WEB広告にはさまざまな指標が存在しますが、なかでも「リーチ」は広告がどれだけ多くのユーザーに「届いている」かを示す重要なものです。しかし、リーチとはどのような指標なのか、またどうやって確認したらいいのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、WEB広告におけるリーチについて、その概要や混同されやすい用語との違いを解説し、リーチ数の確認方法などを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
リーチとは?
「リーチ」は、目的・目標に対して届く範囲や広げられる距離を意味し、WEB広告においては、配信した広告やコンテンツに触れたユーザーの数・割合を指すマーケティング用語として使われています。マーケティングにおいて、リーチはWEB広告の成果を測る重要な指標の一つです。
リーチを高めることで、より多くのユーザーに広告が届き、認知度向上や顧客の獲得、売上の増加などに効果があります。
混同されやすい他のマーケティング用語との違い
リーチと混同されやすいマーケティング用語として挙げられるのは、下記の4つです。
- インプレッション
- フリークエンシー
- エンゲージメント
- PV
それぞれ解説します。
インプレッション
「インプレッション」とは、広告やコンテンツが表示された総回数のことです。あるユーザーに同じ広告が何度も表示された場合、その都度インプレッションとしてカウントされます。
一方、リーチにおいては、あるユーザーに同じ広告が何度も表示されても1回としてカウントされます。似ている内容なので混同しやすいですが、違いを把握しておくことが重要です。例えば、1人のユーザーに対して広告が10回表示された場合、インプレッションは10、リーチは1となります。
フリークエンシー
「フリークエンシー」は、1人のユーザーに対して広告やコンテンツが表示された回数を指します。広告やコンテンツを見たユーザーの「数」を指すリーチとは異なる点に注意が必要です。1人のユーザーに10回同じ広告が表示された場合、フリークエンシーは10、リーチは1となります。
エンゲージメント
「エンゲージメント」は、広告に対するユーザーの反応のことで、「いいね」やコメントなどが含まれます。リーチが単に広告が表示された数を示すのに対し、エンゲージメントはユーザーがどれだけ広告に興味を持ってアクションを起こしたかを示す重要な指標です。リーチやインプレッションを確認する際は、エンゲージメントも併せて確認するとよいでしょう。
PV
「PV」(ページビュー)は、特定のWEBページが閲覧された回数を表します。リーチは広告やコンテンツに焦点を当てていますが、PVはWEBページの閲覧回数を示す指標です。リーチとPVは異なる尺度のため、注意が必要です。
各広告媒体におけるリーチの定義と確認方法
リーチの定義や確認方法は、各広告媒体によって異なります。ここでは、主な広告媒体におけるそれぞれのリーチの定義と確認方法を紹介します。
Googleでのリーチは、Googleネットワークの検索結果ページや他のサイトに広告が表示されたユーザーの総数と定義されています。広告が表示された端末が異なっていてもリーチ数は1となり、例えば、1人のユーザーがパソコンとスマートフォンで広告を見た場合、ユーザー数とリーチ数ともに1とカウントされます。
参考元:リーチとフリークエンシーを測定する|Google広告 ヘルプ
Googleでリーチを確認する手順は、下記のとおりです。
- 管理画面の「表示項目」から「表示項目の変更」をクリックする
- 表示項目の一覧から「リーチの指標」内の「ユニークユーザー数」を選択し、管理画面の項目にリーチの項目を追加する
※関連記事:Google広告のレポート機能の種類や設定方法など徹底解説
Yahoo!JAPAN
Yahoo!JAPANでのリーチは、指定した期間内で1回以上の「ビューアブルインプレッション」が発生したユニークユーザーの人数(=端末数)です。
ビューアブルインプレッションとは、ディスプレイ広告の表示回数に関する指標で、ユーザーの目に見える範囲に表示されたインプレッションを指します。Yahoo!広告においては、静止画・動画ともに広告面積の50%以上が画面に連続で1秒以上表示されたときをインプレッションとしています。
ユニークユーザーの人数(=端末数)とされているように、Yahoo!JAPANのリーチは端末ごとにカウントされるのが特徴です。そのため、ユーザー数とは異なる可能性があります。例えば、1人のユーザーがパソコンとスマートフォンで同じ広告を見た場合、ユーザー数は1、リーチ数は2となります。
参考元:リーチとは?混同しやすい用語との違いやリーチを高める方法を解説|LINEヤフー for Business
Yahoo!広告でリーチを確認するにはレポートの作成が必要です。管理画面の「レポート」タブから「+レポート・テンプレート作成」をクリックするとレポートの種類が一覧で表示されます。下にある「リーチレポート」を選択して「リーチ」を含んだレポートを作成しましょう。
※関連記事: Yahoo!広告の管理画面の使い方を徹底解説!
Meta(Facebook&Instagram)
FacebookやInstagramを含むMetaでのリーチは、広告が画面に表示されたユーザーの数(=アカウント数)と定義されています。Metaのリーチの特徴は、所有しているアカウント数やアカウントセンターでの連携状況によってカウント数が影響を受ける点です。
あるユーザーがFacebookとInstagramでそれぞれ同じ広告を見た場合、FacebookアカウントとInstagramアカウントがアカウントセンターで連携されていればリーチは1です。また、連携されていなければ、リーチは2とカウントされます。
Meta広告(Facebook広告)の場合、デフォルトの項目でリーチの確認が可能です。確認できない時は、管理画面上の「列」から「パフォーマンス(デフォルト)」を選択しましょう。
※関連記事: Meta広告(Facebook広告)とは?運用方法や特徴を簡単解説
LINE
LINEでは、クリエイティブを100%表示したユニークユーザーの数をリーチとして定義しています。指定した期間内での新規リーチ数を推定値としてカウントし、例えば同じアカウントで広告を複数回見た場合、リーチは1です。
参考元:よくあるご質問 | LINE for Business
LINE広告では、管理画面の「表示項目」をクリックすると表示項目の一覧が表示されます。「リーチ」を選択すると管理画面にリーチ数が反映されるため、確認することができます。
※関連記事: LINE広告とは?運用方法や特徴を簡単解説
X(Twitter)
X(Twitter)においてのリーチとは、タイムライン上に広告が表示されたユーザーの数のことです。リーチ数は推定データとなりますが、同じユーザーに広告が10回表示されてもリーチ数は1とカウントされます。
X(Twitter)広告での確認方法は次のとおりです。
- 管理画面の「データ」をクリック
- 「データセット」にある「リーチとフリークエンシー」を選択
WEB広告でリーチを増やすには?
WEB広告でリーチを増やすには、下記の5つのポイントを押さえておくとよいでしょう。
- 配信するターゲットを拡大する
- 曜日や時間帯を指定して広告配信をおこなう
- 質の高い広告クリエイティブを作成する
- 競合の少ないキーワードで出稿する
- 広告費を増やす
それぞれ解説します。
配信するターゲットを拡大する
配信するターゲットの拡大によって、より多くのユーザーに広告を届けることが可能です。ターゲットを拡大する方法としては、年齢や性別、居住地域、興味関心の条件を追加する、また、リターゲティングやオーディエンスターゲティングを利用するなどが挙げられます。
特に、居住地域や年齢の設定を、ベースに近いターゲットに向けて広げるようにすると、無関係なユーザーへの配信リスクを抑えてリーチを増やすことができるでしょう。
また、リーチが少ない原因として、ターゲティングが誤っているケースも考えられます。ターゲティングの条件が間違っていたり、条件を絞り込み過ぎていたりなどの場合はもちろん、そもそもターゲットとなるユーザー像を明確に把握できていないこともあります。条件を見直し、適切にターゲティングしたうえで、拡大を検討するのがおすすめです。
曜日や時間帯を指定して広告配信をおこなう
ターゲットユーザーがオンラインで活動している特定の曜日や時間帯に広告を配信することで、リーチの向上が見込めます。
例えば、ビジネス向けの商品をWEB広告でPRする場合、BtoBかBtoCかによって効果的なタイミングが異なります。BtoBの場合、ビジネスにおいては仕事中に情報の収集が一般的のため、平日の9?18時の時間帯に広告を配信すると注目されやすいです。
一方、BtoCの場合、仕事以外の時間にインターネットを閲覧するユーザーが多いことから、仕事が終わった夕方から夜の時間帯や、仕事が休みの土日祝日に広告配信をおこなうと効果的です。ユーザーの行動パターンを分析し、最適な配信タイミングを見つけることがポイントです。加えて、各SNSの利用状況に合わせたタイミングを考慮することも重要です。
質の高い広告クリエイティブを作成する
質の高い広告クリエイティブは、ユーザーの目をひきつけ、リーチ向上に効果が見込めます。また、リーチに期待できるだけでなく、その後の商品購入・サービス契約などのコンバージョンにもつながりやすいです。
広告クリエイティブの作成には、ターゲット層のニーズや興味関心を把握したうえで、訴求ポイントを明確にすることが大切です。注目されやすい要素やわかりやすいコピーを工夫して、ユーザーに印象を残す広告を作成しましょう。魅力的な画像や動画を作成するにはデザイナーが必要ですが、社内にいない場合は、デザイン専門の会社などに依頼するとよいです。その場合、丸投げするのではなく、お互いの意見を出し合ったり要望をすり合わせたりしながら進めていくことが重要です。
競合の少ないキーワードで出稿する
競合が激しいキーワードでの広告出稿では、枠の獲得が難しく、表示が困難になります。そのため、競合の少ないキーワードを見つけ、それを活用することでリーチ拡大が期待できます。
ただし、競合が少ないということはユーザーのニーズも少ない可能性が高く、キーワードが検索される回数自体が低いかもしれません。広告枠を獲得できてもリーチ数が伸びない、ということにならないよう、キーワードの検索ボリュームやユーザーニーズもしっかり考慮して、出稿するキーワードを決める必要があります。
広告費を増やす
広告への予算が制約されていると、広告を出稿できる回数も限定されてしまいます。リーチ数が減少する原因にもなるため、広告費を増やすことの検討をおすすめします。
この場合、ただ増やすだけでなく、適切な広告予算の設定が必要です。まずは、自社の目標に対して適切な広告費を確保できているか確認しましょう。そして、必要であれば予算を増額し、その効果をしっかり検証することが大切です。
まとめ
「リーチ」は、マーケティングにおいてWEB広告の成果を測る重要な指標の一つです。リーチと混同しやすい言葉として、インプレッションやフリークエンシー、エンゲージメント、PVなどがありますが、これらとの違いを理解しておくとよいでしょう。
また、リーチの定義は、GoogleやYahoo!JAPAN、Metaなど、広告媒体ごとに異なるため、運用している媒体において確認しておくことも大切です。リーチを向上させるためには、配信するターゲットを拡大する、曜日や時間帯を指定して広告配信をおこなう、などのポイントを押さえておくとよいです。
WEBマーケティングを成功させるには、リーチを意識した施策の検討をおすすめします。ぜひ、今回の記事を参考にして、リーチについて把握し、効果的な活用を検討してみてはいかがでしょうか。