Cookie規制により、GA4 によるWEBマーケティングがしにくくなると不安を感じている方も多いでしょう。
- Cookie規制がなされているのはなぜ?
- Cookie規制がGA4に及ぼす影響とは?
- Cookie規制を踏まえ、GA4でのWEBサイト分析はどうすればよい?
GA4の主な分析対象である1st Party Cookieは、関連する法規制で制約される対象ではなく、高い有用性は維持されます。
本記事では、CookieのあらましやGA4とCookie規制の関係性とともに、検討すべき対応策を順に紹介します。Cookie規制を受けにくい、あるいは受けない情報の取得方法を確立し、WEBビジネスの維持・強化を進めましょう。
GA4・GTMの設定にお困りではありませんか?
- このようなお悩みを抱えていらっしゃいませんか?
- GA4を導入しているがどうすればよいかわからない
- 設定が適切かどうか不明
- キーイベント(コンバージョン)などのデータが取れていない
- GTMを上手く活用できていない
上記お悩みをアクセス解析専門コンサルタントが解決いたします。
目次
現在のCookieについて
WEBビジネスで、Cookieはサイト利用者(以後、利用者)の行動・興味などを把握するための情報源です。しかし、昨今の個人情報に対する保護機運の高まりなどにより、Cookieを取り巻く環境は大きく変化しています。
これからのCookieについて検討するうえで、押さえておきたい動向は4つです。
- Cookieとは?
- 改正個人情報保護法によるCookie規制
- WEBブラウザによるCookie規制
- 今後は1st Party Cookieが主流に
まずは、Cookieの最新動向を適切にとらえ、法規制や技術変化を踏まえた的確なマーケティング施策を展開しましょう。
Cookieとは?
はじめにCookie とは、利用者のWEBサイト訪問履歴や設定を記録し、ブラウザに保存されるデータファイルです。
例えば、Eコマースサイトの閲覧途中でブラウザを閉じたとき。スムーズに買い物を再開できるのは、Cookieがカード内の商品情報を保持しているためです。
比較項目 | 1st Party Cookie | 3rd Party Cookie |
発行元 | WEBサイト運営者 | 訪問したWEBサイト以外の第三者 |
用途 | ログイン情報やサイト内の設定情報の保管 | 広告配信やサイト間の利用者行動の追跡・分析 |
活用の範囲 | 基本的には単一サイト内での限定的な活用 | 複数のサイトで利活用 |
また、Cookieは2種類に分類されます。発行元・用途・活用範囲が異なる点を押さえておきましょう。
Cookieは利用者のWEB体験を高めるうえで重要な技術です。一方で、取得した情報から個人を特定しうる点から、規制対象と位置付けられており、利用方法の見直しが急務です。
Cookieについて細かく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
※関連記事: Cookie(クッキー)とは?初心者向けにわかりやすく解説
個人情報保護法によるCookie規制
2022年に見直された個人情報保護法により、Cookieの取り扱いに関する規制が強化されました。
特に、個人関連情報に該当するCookieのうち、3rd Party Cookieの利用にあたっては、利用者の同意取得が必須となりました。そのため、従来と同様の広範なデータ収集が難しくなっています。これにより、GA4での計測・分析に悪影響が生じています。
Cookie規制の進展により、WEBビジネスでは利用者のプライバシーを尊重した情報活用が求められています。法規制に適用しつつ、サイトの品質の維持向上や高い広告効果を挙げられる代替手段の発見・活用の可否が、成功の鍵になるでしょう。
WEBブラウザにおけるCookie規制の状況
そして、WEBブラウザによるCookie取り扱いの見直しも、WEBビジネスのデータ収集のあり方に大きな影響を与えています。主要ブラウザは幅広い国・地域での個人情報保護の機運の高まりを受け、3rd Party Cookieを中心に利用制限をかけています。
日本で利用シェアが大きい4つのブラウザのCookie規制は以下のとおりです。
WEBブラウザの種類 | Cookie規制状況 |
Google Chrome | 2024年7月に3rd Party Cookieの廃止の撤回を発表。 |
Safari | 2022年9月以降、3rd Party Cookieをブロック。1st Party Cookieの有効期限は7日間。 |
Microsoft Edge | 2024年3月に3rd Party Cookieの廃止を表明。 |
Mozilla Firefox | 標準の初期設定で、3rd Party Cookieを無効化 |
Cookieを保管するブラウザ自体で3rd Party Cookieを廃止する動きが進んでいます。そのため、従来のマーケティング手法の継続は難しくなっています。よって、個人情報の保護を尊重した新たなデータ運用方法の習得が求められています。
今後は1st Party Cookieが主流に
さて、Cookie規制が進む中、WEBビジネスで注目すべきは1st Party Cookieの活用です。なぜなら、1st Party Cookieは関連規制で制限されにくく、引き続き利用できる可能性が高いとされているためです。
1st Party Cookieは、サイト上の利便性向上に役立つ点から同意が得やすくなります。そのため、自サイト内での利用者の行動把握に役立ちます。
ただし、1st Party Cookieであっても第三者に渡す場合。規制対象に該当する点から、取り扱いには注意を払う必要があります。
Cookie規制時代で、1st Party Cookieは、規制を遵守しつつ効率的なデータ分析・活用するための、貴重な情報源になるでしょう。
GA4におけるCookieの基礎知識
はじめに、GA4とCookieに関連する動向を的確に把握しておくことは、WEBビジネスに携わるうえで重要です。なぜなら、GA4でCookieはWEBサイトや利用者の行動分析で、有用な情報源だからです。
GA4とCookieに関して、知っておくべき基礎知識は4つに整理されます。
- GA4で利用されるCookieとは?
- GA4での計測期間はCookieの影響を受ける?
- GA4でCookieを活用するうえで、利用者同意が必要?
- Cookieの同意ツールを入れるとGA4で計測できるアクセス数が減る?
まずは、GA4とCookieの関係を正しく把握し、Cookie規制がもたらすGA4への影響を押さえておきましょう
参照:ディメンションと指標 [GA4] ウェブサイトでの Cookie の使用 – アナリティクスヘルプ –
GA4で利用されるCookieとは?
まず、GA4では、基本的に1st Party Cookieを用います。それによって、利用者の行動を計測・分析します。主に1st Party Cookieの使用目的は、利用者の識別やセッション識別です。
また、Cookieから利用者のページ閲覧履歴や滞在時間。ほかにはクリックなどの行動を把握できます。これにより、WEBサイトの改善・見直しに有効な洞察が得られます。
しかし、Cookie規制が進んだり利用者の個人情報に対する保護意識が高くなったりした場合。GA4での分析活動にも影響が出かねません。
GA4での計測期間はCookieの影響を受ける?
次に、GA4の利用者の行動情報の計測期間。これは、Cookieの保存期間に依存します。GA4の設定上、前述した利用者・セッション識別を担うCookieの有効期限は標準で2年間です。
しかし、Cookieは基本的にWEBブラウザに保管されています、そのため、ブラウザで設定される保管期間が実質的なCookieの保管期間です。
もし、Cookieの保管期間が短いと、収集できる情報の連続性が失われます。すると、利用者の行動履歴を正確に分析することが難しくなります。それにより、Safariなど一部ブラウザで1st Party Cookieの保管期間の制限が進んでいます。
そのため、GA4ではCookie情報の満足のいく分析ができない可能性があります。今後は、代替方法の検討の重要性が高まっていくでしょう。
GA4の使い方をおさらいしておきたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
※関連記事: 【初心者向け】Googleアナリティクスの使い方と初期設定とは
GA4でCookieを活用するうえで、利用者同意が必要?
GA4で活用する1st Party Cookieの取得にあたり、原則として利用者からの同意取得は必要ではありません。しかし、さまざまな国・地域のWEBサイト展開やデータ収集の透明性向上を図る場合。Cookie取得の同意を得ておきましょう。
なぜなら、EUのGDPRなど厳しい規制を敷く国・地域は多く、規制違反と判断されればビジネス停止のリスクが高まるためです。また、Cookie規制が進むなかで、利用者からの明確な同意取得は、法令遵守と利用者との信頼関係の構築に欠かせません。
1st Party Cookieの収集・分析は法令違反する可能性は低いです。しかし、GA4を適切に活用するためには、利用者の同意を得つつ、データ収集・分析の精度向上に努める必要があります。
Cookieの同意ツールを入れるとGA4で計測できるアクセス数が減る?
Cookie同意ツールを導入すると、GA4で把握できるWEBサイトへのアクセス数が減少する可能性があります。例えば、Cookie同意ツールにより訪問者がデータ収集に同意しない場合。GA4上でセッションが記録されず、アクセス数が減少したようにみえます。
また、一部の利用者は同意確認そのものに抵抗を感じます。それにより、同意の有無を意思表示する前にWEBサイトから離脱するケースの発生も否めません。個人情報保護規制を踏まえると、Cookie同意ツールの導入はWEBビジネスを継続するうえで、避けられません。
そのため、利用者が同意しない状況も踏まえ、Cookieに頼らない対策を講じること。そして、影響を最小限に抑える手法の習得が重要です。
GA4でCookieを無効化するとどうなる?
Cookie収集の同意が得られず、GA4の分析対象としてCookie情報が無効になった場合。WEBサイトのデータ計測への影響は深刻です。
まず具体的には、利用者の訪問回数や滞在時間などのセッション情報。ほかには、コンバージョン数・コンバージョン率を正確に計測できなくなります。さらに、利用者を識別できなくなり、新規利用者とリピーターの区別も困難になります。
GA4は基本的に1st Party Cookieの分析により、WEBサイトの改善や強化に必要な領域や問題の導出に役立つ分析ツールです。そのため、分析対象であるCookie情報が完全に無効になってしまった場合。十分な分析ができず、GA4の機能を引き出せなくなります。
GA4・GTMの設定にお困りではありませんか?
- このようなお悩みを抱えていらっしゃいませんか?
- GA4を導入しているがどうすればよいかわからない
- 設定が適切かどうか不明
- キーイベント(コンバージョン)などのデータが取れていない
- GTMを上手く活用できていない
上記お悩みをアクセス解析専門コンサルタントが解決いたします。
GA4におけるCookie規制への3つ対策方法
Cookie活用に対し規制が広がるなかで、GA4が従前と同様の分析をおこなうのは困難になっています。
そのため、早期に新たな手立てを導入し、効果的にWEBサイトの改善・強化すべき領域や内容を把握できる方法の確立が重要です。
Cookie規制を踏まえ、GA4で取りうる対策方法として3つ挙げられます。
- User-IDの活用
- 拡張コンバージョンの活用
- サーバーサイドタグの活用
まずは、GA4の利用目的やサイト運営側の経験・スキルに適合する対策方法を選択すること。それからWEBマーケティング活動の維持・強化を図りましょう。
対策1:User-IDの活用
まず、User-IDを活用すると、3rd Party Cookieから情報を得られなくても利用者を特定できます。そして、利用者の行動を識別できるようになります。
そもそも、User-IDとは、自社サイトにログインした利用者のメールアドレスや会員番号に割り当てる特定のIDのことです。利用者にUser-IDが付与されると、複数デバイスからアクセスされても、GA4では同一の利用者として認識されます。
また、3rd Party Cookieのように保管期間の制約を受けにくいこと。そして、中長期的な利用者の行動把握に適している点も特徴です。つまり、GA4でのUser-IDの活用は、Cookie規制をクリアしつつ、効率的で正確なデータ収集と分析を可能にする効果的な方法です。
対策2:拡張コンバージョンの活用
次に、拡張コンバージョンの活用です。こちらは、1st Party Cookieで保管される個人情報を配慮しながら、コンバージョン数などを計測したい場合に役立ちます。
拡張コンバージョンとは、1st Party Cookieの情報を暗号化し、Googleアカウントと関連づけてコンバージョンを計測する手法です。コンバージョン測定で必要だった3rd Party Cookieは使用せずに、コンバージョンを的確に計測できる点が主たるメリットです。
一方で、Googleアカウントと関連づける仕組みの都合上、Googleアカウントでログインせずにコンバージョンした場合は計測されません。
Cookie規制の影響を軽減しつつ、精度の高いコンバージョン分析を求める場合。拡張コンバージョンの利用を検討しましょう。
拡張コンバージョンの詳細について興味のある方は、こちらの記事も参考にしてください。
※関連記事: Google広告の拡張コンバージョンとは?機能概要などをご紹介
対策3:サーバーサイドタグの活用
続いて、個人情報保護を踏まえたCookie活用には、Googleタグマネージャー(GTM)の機能の1つ、サーバーサイドタグの活用も有効です。
サーバーサイドタグとは、運営するWEBサイトのサーバ側でCookie情報を保管・処理する仕組みを指します。Cookieは一般的に利用者のブラウザで保管されます。ですが、ブラウザ側のCookie規制でGAでのCookie情報の分析が困難になっています。
しかし、サーバでCookieを保管する本機能であれば、ブラウザの規制の影響を受けずに、Cookie情報を収集できる点が主なメリットです。ただし、専用サーバを設定する専門知識が必要だったり、データ処理するサーバの費用が追加発生したりする点に注意が必要があります。
Googleタグマネージャーの設定手順をあらためて押さえておきたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
※関連記事: Googleタグマネージャー(GTM)を使ったGA4の設定手順を解説
GA4にUser-IDを設定する方法2ステップ
GA4でUser-IDに関する情報を収集・分析するためには、GTMで個別に設定する必要があります。
GTMでおこなう設定作業は、以下の2ステップのみです。
- User-IDに関する変数を設定
- タグを設定
User-IDの設定には専門的な知識は必要ありません。そのため、Cookie規制対策としてUser-IDの活用を検討している場合。一度設定して有用性を検証してみましょう。
ステップ1:User-IDに関する変数を設定
まず、Googleタグマネージャーのワークスペース画面を開きます。次に、表示される左メニューの中から「変数」を選択。続いて、ユーザー定義変数の「新規作成」をクリックします。
表示された「変数の設定」画面をクリック後、変数タイプの選択画面を表示させます。
続いて、ページ変数下にある「ファーストパーティCookie」を選択しましょう。
すると、2つ前の「変数の設定」画面に戻ります。Cookie名の入力欄に、User-IDに関連するCookieだとわかる任意の名称を入力。そのあと、画面右上の保存ボタンを押下すれば、変数設定は完了です。
ステップ2:タグを設定
次は、GTMからUser-ID情報をGA4に連携するための設定作業です。
まず、GTMのワークスペース画面の左メニューの中から「タグ」を選択。次に、GA4プロパティのタグをクリックしましょう。
続いて、「タグの設定」画面で「タグの種類」で表示されているタグをクリックします。
設定フィールドが表示されたら、「パラメータを追加」を押しましょう。
追加された行のフィールド名に「user_id」と入力します。そして、右端のプラスボタンをクリックします。
変数を選択する画面が表示され、ステップ1で設定した変数を見つけ選択します。
「タグの設定」画面で、追加した行のフィールド名と値を確認します。最後に、画面右上の保存ボタンを押したらタグ設定が完了です。
GTMでのGA4の設定方法を確かめておきたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
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- このようなお悩みを抱えていらっしゃいませんか?
- データから改善策への繋がりが見えてこない
- GA4に移行後、どのように確認すべきかわからない
- GA4は使用中だが、解析方法に自信がない
- データを見ているが、重要な点が把握できない
- 小さなことも相談したい
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※関連記事: Googleタグマネージャー(GTM)を使ったGA4の設定手順を解説
Cookie規制が進んでもGA4でユーザーの活動を的確に把握
この記事では、Cookieの概要やCookie規制がGA4に及ぼす影響。加えて、GA4を有効活用するための対応策を解説しました。
Cookie規制により、GA4でのWEBサイト分析が満足におこなえず、WEBマーケティングの効果が低下する懸念が生じています。国内外の規制によりCookie利用の制限が進んでいるものの、対象はあくまで3rd Party Cookieです。
しかし、利用者の個人情報への意識の高まりから、GA4の分析対象である1st Party Cookieであっても慎重に取り扱う必要があります。
そのため、Cookieに依存しない利用者情報の収集方法を早期に確立し、継続的なWEBマーケティングの競争力維持・強化を目指しましょう。
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