WEBサイトの運用では、Googleアナリティクスによるアクセス解析が一般的です。
しかし、Googleアナリティクスでは、訪問者の流入元やページ遷移など基本的な解析データは取得できますが、1ページのみを閲覧し離脱してしまったユーザーの解析はできません。そこで役立つのがGTM(Googleタグマネージャー)を利用したスクロール率の計測です。
今回の記事では、WEBサイトの改善に欠かせないスクロール率の概要を解説します。そして、GTMによる設定方法や注意点なども紹介していきます。スクロール率の概要や、設定方法を知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
スクロール率とは
まずスクロール率とは、WEBページの総表示量に対し、実際にユーザーが閲覧した範囲の割合を示す指標です。GA4では「scroll」として計測されページ全体を100%として計算されます。
例えば、ECサイトの商品詳細ページ(全長2000ピクセル)で、ユーザーが1400ピクセルまでスクロールした場合、スクロール率は70%です。この数値から、商品説明の下部にある情報までは読まれていない可能性が把握できます。
また、スクロール率は次のようなケースで活用されています。
- ランディングページの重要な情報がユーザーに届いているかの確認
- 記事コンテンツがどこまで読まれたかの把握と改善
- 広告の視認性評価(広告枠の配置最適化)
実際の改善事例として、あるサイトでは記事の途中(スクロール率60%付近)で多くのユーザーが離脱していることが判明。そのため、コンテンツの構成を見直し、平均スクロール率を45%から75%まで向上させています。
スクロール率を計測する目的
WEBサイトの改善で重要なのは、ユーザーがコンテンツのどこで興味を失い、離脱してしまうのかを把握することです。スクロール率の計測により、ユーザーがページのどの位置まで到達したか、あるいはどの部分で離脱したかを正確に特定できます。
これらのデータは、効果的なページ改善の指針となります。例えば、重要なコンテンツがある部分でスクロール率が急激に低下している場合。その箇所のデザインや文章表現の見直し、コンテンツの配置変更などの具体的な改善アクションにつなげることが可能です。
特に長文コンテンツやランディングページでは有効です。ユーザーの関心を維持できているかの判断材料として、スクロール率は非常に有効な指標です。
読了率との違い
さて読了率とスクロール率には、それぞれ異なる特徴と活用場面があります。読了率は設定した特定の地点(記事の結論部分や購買ボタンなど)までユーザーが到達した割合を示します。ある記事の読了率が50%、別の記事が80%といった具合に、コンテンツごとの効果測定ができます。
一方、スクロール率はページ全体を100%として、ユーザーがどこまでスクロールしたかを細かく把握できるのが特徴です。任意の位置でスクロール率を設定できるため、より詳細な行動分析が可能です。
これらの指標の使い分けとしては、すでに一定のアクセスがあり、明確な目標地点が設定されているサイトには読了率。新規サイトやLPなど、ユーザー行動の詳細な分析が必要なケースではスクロール率の活用がおすすめです。
スクロール率を計測するメリット
下記画像のようにページのどこまで見たかの確認が可能になります。そうすることで、LPやWEBサイト内容の良しあしを数字で把握できます。
次のメリットは、ページの問題点に気付くことができることです。運用側で気付けない問題に気付くことが可能です。ランディングしているページに流入はしている。しかし、ページにて求めているアクションが起きていない。ということは、意図していない動きをしているということです。
なぜそのような動きをしてしまっているのか?をスクロール率により分析できます。コンテンツをユーザー目線で確認したのなら、意図どおりのアクションをおこしてもらうよう改善していきましょう。
スクロール率によって異なりますが、改善点としては下記が挙げられます。
- ファーストビューの改善
- CTAリンクの改善
- 文章やサイトのレイアウト改善
- 文字間修正
改善を一度おこなえばよい場合もあります。できれば何度かテストをしてユーザーの要望のページに変えていきましょう。
また、デメリットはほぼありませんが、設定と確認が少し手間だということ。そして、ページの読み込みスピードが遅くなる点がデメリットです。メリットを考えるとデメリットにはならないでしょう。
WEBサイト改善の手順とポイントなど、提案書作成のコツについてはこちらも参照ください。
WEBサイト改善の4ステップとポイント解説!提案書作成のコツと事例も紹介
GTM(Googleタグマネージャー)のスクロール率の設定方法
それでは、GTM(Googleタグマネージャー)でのスクロール率の設定方法をご紹介します。
GTMのアカウントがない方はこちらからアカウントの作成方法など確認してください。Googleタグマネージャーの詳細については、「Googleタグマネージャー とは」を参照してください。
1.変数を設定
タグマネージャーの左メニューのボタン「変数」クリック。次に画面が遷移したら、組み込み変数の「設定」をクリックします。
2.トリガーを設定
組み込み変数の設定をクリックして、画像の「Scroll Depth Threshold」、「Scroll Depth Units」、「Scroll Direction」にチェックを入れます。
《各変数の意味のご紹介》
- Scroll Depth Threshold:スクロール距離を示す数値
- Scroll Depth Units・・・トリガー発火のしきい値指定に使用されている単位
- Scroll Direction・・・スクロールの方向(「縦方向」または「横方向」)が値
3.タグを設定
トリガーを設定して、どのページでスクロール率を発火させるか設定します。左メニューのトリガーをクリック、設定をクリックしてスクロール距離を選択します。
スクロール距離を選択後、「縦方向スクロール距離」にチェック。割合かピクセルを選択します。おすすめは、割合を選択、割合は「10,25,50,75」です。
トリガーの最後はどのページ(「すべてのページ」または「一部のページ」)で発火させるかを選択します。「すべてのページ」はコンテナタグを設置しているすべてのページで、「一部のページ」は指定したページとなります。
《すべてのページ》
《一部のページ》
GTMで設定したスクロール率を確認する方法
GTMで設定したスクロール率を確認する場合、下記の2つの方法があります。
- 探索レポートで確認する方法
- Looker Studioで確認する方法
それぞれ解説します。
探索レポートで確認する方法
スクロール率は、GA4の「レポート」>「エンゲージメント」>「イベント」へと進むことで確認できます。ただし、初期設定のディメンションのみでは、自社サイトの詳細な分析や有益な知見を得るには十分とはいえません。
この場合、GA4のカスタムディメンションでカスタム定義を作成します。そのあと、探索レポートで確認する方法が有効です。
初めに、カスタムディメンションを設定します。GA4の管理画面を開いて「カスタム定義」を選択しましょう。
右上にある「カスタムディメンションを作成」をクリックします。
ディメンション名や範囲、イベントパラメータを入力・選択します。
次に、探索レポートでカスタムディメンションを確認していきます。まず、「探索」>「データ探索」にある「空白」から新しいレポートを作成します。
「変数」にある「ディメンション」を選択します。上部タブから「カスタム」をクリックし、作成したディメンションをインポートします。
インポートした「変数」のディメンションを「列」にドラッグ&ドロップ。
「指標」>「指標の選択」>「すべて」から「イベント数」をインポートします。
最後に、インポートしたイベント数を「値」に反映させましょう。
Looker Studioで確認する方法
もう一つ、Looker Studioからもスクロール率の確認が可能です。
Looker Studioは、Googleが提供する無料のデータ可視化ツールです。複数のデータソースを統合して自動的にインタラクティブなレポートを生成できるのが特徴で、直感的なインターフェースを通じて効果的なデータ分析と共有を可能にします。
「計算フィールドを追加」を選択して計算式を入れれば、スクロール率を表にすることもできます。
スクロール率を計測する際の注意点
スクロール率を計測する際は、次の2点に注意が必要です。
- GA4の拡張計測機能とGTMで重複して計測しないようにする
- 計測できるスクロール率は90%のみ
それぞれ解説します。
GA4の拡張計測機能とGTMで重複して計測しないようにする
GA4の拡張計測機能とGTMの併用時には重複を避けるための適切な設定が重要です。特にGTMでスクロール率の計測をする場合、GA4の拡張計測機能のスクロール計測をオフにする必要があります。
この設定は必須ではありませんが、両方の計測を有効にしたままにすると、同じイベントが二重にカウントされてしまいます。それにより、データの正確性が著しく損なわれてしまいます。さらに、訪問者の多いサイトではこの重複により不必要なイベント数の増加を引き起こします。その結果データのサンプリングが発生するリスクが高まります。
このサンプリングは分析の精度に影響を与える可能性があります。できる限り回避することが望ましいでしょう。
計測できるスクロール率は90%のみ
GA4の標準スクロール計測では、ページ最上部(0%)から90%までスクロールした場合のみイベントとして記録されます。つまり、ユーザーが90%未満でページを離脱した場合、そのスクロール行動は計測されません。
この仕様は、実際のユーザー行動の分析で制約となる可能性があります。例えば、ページの中間部分にCTAボタンや重要なコンテンツを配置している場合、そこまでのスクロール到達率を把握することができず、ページの各セクションがどの程度閲覧されているかなどの詳細な分析も難しいです。
より詳細なスクロール行動の分析が必要な場合は、GTMを活用して独自の計測設定を実装する必要があります。
ヒートマップの活用もおすすめ
スクロール率の詳細な分析には、ヒートマップツールの活用が効果的です。ヒートマップツールを使用することで、ユーザーの離脱ポイントや熟読された箇所など、詳細な行動パターンを視覚的に把握できます。
ヒートマップツールは導入にコストと時間を要します。その代わりスクロール率や熟読率、クリック箇所などユーザーの具体的な行動を可視化でき、コンバージョン機会の損失を防ぐことができます。
まずはGTMで基本的な計測を始めてみましょう。そして、より詳細な分析が必要な場合にヒートマップツールの導入を検討する。という段階的なアプローチがおすすめです。
まとめ
スクロール率は、ユーザーがWEBサイトをどの程度閲覧したかを示す重要な指標です。従来のGoogleアナリティクスでは把握できなかった訪問者の詳細な行動も、GTMを活用することで効果的に計測できます。
ただし、計測には90%までしか記録されないといった制約や、GA4の拡張計測機能との重複に注意が必要です。また、より詳細な分析が必要な場合は、ヒートマップツールの活用もおすすめです。
スクロール率の計測と分析を通じて、ユーザーの離脱ポイントや関心の度合いを把握し、効果的なコンテンツ改善を実現しましょう。WEBサイトの最適化に向けて、まずはGTMでの計測からスタートしてみてはいかがでしょうか。