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ディスプレイ広告は、WEBサイトやアプリ上で画像や動画を使って商品やサービスを訴求する広告手法です。入札額やターゲット設定、掲載場所などさまざまな要素を調整できる運用型広告として、多くの企業のマーケティング施策に活用されています。
本記事では、その仕組みからメリット・デメリット、効果的な運用のポイントまでを詳しく解説します。ディスプレイ広告の導入を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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ディスプレイ広告とは?仕組みやリスティング広告との違い
ディスプレイ広告は、WEBサイトやアプリ上の広告枠に表示される広告フォーマットです。画像や動画とテキストを組み合わせたバナー形式で、ユーザーの目に留まりやすい場所に配置できます。
入札額、掲載場所、ターゲット設定など、さまざまなパラメータを調整しながら成果を上げる運用型広告の一つで、効果的なビジュアルとメッセージを通じてユーザーの興味を引くことでコンバージョン獲得を目指します。
ここでは、ディスプレイ広告の仕組みやリスティング広告との違いについて解説します。
仕組み
ディスプレイ広告では、潜在的なユーザー層へのアプローチ手段として「リターゲティング」という技術が活用されています。リターゲティングは、一度でも自社のサイトを訪問したことのあるユーザーをWEB上で追跡し、そのユーザーに対して自社の製品やサービスの広告を表示させる仕組みです。
この技術を可能にしているのが、Cookieに保存されている情報の利用です。Cookieとはブラウザに保存される情報で、ユーザーがどのようなWEBサイトを訪問したか、どのような商品を購入したかなど、ブラウザの使用履歴を記録しています。
広告主はこのCookie情報を活用することで、自社サイトへの訪問履歴があるユーザーを特定し、そのユーザーに対して戦略的にディスプレイ広告を配信できます。ただし、近年ではプライバシー保護の観点からCookieの利用に関する規制が強化されており、その取り扱いには十分な注意が必要です。
Cookieの利用における具体的な問題点についてはCookie(クッキー)とは?初心者向けにわかりやすく解説を参照してください。
リスティング広告との違い
リスティング広告は検索サイトの検索結果上部に表示される広告で、ユーザーが入力した検索キーワードに連動して表示されるため、購買意欲の高いユーザーへの訴求が可能です。一方、ディスプレイ広告は画像や動画など多様な表現形式を活用でき、必ずしも明確なニーズを持っていないユーザーの興味も引くことができます。
そのため、この特性の違いを生かした使い分けが重要です。リスティング広告は商品やサービスへの関心がすでに高い顕在層へのアプローチに適しており、ディスプレイ広告は商品やサービスを認知してもらいたい潜在層への訴求に効果的です。広告目的やターゲットに応じて適切に使い分けることが成功のポイントとなります。
ディスプレイ広告の種類
ディスプレイ広告の種類として、主に次の3つが挙げられます。
- Googleディスプレイネットワーク(GDN)
- Yahoo!ディスプレイ広告【運用型】(YDA)
- YouTube広告
それぞれ解説します。
Googleディスプレイネットワーク(GDN)
Googleディスプレイネットワーク(GDN)は、Googleが提供する大規模なディスプレイ広告配信ネットワークです。
GmailやYouTubeなど、Googleと提携している約3,500万以上のWEBサイトやアプリに広告を配信できます。また、ユーザーの趣向や興味に基づいた詳細なターゲティング設定が可能で、効果的な広告配信を実現できることも特徴です。
関連記事:【最新版】Googleディスプレイ広告(GDN)のバナーサイズ一覧を紹介と広告作成時の注意点を解説
Yahoo!ディスプレイ広告【運用型】(YDA)
Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)は、Yahoo! JAPANが運営する各種サービスを中心とした広告配信ネットワークです。
Yahoo! JAPANは日本最大級のポータルサイトであり、Yahoo!ニュースやYahoo!メールなどのサービスとあわせて、非常に大きなリーチを実現できます。また、食べログ、クックパッド、ライブドアニュース、朝日新聞デジタルなどの提携パートナーサイトにも広告の配信が可能です。
関連記事:【最新版】Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)のバナーサイズ一覧の紹介と広告作成時の注意点を解説
YouTube広告
YouTube広告は、世界最大の動画プラットフォームに特化したディスプレイ広告サービスです。Google、Yahoo!JAPANのような広範なネットワークでの配信とは異なり、YouTubeのプラットフォーム内で完結する広告形式となっています。
多くの月間アクティブユーザーを抱えるYouTubeでは、ユーザーが視聴する動画の前に広告の配信が可能で、トップページや検索結果に掲載ができます。
関連記事:YouTube広告の種類と選び方、出稿の方法について解説
ディスプレイ広告の配信フォーマット
ディスプレイ広告の配信フォーマットには、次のようなものが挙げられます。
- バナー広告
- レスポンシブ広告
- 動的ディスプレイ広告
- テキスト広告
- 動画広告
それぞれ解説します。
バナー広告
「バナー広告」は、ディスプレイ広告のなかでも最も広く活用されている広告形式で、画像とテキストを効果的に組みあわせて表示します。
視覚的な要素を活用することで、商品やサービスに対する認知度が低いユーザーの目にも自然に留まりやすく、興味をひくことが可能です。
広告効果を最大化するためには、配信先のユーザー層との適合性と、注目を集めるバナーデザインの両方が重要になります。また、バナーごとの効果測定や成果分析が容易なため、パフォーマンスの詳細な把握と最適化が必要な場合に最適です。
レスポンシブ広告
「レスポンシブ広告」は、掲載枠のサイズにあわせて自動的に最適化される便利な広告形式です。
広告のサイズや要素の組みあわせが自動調整されるため、サイト内で違和感なく表示されます。これにより、さまざまな広告枠に対応するクリエイティブを効率的に作成・配信ができます。
動的ディスプレイ広告
「動的ディスプレイ広告」はYahoo!広告の配信メニューの名称で、多数の商品を扱うビジネスに特に効果的な広告形式を指します。(Googleの場合は「動的リマーケティング」)ユーザーの商品閲覧履歴や行動データに基づいて、それぞれの興味に沿った商品情報を自動的に組みあわせ、パーソナライズされた広告を生成・配信するのが特徴です。
この仕組みは「タグ」と「商品フィード」の2つの要素で実現されており、タグでユーザーの行動を追跡し、商品フィードから得られる情報と組みあわせることで最適な広告を作成します。例えば、スニーカーを閲覧したユーザーに対して、その商品や類似のスポーツシューズの広告を自動的に表示できます。
テキスト広告
「テキスト広告」は、画像を使わず文字だけで構成される広告形式です。通常のバナー広告と同じ場所に表示され、ヤフーやGoogleの広告ネットワークで配信されます。
画像制作の手間がかからず、より多くの情報を伝えられる点がメリットです。特に記事のなかには自然に溶け込むため、ユーザーに受け入れられやすいでしょう。
動画広告
「動画広告」は、音声と映像を組み合わせて商品やサービスを魅力的に紹介する広告手法です。通常5秒から1分程度の短い尺で、静止画では伝えきれない商品の使い方や魅力を効果的に伝えることができます。視覚と聴覚の両方に訴えかけるため記憶に残りやすく、ブランドの認知度を高めるのに特に効果的です。
ただし、魅力的な映像制作には一定のコストがかかり、またファイルサイズが大きくなりがちなため、スムーズな再生のための最適化が必要です。
ディスプレイ広告のメリット
ディスプレイ広告のメリットとして挙げられるのは、次の5つです・
- 視覚表現によるブランディングができる
- 潜在層にアプローチできる
- リターゲティングできる
- 配信先や配信コストなどが自動化できる
- クリック単価が安い
それぞれ解説します。
視覚表現によるブランディングができる
ディスプレイ広告の最大の魅力は、画像や動画を使った視覚的な表現力です。テキストベースのリスティング広告と異なり、印象的なビジュアルで瞬時に目をひき、ブランドイメージを効果的に伝えることができます。
特に近年は5G通信の普及によって動画広告でもスムーズな視聴が可能となり、短時間で多くの情報を魅力的に伝えられるようになりました。
ディスプレイ広告は、中長期的なブランディング戦略はもちろん、季節セールやキャンペーンなど、タイミングを見計らった集客施策にも効果を発揮します。インパクトのあるビジュアルとメッセージを組みあわせることで、より説得力のある広告展開が可能です。
潜在層にアプローチできる
ディスプレイ広告の特徴として、まだ明確な購買意欲を持っていない「潜在層」へのアプローチに向いている点が挙げられます。魅力的なビジュアルや印象的なメッセージで、商品・サービスの存在を自然に認知してもらい、興味を喚起できます。
例えば、ニュースサイトを閲覧中のユーザーが、思いがけず目にした広告をきっかけに新しい商品に興味を持つような状況を作り出せます。これは、すでに「欲しいもの」や「やりたいこと」が決まっている「顕在層」とは異なるアプローチ方法です。
検索連動型広告が顕在層向けに即効性の高い効果を発揮するのに対し、ディスプレイ広告は長期的な視点で新規顧客の開拓や市場の拡大につなげることができます。特にブランドの認知度向上や、新商品のローンチ時など、新しい需要を掘り起こしたい場合に効果的です。
リターゲティングできる
ディスプレイ広告のメリットの一つが、一度サイトを訪れたユーザーに再度アプローチできるリターゲティング機能です。Googleやヤフーの広告ネットワークを通じて、過去に自社サイトや商品ページを閲覧したユーザーに対して、継続的に広告を表示できます。
商品ページを見たものの購入に至らなかったユーザーに関連商品や特典情報を訴求し、購買意欲を徐々に高めていくことが可能です。
このような中長期的なアプローチにより、最初の興味を確実な購入へと結びつけやすくなります。また、リターゲティングはすでに興味を示したユーザーが対象なため、新規顧客の獲得と比べて効率的な広告運用が期待できます。
配信先や配信コストなどが自動化できる
ディスプレイ広告は配信先や配信コストなどが自動化できます。過去の実績から効果が見込める広告枠に、効率良く配信が可能です。
例えば、下記のように掲載結果の改善にも役立ちます。
- 「サイトAはアクセス、コンバージョンともに良好なので継続」
- 「サイトBからのアクセス数は多いが、コンバージョンは少ないので、ビジュアルを変更」
- 「サイトCはアクセスが見込めないため、サイトDへシフト」
クリック単価が安い
広告のクリック単価が比較的安価に抑えられるのもディスプレイ広告のメリットの一つです。具体的なキーワードに対して入札が必要なリスティング広告では、1クリックあたり10円から数百円が相場で、人気キーワードではさらに高額になることもあります。
一方、ディスプレイ広告は設定するターゲティング方法によって変動はあるものの、一般的に数十円程度と経済的です。
この価格差は、リスティング広告が具体的な購買意欲を持つユーザーへの訴求を得意とするのに対し、ディスプレイ広告は潜在層への幅広いアプローチが目的、という特性の違いから生まれています。
クリック単価が抑えられることで、限られた広告予算でもさまざまなクリエイティブやターゲティングを試すことができ、効果的なプロモーション施策の発見につながります。
ディスプレイ広告のデメリット
ディスプレイ広告のデメリットは、次の2点です。
- 即効性はあまり期待できない
- 改善点がわかりづらい
それぞれ解説します。
即効性はあまり期待できない
ディスプレイ広告は、明確な購買意欲を持っていない潜在層をターゲットとしているため、短期的な成果を期待することは難しい広告手法です。リスティング広告と比較すると、コンバージョン率(CVR)が低くなる傾向があり、1件あたりの成果獲得コストも高くなりがちです。
しかし、これは必ずしもマイナスポイントとは限りません。むしろ、ブランドの認知度向上や新規顧客の開拓など、長期的な視点での市場育成を目指す場合には、幅広いユーザー層への訴求が可能なディスプレイ広告の特性を生かせるでしょう。
即効性の高さではなく、持続的な成長につながる認知拡大の手段としてとらええることで、効果的な広告運用が可能になります。
改善点がわかりづらい
ディスプレイ広告は、画像や動画などのクリエイティブ要素が成果を大きく左右するため、パフォーマンスの改善点の特定が難しい広告手法です。
テキストやキーワード、ターゲティングの細かな調整が可能なリスティング広告とは異なり、何が効果的で何が非効果的なのかを明確に判断しにくい面があります。
広告の成果が思わしくない場合でも、それがデザインの問題なのか、メッセージの問題なのか、あるいは掲載時期やターゲティングの設定に課題があるのかを見極めにくく、効果的な最適化に時間がかかることがデメリットとなっています。
ディスプレイ広告を配信する際のポイント3つ
ディスプレイ広告を配信する際は、次の3つのポイントを押さえておくことが重要です。
- 目的にあわせてターゲットを細かく分ける
- タグを設置しリマーケティングに活用する
- コンバージョンが発生している効果の高い配信先に絞る
それぞれ解説します。
目的にあわせてターゲットを細かく分ける
ディスプレイ広告は幅広い層へのアプローチが可能であるため、配信目的を明確に定義することがとても重要になります。
告目的が認知やブランディングなのか、サイトへの誘導なのか、アプリのダウンロードを促進するのか、あるいはコンバージョンを獲得するのかなどによって、ターゲットを細分化していく必要があります。
さらに、これらの目的によって効果的なクリエイティブも異なってくるため、配信開始前にしっかりと目的を定めることで、より効率的な広告運用が可能となります。
タグを設置しリマーケティングに活用する
ディスプレイ広告でサイト誘導や成果獲得を目指す場合、タグの設置は必須の作業となります。タグを設置することで、ユーザーの行動を追跡し、リマーケティングや成果計測が可能になり、特に興味や関心度の高いユーザーに対して効果的な広告配信を実現できます。
ただし、使用する広告媒体ごとに専用のタグが必要となる点に注意しましょう。タグの設置やコンバージョン設定には専門的な知識が欠かせず、また近年はプライバシー保護の観点から個人情報収集に関する規制も強化されているため、広告運用代理店などへの依頼を検討するのもおすすめです。
コンバージョンが発生している効果の高い配信先に絞る
コストパフォーマンスを最適化するには、コンバージョンが発生している効果の高い配信先に広告を集中させることが重要です。
一方で、コンバージョンや売上につながっていない配信先や、自社のビジネスとの関連性が低い媒体、さらにはブランドイメージに適合しない配信面は、適切に除外する必要があります。
Google広告やYahoo!広告の管理画面で実際の配信先を確認し、ターゲットとするペルソナに最適な配信先であるかを慎重に見極めながら、効率的な広告運用を実現していきましょう。
まとめ
ディスプレイ広告は、視覚的な表現力を生かしたブランディングと幅広い潜在層へのアプローチが特徴的な広告手法です。即効性には欠けるものの、クリック単価が安価で自動化機能も充実しており、長期的な市場開拓に効果を発揮します。
効果的な運用のためには、明確な目的設定とターゲティング、タグを活用したリマーケティング、そして効果の高い配信先への最適化が重要です。ディスプレイ広告を正しく活用し、長期的な成果につながるマーケティング施策にお役立てください。