Googleタグマネージャー（GTM）は、WEBサイト運用で重要な役割を果たすツールです。
組織再編やアカウント統合などの理由で、別のGTMへアカウント移行する必要が生じることがあります。しかし、どのように移行したらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、GTMからGTMへのスムーズなアカウント移行方法と注意点について詳しく解説します。ぜひ、参考にしてみてください。
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目次
GTMの移行作業をおこなう前に
まず、GTMの移行作業をおこなう前に「コンテナ」について理解しておくことが重要です。ここでは、GTMのコンテナの概要や、エクスポート・インポートについて解説します。
GTMのコンテナとは
GTMのコンテナは、WEBサイトやアプリに実装されるさまざまなトラッキングコードやスクリプトを一元管理するための仕組みです。これは物理的な存在ではなく、デジタル上の「管理ユニット」として機能します。
コンテナの役割は下記の3つです。
- マーケティングタグの統合管理：サイト内で機能させるさまざまなコード（Google アナリティクス、リマーケティング、コンバージョン測定など）を一箇所で効率的に管理
- 実行条件のカスタマイズ：どのような状況でタグを起動させるか（ページビュー発生時、特定要素との相互作用時、スクロール到達時など）ルールを定義
- データ変数の管理：タグやトリガーで利用する動的な情報（ページURL、クリックされたボタンのIDなど）を管理
コンテナの実装は、GTMが提供するコードをサイトの<head>タグ内と<body>タグの直後に設置するだけで完了します。そのあと、GTMの管理画面からマーケティングタグの追加・修正・削除が可能です。
コンテナのエクスポート・インポートとは
GTMには、コンテナの設定を外部ファイルとして保存し、別の環境に移行できる便利な機能があります。このエクスポート・インポート機能を利用すると、コンテナの設定内容をJSON形式で書き出ます。そしてし、必要に応じて他のGTM環境に取り込むことができます。
例えば、複数サイトで共通のタグ構成を展開したい場合。基本となるコンテナをエクスポートし、サイトごとに必要な識別子（ドメインやトラッキングIDなど）だけを編集してから各環境にインポートできます。
また、チーム開発では、コンテナファイルをGitなどのバージョン管理システムで保管・追跡することで、変更履歴の詳細な管理や公開前のレビューが可能です。
ほかには、特定の機能セット（特定のマーケティングツール用のタグ群とその関連設定など）を複数のプロジェクトで再利用したいときも、個別の要素をエクスポート・インポートすることで効率的に展開できます。
参照：タグ マネージャーの使い方 -タグマネージャーヘルプ –
GTMからGTMへの移行方法
GTMからGTMへの移行作業は、適切な手順に従えば比較的シンプルにおこなうことができます。
ここでは、移行作業の全体的な流れを4つのステップに分けて詳しく解説します。安全に移行するためのプロセスを理解しておきましょう。
1.旧GTMからデータをエクスポートする
まず最初のステップでは、現在使用している旧GTMアカウントからデータをエクスポートします。
旧GTMの管理画面にログインし、移行したいコンテナを開きます。次に、画面右上にある歯車アイコン（管理）をクリックして、管理メニューを表示させます。
続いて、管理メニュー内の「コンテナをエクスポート」オプションを選択します。
そうすると、エクスポート設定画面が表示されます。そのあと、エクスポートするバージョンを選択します。通常は最新の公開バージョンか、最新の作業バージョンから選ぶとよいでしょう。
エクスポートする内容に問題がなければ「エクスポート」ボタンをクリックします。
これによって、コンテナの設定がJSONファイル形式でダウンロードされます。このファイルには、タグ、トリガー、変数などすべての設定情報が含まれています。
エクスポートしたJSONファイルは、移行作業の重要なバックアップにもなります。そのため、安全に保管しておきましょう。
2.新しいGTMにインポートする
さて、エクスポートしたデータを入手したら、新しいGTMアカウントへのインポート作業に進みます。
新しいGTMアカウントにログインし、データをインポートしたいコンテナを開きます。または、必要に応じて新しいコンテナを作成します。
管理画面右上の歯車アイコンをクリック。管理メニューから「コンテナをインポート」オプションを選択します。
続いて「ファイルを選択」ボタンをクリック。先ほどエクスポートしたJSONファイルを選択します。
インポート設定画面が表示されたらファイルを選択。「既存」か「新規」かを選びます。既存のワークスペースを使用する場合、リストから適切なワークスペースを選びます。
次に、インポートオプションで「統合」を選択します。「統合」を選ぶと、既存の設定と新しい設定を組み合わせることができます。「上書き」を選ぶと既存の設定がすべて消去されるため注意が必要です。
また、統合する際の競合解決方法として、「上書き」または「名前を変更」が選べます。ですが、コンテナ内に重複する設定がない場合はどちらを選んでも問題ありません。
インポートのプレビュー画面で変更内容を確認します。問題がなければ「確認」をクリックしてインポートを完了します。最後にワークスペースのなかに反映されているかチェックしておくと安心です。
3.動作確認をする
インポートが完了したら、新しいGTMで設定したタグが正しく機能するかどうかを確認する必要があります。まず、プレビューモードを使用します。インポートしたタグが意図したとおりに動作するかどうかを確認しましょう。
次に、GTM画面上部の「プレビュー」ボタンをクリック。WEBサイトのURLを入力してプレビューモードを開始します。プレビューモードでは、タグのトリガー条件が満たされたときにタグが正しく発火するか。データが適切に送信されるかを確認します。
特に重要なコンバージョントラッキングや主要なアナリティクスタグは、念入りにチェックしておきましょう。
4.旧GTMを停止する
新しいGTMの設定が正常に機能していることを確認したら、最後のステップとして旧GTMを停止します。
サイトの規模が大きい場合や複数のページに分散している場合。すべてのページから確実に旧GTMコードが削除されていることを確認してください。
コードが残ったままだと、タグの二重発火や計測データの重複につながる可能性があります。
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GTMからGTMのアカウント移行する際の注意点
GTMからGTMへのアカウント移行の際は、次の2点に注意が必要です。
- 上書きを選択しないように注意
- 旧GTMと新GTMを同時設置するケースもある
それぞれ解説します。
上書きを選択しないように注意
GTMのインポート機能を使用する際、「統合」と「上書き」という2つの選択肢が表示されます。ですが、ほとんどの場合は「統合」を選ぶべきです。
「上書き」オプションを選択すると、インポートするJSONファイルの内容によって既存のワークスペース内のすべての設定が完全に置き換えられてしまい、重要な設定情報が失われる可能性があります。
ただし、GTMには自動的にバージョン履歴が保存される機能があります。そのため、誤って「上書き」を選択してしまった場合でも、過去の公開バージョンに戻すことで復旧できます。慌てずに対処しましょう。
旧GTMと新GTMを同時設置するケースもある
実務においては、一時的に旧GTMと新GTMを同時に設置しなければならない状況も発生します。
例えば、WEBサイトの修正作業とGTM上の設定作業を別々のチームや担当者が実施する場合。作業タイミングを合わせることは難しいでしょう。このようなケースでは、一時的に両方のGTMコンテナを設置します。そのあと、新GTMの設定が完了してから旧GTMを停止・撤去するという手順を取ることになります。
しかし、1つのWEBサイトに複数のGTMコンテナを設置することは推奨されません。ページ読み込み速度への悪影響、アクセス解析データの重複計測、設定ミスや予期せぬ動作の原因となる可能性があるためです。
同時設置が必要な場合でも、その期間はできるだけ短くしましょう。作業の流れや担当者間の連携方法を事前に明確にしておくことが重要です。新GTMの設定完了と旧GTMの停止・撤去を同じタイミングで実施できるよう調整しておくとよいでしょう。
まとめ
GTMからGTMへのアカウント移行は、エクスポート・インポート機能を活用することで効率的に実行できます。
旧GTMからデータを抽出し、新GTMへ「統合」オプションで取り込むことで設定を保護しながら移行できますが、移行後は必ず動作確認をおこない、旧GTMは適切なタイミングで停止しましょう。
両方のGTMを同時に設置する必要がある場合は、データ重複やサイト速度への影響を考慮して、その期間をできるだけ短くすることが重要です。ぜひ、今回ご紹介した方法を参考にして、GTM移行をおこなってみてください。
