WEB広告を運用していると、定番の手法として「リターゲティング広告」「リマーケティング広告」という言葉をよく目にします。この2つの言葉は似ていますが、どのような違いがあるのか、またどのように活用するのか知りたい方も多いかもしれません。
そこで今回は、今さら聞けない双方の違いや、リターゲティング広告の設定方法から効果的な活用方法まで詳しく解説していきます。
リマーケティング・リターゲティングとは
「リマーケティング」または「 リターゲティング」とは、ユーザーが一度訪問したサイトや閲覧した商品・サービスに関連する広告を他のサイトに表示し、再訪問を促す配信手法のことです。
Yahoo!JAPAN!を開いたら、トップページに一度訪れたサイトの広告が出てきた、という経験がある方も多いでしょう。このようにリマーケティング・リターゲティングは、GoogleやYahoo!JAPAN!、Facebookなどのさまざまな広告媒体での利用が可能で、ユーザーの購買意欲を高めたり、カート放置などの離脱を防いだりする効果があります。
リマーケティング・リターゲティングの違い
それでは、リマーケティングとリターゲティングはどう違うのでしょうか。リマーケティングとリターゲティングは基本的に同じ意味を持っています。そのため、同様の追従型広告として使われる場合が多いですが、広告の掲載先となるサービス提供元によって呼び名が異なります。
- Google:リマーケティング
- Yahoo!JAPAN!:サイトリターゲティング
- Facebook:リターゲティング
- Criteo:リターゲティング
- BLADE:リターゲティング
リマーケティングと呼ぶのはGoogleのみで、他の媒体ではリターゲティング(サイトリターゲティング)と呼んでいることがわかります。
リマーケティング・リターゲティングの仕組み
リマーケティング・リターゲティングの仕組みは、Cookie(クッキー)によって成り立っているといえるでしょう。Cookieとは、WEBサイトを閲覧した際、閲覧したパソコンやデバイスに保存される情報のことです。
大まかな仕組みとしては、特定の広告用タグをサイトやページに埋め込むことで来訪したユーザーにCookieが付与され、そのCookie情報をもとに広告が配信される流れになります。Cookieには、ユーザーの識別番号や訪問したサイト・ページのURLなどが記録されており、ユーザーが他のサイトやSNSを閲覧した際に情報が読み取られます。
Cookie情報と広告主が設定した条件に基づいて、関連する広告が表示されます。その広告を見たユーザーが興味を持ち、クリックして再び元のサイトやページに戻ることが期待されます。
リマーケティング・リターゲティングのメリット
リマーケティング・リターゲティングには主に下記の3つのメリットがあります。
- 訪問履歴のあるユーザーへ再アプローチが可能
- ザイオンス効果(単純接触効果)が期待できる
- 比較・検討期間中の人にもアプローチが可能
ここからはリターゲティングに表記を統一し、それぞれ解説していきます。
1.訪問履歴のあるユーザーへ再アプローチが可能
リターゲティング広告は、サイトに訪れたことがあるユーザーを対象にしており、来訪をきっかけとして広告配信をおこないます。すでにサービスや商品に関心を持っているユーザーに対して再度アピールをする形になるため、まったく知らないユーザーへ配信するよりも高い効果が見込める点がメリットです。
2.ザイオンス効果(単純接触効果)が期待できる
ザイオンス効果(単純接触効果)とは、最初は興味がなかったり、気付いてもらえなかったりしたものでも、何度も目にすることで次第に親しみや好意を持ち、魅力的に感じるようになるという心理学的な効果のことです。
リターゲティング広告は、この効果を最大限に活用してユーザーの関心や購買意欲を引き出すことができます。また、広告の表示回数や期間などの適切な設定によって、ターゲットとするユーザーの反応向上も期待できるでしょう。
3.比較・検討期間中の人にもアプローチが可能
ユーザーは商品やサービスに興味を持ってサイトに来ても、すぐに購入するとは限りません。他の商品・サービスと比べたり、購入のメリットやデメリットを考えたりする時間が必要となるため、比較・検討期間中のユーザーは、サイトから離れてしまうことが多いでしょう。
しかし、リターゲティング広告なら、離脱したユーザーに再度アプローチできます。これによって、ユーザーの記憶や関心を刺激し、購入につなげることが可能です。
リターゲティング広告の設定方法
それでは、ここからはリターゲティング広告の設定方法について解説します。Google広告とYahoo!広告で設定方法が異なるため、それぞれの手順を紹介していきましょう。
Google広告での設定方法
Google広告での設定方法は下記のとおりです。
- リターゲティングタグの設定
- リターゲティングリストの作成・設定
- ディスプレイキャンペーンの作成
- リストの紐づけ
それぞれの手順を説明します。
1.リターゲティングタグの設定
Google広告管理画面に入り、右上にある「ツールと設定」から「オーディエンスマネージャー」をクリック
左側の「データソース」から「Google 広告タグ」をクリック
「タグを設定する」から設定方法を選ぶ
Googleタグマネージャーを設定する場合は、次の手順でおこないましょう。
- 「Googleタグマネージャーを使用する」をクリック
- 表示された画面から「コンバージョンID」をコピー
- 「Googleタグマネージャー」から「タグ」を選択し、「新規」をクリック
- 「タグの設定」から「タグタイプを選択」を選択し、「Google広告のリマーケティング」をクリック
- 表示された画面の「コンバージョンID」に、先ほどコピーしたIDを貼り付ける
2.リターゲティングリストの作成・設定
右上にある「ツールと設定」から「共有ライブラリ」を開き、「オーディエンスマネージャー」をクリック。
左上部にある「分類して表示」を選び、「+」をクリック。
「ウェブサイトを訪れたユーザー」を選択。
「オーディエンスを作成」を選択。
自社のサイトドメインを含むページを訪れたすべてのユーザーを対象にする場合は、下図のように設定。
これで、「オーディエンスマネージャー」から作成したリストのデータを見ることができます。データが蓄積されているか、確認してみるとよいでしょう。
3.ディスプレイキャンペーンの作成
ディスプレイキャンペーンを作成する場合、次の手順でおこないます。
- Google広告の管理画面に入り、キャンペーンタブに移動
- 「新しいキャンペーン」をクリック
- キャンペーン目標を選択
- キャンペーンタイプで「ディスプレイ」を選択
- 必要に応じてキャンペーンのサブタイプを選択
- 広告グループまで作成する
4.リストの紐づけ
「オーディエンス」から「オーディエンスセグメントの編集」をクリック。
リストを追加するキャンペーンまたは広告グループを選択。
「閲覧」>「ユーザーがお客様のビジネスを利用した方法」>「ウェブサイトを訪れたユーザー」をクリック。
対象のリストを選択。
これで設定は完了です。
Yahoo!広告での設定方法
Yahoo!広告での設定方法は下記のとおりです。
- リターゲティングタグの取得・設定
- オーディエンスリストの作成・設定
- 広告グループにオーディエンスリストを設定する
それぞれ解説します。
1.リターゲティングタグの取得・設定
「ツール」から「オーディエンスリスト」をクリック。
「オーディエンスソース」から「タグ・IDを表示」をクリックし、表示されたタグをコピー。
取得したタグをコピー後、サイト内の全ページの終了タグ</body>の直前に貼りつける。ファイルを保存し、アップロードして完了となります。
2.オーディエンスリストの作成・設定
オーディエンスリストの管理画面から、配信対象のオーディエンスリストを作成します。オーディエンスリストの種別は、「ウェブサイト訪問ユーザー」または「条件」を選択します。
ターゲットの条件を決定し、リストの作成をおこないます。
3.広告グループにオーディエンスリストを設定する
「オーディエンスリスト」をクリックし、編集ボタンを押す。
オーディエンスリストを設定する広告グループにチェックを入れ、「決定して進む」ボタンを押します。
「オーディエンスリストを指定して配信」を選択します。一覧はタブのクリックで切り替えができます。
一覧から設定するリストを選択します。オーディエンスリストの場合は「配信」または「除外」を選択、共通オーディエンスリストの場合はチェックを入れます。
選択したリストごとに入札価格調整率を変更する場合は、「入札価格調整率」欄で調整率を半角数字で入力します。
これで完了です。
参照元:Yahoo!広告ヘルプ:ウェブサイトを訪問したユーザーに広告を配信する(サイトリターゲティング)
リターゲティング広告の活用方法
リターゲティング広告を効果的に活用する方法として、下記の4つがあります。
- リスト作成時は有効期間を30日で作成する
- 有効期限7日間のリストを作成し入札価格を上げる
- フォームページリストを作成し入札価格を上げる
- コンバージョンユーザーは除外する
それぞれ解説します。
リスト作成時は有効期間を30日で作成する
Google広告でリストを作る場合、30日がデフォルトの有効期間です。この期間は540日まで伸ばせますが、ユーザーが広告を見てから購入するまでにかかる検討期間をふまえ、まずは30日のリストから始めることをおすすめします。
ただし、検討期間が短い商材はその限りではなく、また検討期間が長い商材は30日よりも長い期間のリストを作ったほうが効果的です。
有効期限7日間のリストを作成し入札価格を上げる
有効期限7日間のリストを作成して、有効期限30日間のリストが紐づいている広告グループより入札価格を上げることもおすすめの方法の一つです。
ユーザーがサイトから離脱するのにはさまざまな理由がありますが、「たまたま時間がなかった」「比較検討したかった」といったケースでは、日にちが経たないうちに再アプローチしたほうが効果が高いとされます。
例えば、30日前に訪問したユーザーと7日前に訪問したユーザーでは、後者のほうが比較検討段階にいる可能性が高いです。有効期限は特に7日間にする必要はなく、ユーザーの検討期間に合わせて調整してもよいです。
フォームページリストを作成し入札価格を上げる
比較検討段階にいるユーザー、という意味では、トップページだけを閲覧したユーザーよりも、フォームページやカートページを閲覧したユーザーのほうがコンバージョンの確度が高いです。
そのため、「フォームページ・カートページの閲覧者」というリストを作成して入札価格を上げておくと、高い効果が期待できます。
コンバージョンユーザーは除外する
thanksページのURLを設定したコンバージョンユーザー用のリストを作成し、オーディエンスを除外しておくこともおすすめの方法です。リピートがない商材の場合では、すでに購入済みのユーザーに広告を配信したところで効果は薄いからです。
一方、リピーター商材の場合、コンバージョンユーザーを除外すると機会損失のおそれがあります。商材内容や性質を考慮したうえで、コンバージョンユーザーの除外を判断するとよいでしょう。
広告運用の成功ポイント
広告運用を成功させるには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
実践しやすいポイントとして、次の3つがあります。
- バナーのPDCAを定期的に回す
- デバイス、掲載面に合わせたバナーサイズを配信する
- 定期的にプレースメントをチェックする
これらについて説明します。
バナーのPDCAを定期的に回す
同じバナーを長期間配信していると、ユーザーの興味関心が薄れていくものです。そのため、バナー広告を定期的な更新が成功ポイントの一つになります。
更新する際は、配信結果を分析して、ユーザーの反応を高める要素を探りましょう。また、CTAの配置や色彩、人物や商品の画像などを工夫してみることが重要です。バナーのPDCAサイクルを適切に回すことで、広告成果を最大化できます。
デバイス、掲載面に合わせたバナーサイズを配信する
バナー広告には、媒体ごとにサイズの制約があります。媒体の掲載面を効率的に使うなど、配信できるサイズを最大限に活用することで広告効果の最適化が図れます。
また、パソコンとスマートフォンではバナーサイズも大きく異なります。それぞれのデバイスに適したサイズを配信することで、広告の品質やパフォーマンスが改善できるでしょう。
定期的にプレースメントをチェックする
プレースメントとは、広告が掲載される場所のことを指します。大規模な広告ネットワークのGDNやYDA(旧YDN)では広告が表示される場所も多く、意図しないサイトや自社の商材とマッチしないサイトにも広告が掲載される可能性が高いです。定期的にプレースメントをチェックし、成果が見られないプレースメントの配信を除外することで改善につながるでしょう。
まとめ
リターゲティングとリマーケティングは同じ意味を持ち、Googleのみがリマーケティングと呼び、ヤフーなど他のサービス元ではリターゲティングと呼んでいます。
リターゲティングはCookieの情報を利用した仕組みで、特定の商品やサービスに関心を示したユーザーに対し、再びその商品やサービスの広告を表示する方法です。単純接触効果があり、訪問履歴のあるユーザーに再アプローチしたり、比較・検討期間中の人にもアプローチが可能です。今回の記事で紹介した活用方法を用いて、効果的な広告運用にお役立てください。