、のちの工程すべての基盤となります。そのため、チーム内で十分に議論し、具体的な数値目標を含めて明確化する必要があります。
仮説を立てる
次に、A/Bテストの効果を最大化するためには、要素を変更するだけでなく、「なぜその変更が効果をもたらすと考えるのか」という明確な仮説を立てることが重要です。
仮説とは、目標達成のために特定の要素がどのように貢献するかの論理的な予測です。これは、テスト結果を評価する際の基準となります。
訪問者数は多いものの購入に至るケースが少ない場合。「商品の価値がユーザーに十分伝わっていない」という仮説を立て、商品説明の表現方法や配置を改善するとよいでしょう。
また、ランディングページの直帰率が高い場合。、「ファーストビューの情報がユーザーの期待と一致していない」という仮説が立てられます。これにより、ヘッダー画像やキャッチコピーのバリエーションをテストすることが考えられます。このように、仮説に基づいたテスト設計によって、戦略的な意思決定が可能になります。
予算を決める
続いて、A/Bテストを実施するうえで見落としがちな準備が、適切な予算設定です。
信頼性の高いテスト結果を得るには、統計的に有意な量のデータを収集する必要があります。そのためには、十分なサンプルサイズを確保できる予算が求められます。
特にコンバージョン率の向上を目的としたテストの場合。少なくとも各バージョンで100件程度のコンバージョンデータを集めるのが理想的です。適切な予算は、過去の実績から算出したコンバージョン獲得単価に必要サンプル数をかけることで導き出せます。
例えば、コンバージョン単価が5,000円で100件のデータを得たい場合。少なくとも50万円の予算確保が必要ということになります。予算不足によるデータ不足は誤った結論につながる可能性があります。そのため、テスト開始前に十分な予算を確保しておくとよいでしょう。
Yahoo広告のABテストの設定方法
さて、ここではYahoo!広告のA/Bテストの設定方法を、検索広告の場合とディスプレイ広告の場合にわけて紹介します。
検索広告の場合
検索広告の場合、次の手順で設定をおこないます。
①広告管理ツールで検索広告のアカウントを表示する。
②ツールをクリックし、「A/Bテスト」を選択する。
③「A/Bテストを作成」ボタンをクリックする。
④必要情報を入力する。テスト名、対象キャンペーン(AとB)、テスト期間(最大3ヵ月)、説明は任意。
⑤入力後、「作成」ボタンを押します。
テストが作成されるとA/Bテストの一覧に表示されます。テスト名をクリックするとテスト詳細画面が表示され、作成したテストの詳細を確認できます。
参照元:A/Bテストを作成する【検索広告】 – Yahoo!広告ヘルプ
ディスプレイ広告の場合
ディスプレイ広告の場合、次の手順で設定をおこないます。
①A/Bテストに設定するそれぞれのキャンペーン、広告グループ、広告を作成しておく。
②広告管理ツールで「ツール」>「A/Bテスト」を選択する。
③「A/Bテストを作成」ボタンをクリックする
④必要情報を入力する。テスト名、対象キャンペーン(AとB)、テスト期間(最大3ヵ月)、説明は任意。
⑤完了後「作成」をクリックする
作成したテストが一覧に表示され、テスト名をクリックすると詳細が確認できます。
Yahoo!広告のA/Bテストの確認方法
ここでは、Yahoo!広告のA/Bテストの確認方法を、検索広告とディスプレイ広告それぞれの場合で紹介します。
検索広告の場合
検索広告でのA/Bテスト結果は、通常の広告分析と同じ方法で確認できます。具体的には、キャンペーン一覧画面から各広告の成果を比較分析します。
Yahoo!の検索広告には専用のA/Bテスト機能が搭載されていません。そのため、テスト後の最適化作業はすべて手作業でおこなう必要がある点に注意が必要です。
ディスプレイ広告の場合
確認する際は、パフォーマンスレポートからおこないます。
①管理画面から「レポート」をクリックする
②「レポート・テンプレート作成」をクリックする
③任意のレポートを作成して結果を確認する
自動入札キャンペーンを評価する際は、「学習中」の表示が出ている間は正確な結果が得られません。この表示が完全に消えるまで待ってから、テスト結果の分析・評価をおこないましょう。
Yahoo広告のABテストを効果的におこなうポイント
Yahoo!広告のA/Bテストを効果的におこなうには、次の4つのポイントを押さえておくことが重要です。
- CV数の多いキャンペーンからテストを実施する
- 少ないデータで結果を判断しない
- テストの条件を途中で変更しない
- A/Bテストを繰り返しおこなう
では、それぞれ解説します。
CV数の多いキャンペーンからテストを実施する
A/Bテストを実施する際は、コンバージョン数が多く実績のあるキャンペーンから着手すると効果的です。データ量が豊富なキャンペーンでテストをおこなうことで、統計的な信頼性が高い結果を得られるからです。
例えば、月間で10件のコンバージョンしか発生しないキャンペーンと、100件以上発生するキャンペーンでは、後者のほうが信頼性の高い検証が可能になります。
また、コンバージョン数の多いキャンペーンはすでに一定の成功を収めています。そのため、さらなる改善は費用対効果が高くなりやすいメリットもあります。
少ないデータで結果を判断しない
A/Bテストで統計的に意味のある結果を得るためには、十分なサンプル量が必要です。
数日間のデータだけでテストをおこなうと、一時的な変動や偶然の要素に左右された誤った結論を導き出してしまう危険性があります。
特にコンバージョン率の改善を目的としたテストでは、少なくとも各バリエーションで50~100件程度のコンバージョンデータを収集することが望ましいとされています。
また、週末と平日でユーザー行動が異なる場合もあります。そのため、少なくても1~2週間、理想的には1ヵ月程度の期間をかけてデータを収集することで、より信頼性の高い結論を導くことができます。
テストの条件を途中で変更しない
A/Bテストの信頼性を保つために重要なのは、テスト期間中に条件を変更しないことです。テストの途中で広告文を修正したり、ターゲティング条件を調整したりすると、どの変更が結果に影響を与えたのか判別できなくなります。
どうしても条件を変更する必要がある場合。現在のテストをいったん中止し、新たなテスト設計から再スタートしましょう。
A/Bテストを繰り返しおこなう
A/Bテストは一度実施して終わりではありません。継続的な改善プロセスの一部としてとらええることが重要です。そのため、初回のテストで得られた知見をもとに次のテスト仮説を立て、段階的に広告パフォーマンスを最適化していく反復的なアプローチがおすすめです。
例えば、最初に広告のヘッドラインを最適化する。次に画像要素、その後CTAボタンの色や文言。というように、一つずつ要素を改善していくことで複合的な効果を得られます。
また、環境やユーザーの好みは常に変化しています。そのため、かつて効果的だった訴求ポイントが時間の経過とともに効果を失うこともあります。
定期的なテストを通じて最新のトレンドに対応し、常に最適な広告表現を追求することが、長期的な広告効果の維持・向上につながります。
まとめ
Yahoo!広告のA/Bテストは、広告効果を客観的に検証し最適化するための手法です。効果的なテストの実施には、明確な目標設定、データに基づいた仮説立案、十分なサンプル数の確保が重要です。
また、コンバージョン数の多いキャンペーンから優先的に実施し、テスト条件を途中で変更しないことで信頼性の高い結果が得られます。
A/Bテストを継続的な改善サイクルとして取り入れることで、広告投資の効率化とコンバージョン率の持続的な向上を実現できるでしょう。