WEBマーケティングにおいて、「リスティング広告のシミュレーションはおこなうべきなのか」「効果的な方法を知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
広告コストや期待される成果を予測するこの手法は、運用戦略の立案や実績の分析に重要な役割を果たします。しかし、効果的なシミュレーションをおこなうには、その仕組みと手法について十分な理解が必要です。
今回の記事では、リスティング広告のシミュレーションの概要を解説し、具体的な実施方法や重要なポイントを紹介します。シミュレーションを通じて、より効果的な広告戦略の構築と運用を目指しましょう。
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目次
リスティング広告のシミュレーションとは?目的とゴール
リスティング広告のシミュレーションとは、リスティング広告の予想される費用対効果を分析するプロセスです。具体的には、広告運用にかかる予算や、それによってもたらされる成果の予測を指します。
ここでは、リスティング広告のシミュレーションをおこなう2つの目的とゴールについて解説します。
目的1:予算内で見込めるコンバージョン数を推定するため
リスティング広告のシミュレーションをおこなう目的の一つは、予算内で見込めるコンバージョン数を推定するためです。広告運用では、使える予算によって得られる結果が異なります。予算が少ないと、広告を出せる期間が短くなったり、一日に広告が表示される回数が減ったりします。一方で、予算が多ければより長期間の広告掲載が可能になり、多くの人に広告を見てもらえる可能性が高まるでしょう。
この場合に大切なのは、予算に応じたコンバージョン数を事前に予測することです。これにより、予算の無駄遣いを防ぎ、より効率的な広告運用ができるようになります。
目的2:目標コンバージョン数の達成に必要な予算を推定するため
もう一つの目的は、目標コンバージョン数の達成に必要な予算を推定するためです。予算からコンバージョンを推測するのとは逆に、望む結果から必要な予算を計算することで、目指す成果に見合った適切な予算の設定ができます。結果として、目標達成に必要十分な予算配分が可能となり、効果的な広告運用につながるでしょう。
ゴール:シミュレーション結果を活かしPDCAを回す
ゴールは、シミュレーションで事前に算出した数値との乖離から、次の施策に展開していくことにあります。
例えば、シミュレーションで算出したキーワードが思っていた以上に検索されず、推定値と実数値が大きくかけ離れているケースでは、キーワードを変更するという対策が打てます。シミュレーション通りに進まないことは、間違いではありません。「そのキーワードより、あとから設定したキーワードのほうがユーザーの反応がよい」という情報を得ることができます。
このような情報は、今後の広告戦略で大きな財産になるでしょう。実際の運用が始まってからのPDCAを効率的に回すためには、データを基盤としたシミュレーションの事前準備が極めて重要だといえます。
リスティング広告のシミュレーションを作成する際に必要な指標
それではリスティング広告の具体的なシミュレーション作成に入っていきましょう。シミュレーション作成に最低限必要な数値は以下です。
- 表示回数(IMP)
- クリック数(CTS)
- クリック率(CTR)
- クリック単価(CPC)
- コンバージョン数(CV)
- コンバージョン率(CVR)
- コンバージョン単価(CPA)
- 費用(COST)
1.表示回数(IMP)
IMPはインプレッションです。ユーザーに対して広告が「表示」されることを指します。
下記画像を見てみると、「リスティング」というキーワード検索で4つのサイトが広告として表示されています。1回の表示で1インプレッションが計上されるので、この4つのサイトは1IMPとなります。
リスティング キーワード
2.クリック数(CTS)
クリック数はその名のとおり、広告がクリックされた回数です。表示回数が高くてもクリック数が低ければ、そのサイトはあまり閲覧されていないことになります。
表示されるタイトルやディスクリプションを工夫して、クリック数を上げていく施策が重要になります。
3.クリック率(CTR)
クリック数(CTS)÷表示回数(IMP)で算出できるのがCTR(クリック・スルー・レート)です。例えば、500回表示された内、10回クリックされた場合、そのサイトのCTRは0.02となります。
広告表示を見た2%のユーザーがクリックすることを表しています。表示回数を増やすこと、クリック数を増やすことも必要ですが、CTRを向上させるとより効率的な広告運用となります。
4.クリック単価(CPC)
クリック1回あたりにかかるコストをCPC(コスト・パー・クリック)と呼びます。
例えば、10万円かけて稼いだクリック数が400だった場合、1クリックあたり250円で獲得した計算になります。つまり、CPCは250です。
5.コンバージョン数(CV)
CVはコンバージョンです。最終的な成果のことを指しており、リスティング広告ではいかにコンバージョンを獲得するかが鍵となります。
コンバージョンの定義はサイトによって違います。商品購入をCVに設定するサイトもあれば、資料請求のユーザーのアクションをCVとするサイトもあります。サイトの目的に合わせてCVを設定しましょう。
6.コンバージョン率(CVR)
CVRはコンバージョン・レート。顧客転換率のことです。コンバージョン数(CV)÷サイト全体のアクセス数で算出できます。
あるランディングページの月間アクセスが30万、そのうち商品購入につながったCVが150件あった場合、CVRは0.0005。パーセンテージにすると0.05%となります。サイトを訪問したユーザーが0.05%の確率で商品を購入することがわかります。
7.コンバージョン単価(CPA)
広告戦略ではCPA(コスト・パー・アクション)は特に注視すべき数値です。新規顧客1人あたりの獲得単価をあらわしたものです。
こちらは広告費(CPC)÷コンバージョン数(CV)で算出します。100万円の予算で20件のCVを獲得した場合、CPAは50,000円。
例えば、この商品が数百万円の自動車だった場合、50,000円の広告費で1台が売れる計算となり、とても有効な広告戦略といえるのではないでしょうか。逆に単価150円の文房具だったと仮定すると、1つ売るのに50,000円もかけるのは非効率的でしょう。
リスティング広告のシミュレーションツールのおすすめ4選
シミュレーションをおこなう際は、ツールを利用すると効率的です。ツールには大きく分けて、媒体が提供する無料の公式ツールと有料の広告シミュレーションツールがあります。
おすすめのシミュレーションツールは、次のとおりです。
- Google広告:キーワードプランナー(無料)、パフォーマンスプランナー(無料)
- Yahoo!広告:Yahoo!広告内のキーワード見積もり機能(無料)
- Lisket(有料)
それぞれのシミュレーションツールの特徴を紹介します。
ツール名 | 無料/有料 | 特徴 |
Google広告:キーワードプランナー | 無料 |
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Google広告:パフォーマンスプランナー | 無料 |
|
Yahoo!広告:キーワード見積もり機能 | 無料 |
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Lisket | 有料 |
|
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シミュレーションの作成方法
では、実際にシミュレーションを作成してみましょう。シミュレーションの作成には、Googleキーワードプランナーを活用します。
またシミュレーションフォーマットは必要項目が入力されていればなんでもよいと思います。エクセルやGoogleスプレッドシートなどの活用をおすすめします。
目標数値からシミュレーションを算出する
まずは、目標数値が決まっているケースから。このシミュレーションで、目標となるコンバージョン数を達成するために、どれほどの予算が必要かを割り出すことができます。
今回はGoogleとYahoo!JAPANともに5件、計10のコンバージョン数を目標とします。また、利用するフォーマットは「コンバージョンの目標が決まっている場合の配信シミュレーション」です。
フォーマットのコンバージョン欄にそれぞれ5と入力したら、次はクリック率、クリック単価、コンバージョン率を調べます。ここでGoogleキーワードプランナーを活用します。
右の「検索のボリュームと予測のデータを確認する」をクリックすると調べたいキーワードを打ち込むボックスが出てきます。ここにリスティング広告で狙うキーワードを入力。今回はわかりやすく「リスティング」と「シミュレーション」の2つを入力してみましょう。
「開始する」をクリックすると、結果がすぐに出てきます。
リスティング広告で扱う数値は上段にあるタブの「予測」から見ます。
ここでクリック率が6.0%、クリック単価が160円とわかりました。Googleの欄に記入しましょう。
コンバージョン率はGoogleキーワードプランナーで測ることができません。過去の運用実績から引用する、または0.1%から2%の間で仮定するのが一般的です。今回は計算がわかりやすいようにコンバージョンを1%に設定してシミュレーションします。すると自動で表示回数、クリック数、費用、コンバージョン単価が算出されます。
Yahoo!JAPANの欄はクリック1回あたりにかかるコスト(CPC)に注意してください。先述のとおり、Yahoo!JAPANはCPCがGoogleの2分の1程度なので、CPCのみ80円に設定します。
このように、Googleに80,000円、Yahoo!JAPANに40,000円を充てた計120,000円のコストでコンバージョン10件が獲得できるシミュレーションが完成しました。
しかし、これで終わりではありません。Yahoo!JAPANはIMPの数値もGoogleの半分程度と想定されています。つまり、表示回数が同数なのは非現実的です。数値を現実的なものにするために、コンバージョンの割合を変更します。
Googleのコンバージョンを6、Yahoo!JAPANのコンバージョンを4としましょう。
Googleが10,000IMPに対してYahoo!JAPANが6,667IMPとなりました。この数値であれば現実的なラインかと思います。コンバージョンの値を変えたことにより、コンバージョン単価が変動。それにともない広告費用も変わっています。
ということで、合計CV10を達成するためにはGoogleでCV6、Yahoo!JAPANでCV4を獲得し、想定される広告費用の総額が128,000円と算出されました。
予算からシミュレーションを算出する
続いて広告予算が確定しているシチュエーションで算出してみます。この場合は「予算が決まっている場合の配信シミュレーション」のフォーマットを利用しましょう。
まず入力するのは広告費用です。仮に合計40万円とし、GoogleとYahoo!JAPANを均等に分けてみます。それぞれの広告費用欄に200,000と入力します。
次にGoogleキーワードプランナーで費用を合わせます。今回設定した200,000円にするため、1日の平均予算を動かしましょう。
1日の平均予算6,400円で月の予算が200,000円となりました。では、先ほどと同様に、Googleキーワードプランナーで予測されたクリック率とクリック単価を入力します。コンバージョン率も同じく1%と仮定します。また、Yahoo!JAPANは260円の2分の1、130円で計算しましょう。
こちらは広告費用、クリック率、クリック単価、コンバージョン率を入力すればその他の数値が自動で算出されます。ここまでのシミュレーションで、GoogleでCV8、Yahoo!JAPANでCV15、合計CV23件を獲得できる計算です。
ここからは、先ほどと同様にIMP数が現実的かどうかを確認する必要があります。同額の費用でYahoo!JAPANのIMPがGoogleの2倍程度となっており、やはり非現実的。予算からシミュレーションを算出する場合は、広告費用の割合を変更します。
Googleに320,000円、Yahoo!JAPANに残り80,000円をかけると想定すると、Googleが25,118IMP、Yahoo!JAPANが12,559IMPとなりました。この辺りが落とし所でしょう。
結果、合計400,000円の広告予算であれば合計18のCV獲得が見込めるシミュレーションができました。
リスティング広告のシミュレーションをおこなう際のポイント
シミュレーションをおこなう際は、次の4つのポイントを押さえておくことが重要です。
- 精度にこだわりすぎない
- 作成に時間をかけすぎない
- できるだけ自社のデータを使う
- 実際の成果との差を確認し改善に役立てる
それぞれ解説します。
精度にこだわりすぎない
シミュレーションの結果と実際の数値が大きく乖離しても、精度にこだわりすぎないことが重要です。数値に影響する要素は時間の経過とともに変化するため、完全な一致を求めるのは現実的ではありません。
消費者の行動や競合他社の状況など、さまざまな要因が結果に影響を与えます。また、自社の広告や遷移先ページに問題があることでシミュレーション結果を下回るケースもあります。
重要なのは、この乖離を認識し、運用後の結果分析と検証を継続的におこなうことです。シミュレーションは予測ツールとして活用し、実際の運用結果との差異を学びの機会としてとらえることが大切です。
作成に時間をかけすぎない
シミュレーションで算出される表示回数、クリック数、CVやCTRなどは推定の値です。そのため、シミュレーション作成に過度に時間をかけすぎないことが重要です。長時間かけて精緻なシミュレーションを作成しても、実際の結果が必ずしもそれに沿うとは限りません。
また、シミュレーション完成から実際の運用開始までに時間がかかりすぎると、その間に市場環境が変化し、シミュレーションの前提条件が崩れる可能性があります。キーワードの検索ボリュームや必要な広告予算の概要が把握できた段階で、実際の運用を開始し、実データをもとに調整していくほうが効果的です。
できるだけ自社のデータを使う
外部の一般的なデータを使ってシミュレーションをおこなうと、実態と乖離する恐れがあります。業界や商品、サービスの種類によってコンバージョン率などの指標は大きく異なるため、一般的な平均値をそのまま適用するのはおすすめできません。
業界によってコンバージョン率の平均値は幅広く分布しています。また、同じ業界内でも、扱う商品やターゲット層によって指標が異なることも珍しくありません。したがって、可能な限り自社の過去のデータや類似キャンペーンのデータを使用することが重要です。自社データがない場合は、業界特有のベンチマークを参考にしつつ、慎重に予測を立てる必要があります。
実際の成果との差を確認し改善に役立てる
広告運用をスタートしたあと、実際の成果とシミュレーションとの差を確認することが重要です。
例えば、表示回数が想定より少ない場合は、キーワードの選定や入札戦略を見直す必要があるかもしれません。CVRが想定より低い場合は、ランディングページの改善や広告文のテストが必要になります。
これらの差異を詳細に分析することで、効果的な改善策が見出せます。また、実績データをもとにシミュレーションを更新すれば、将来の予測精度を高めることができます。
継続的な分析と改善のサイクルを確立することが、リスティング広告の成功につながります。
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- この資料で分かること
- 広告運用でありがちな失敗~なぜ成果がでないのか?
- 支援事例①CVRを高めCV1.5倍を実現
- 支援事例②CPAが5分の1に。きめ細かな運用が決め手に
- 支援事例③LPの改修でCVRが約5倍に
まとめ
リスティング広告のシミュレーションは、効果的な広告運用のための重要な方法です。予算設定や成果予測に役立ちますが、シミュレーションはあくまで予測であり、実際の結果と異なる可能性があります。
そのため、精度にこだわりすぎない、自社データを活用する、適切な時間配分で作成する、実績との差を分析するなどのポイントを押さえておくことが重要です。
シミュレーションを通じてリスティング広告の効果を高め、WEBマーケティング戦略を強化していきましょう。