社内やビジネスの取引先でのやり取りで、「グロス」と「ネット」という言葉を聞いたことはあるけれど、正直よくわからないという方はいませんか?広告業界ではグロスやネットという言葉が頻繁に使われますが、その違いを正確に理解している方は意外と少ないものです。
これらは広告費の計算や契約に直結する重要な概念であり、理解が浅いと「想定よりコストが高かった」「成果の判断が難しい」といった問題が起こりかねません。
この記事では、「グロス」と「ネット」の違いや計算方法、注意点などを初心者の方にもわかりやすく解説します。広告費を適切に管理して効果的な広告運用をおこなうために、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
広告業界におけるグロス・ネットとは
「グロス」と「ネット」の意味を把握しておくと、広告費用の管理や契約内容の理解がスムーズになり、トラブルも未然に防げます。
ここではそれぞれの言葉の意味をさらに詳しく、具体例を交えながら解説していきます。
グロスとは
グロスとは、広告費の「総額」を意味します。広告代理店が広告主に請求する金額の総額であり、広告媒体への掲載費用に加えて広告代理店が受け取る手数料(マージン)も含まれています。
簡単にいえば、広告費用全体の合計金額を指すのがグロスです。例えば、ある広告キャンペーンのグロス金額が100万円だとすると、そのなかには実際の広告掲載費(例:85万円)と代理店手数料(例:15万円)が含まれています。
このように、広告主はグロス金額を支払い、代理店がそこから必要な広告掲載費を支払います。広告費の計算で「グロス」という言葉が出てきた場合は、「すべて込みの金額」と理解しておくとよいでしょう。
ネットとは
ネットとは、広告費から代理店手数料(マージン)を差し引いた「純粋な広告掲載費」を意味します。つまり、実際に広告媒体(テレビ、新聞、WEBサイトなど)へ支払われる金額がネットです。
先ほどの例でいえば、グロス金額100万円のうち代理店手数料が15万円だとすると、ネット金額は85万円となります。この85万円が、広告媒体に実際に支払われる費用です。
広告主にとってネット金額は、広告自体の実コストを知るうえで重要です。例えば、「ネットでいくらの広告が掲載されるのか」を正確に把握することで、費用対効果を計算しやすくなります。
広告代理店と話す際には、グロスとネットのどちらの金額で計算されているかを確認することが大切です。
マージンとは
マージンとは、グロス金額とネット金額の差額、つまり広告代理店が受け取る「手数料」のことを指します。広告代理店の収益部分にあたるため、広告主にとっては「代理店への支払い額」というイメージです。
先ほどの例だと、グロス金額が100万円でネット金額が85万円の場合はマージンは15万円となります。
この手数料は、広告の企画立案や運用管理、効果測定など、代理店が提供するサービスの対価として設定されています。
マージン率は通常、グロス金額に対して〇%という形で設定されており、10~20%程度が一般的です。ただし、代理店や契約内容によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
広告主としては、マージンの金額や比率を理解することで、代理店のサービス内容や費用の妥当性を判断する材料になります。
ネット・グロスの計算方法
広告費を計算する際には、「ネット建て」と「グロス建て」の2つの方法があります。
それぞれの計算方法を理解しておくと、広告代理店との契約や費用の精査がスムーズになり、広告費用を正確に把握することが可能です。
ここからは、ネット建てとグロス建ての違いをわかりやすく解説し、それぞれの計算方法を具体例を交えて説明します。
ネット建て
ネット建てとは、純粋な広告掲載費(ネット金額)を基準に計算する方法です。この場合、広告代理店の手数料(マージン)はネット金額に対して計算されます。
例えば、広告掲載費が100万円で、代理店の手数料率が15%の場合、計算は以下のようになります。
ネット金額 | 100万円(広告掲載費) |
手数料 | 100万円 × 15% = 15万円 |
グロス金額 | 100万円(ネット金額) + 15万円(手数料) = 115万円 |
このように、ネット建てはまず広告掲載費(ネット金額)を決め、そのうえで手数料を加算して総額(グロス金額)を求める計算方法です。
ネット建てで提示される金額は純粋な広告掲載費が明確になるため、広告主にとって費用対効果が把握しやすくなるメリットがあります。
グロス建て
グロス建てとは、手数料込みの総額(グロス金額)を基準に計算する方法です。この場合、代理店手数料(マージン)はグロス金額に対して計算されます。
例えば、グロス金額が115万円で代理店の手数料率が15%の場合、計算は以下のようになります。
グロス金額 | 115万円(総額) |
手数料 | 115万円 × 15% = 17.25万円 |
ネット金額 | 115万円 – 17.25万円 = 97.75万円 |
このように、グロス建ては最初に広告費の総額(グロス金額)が提示され、その中から手数料を差し引いてネット金額が決まる計算方法です。
グロス建ては一見、総額がわかりやすいように見えますが、実際の広告掲載費(ネット金額)が不透明になりやすいデメリットがあります。
どちらの計算方法が使われるかは代理店や契約内容によりますが、事前にしっかり確認しておくことが重要です。
グロスとネットの注意点
グロスとネットの計算方法を理解することは重要ですが、それだけでは不十分です。実際に広告運用をおこなう際には、さらに具体的な注意点を押さえておく必要があります。
計算方法を誤解したり認識のズレが生じると、広告予算を適切に管理できず、無駄なコストが発生する可能性もあります。
グロスとネットの注意点は、以下の3つです。
- 広告代理店へ依頼する際にはどちらの計算方法か確認しておく
- CPAの計算はグロスとネットの両方で算出しておく
- 広告費を明確にするならネット建てがおすすめ
それぞれ解説します。
広告代理店へ依頼する際にはどちらの計算方法か確認しておく
広告代理店に依頼する際には、広告費の計算方法が「グロス建て」か「ネット建て」かを事前に確認することが重要です。
同じ広告予算でも、どちらの計算方法が採用されているかによって、実際に使われる広告掲載費(ネット金額)が異なる場合があるからです。
グロス建てとネット建ての違いを把握していないと、「思ったより広告費用が高い」と感じたり、費用対効果を正確に計算できなくなったりします。
そのため、代理店に見積もりや請求書をもらった際には、どちらの計算方法で提示されているのかを必ず確認し、不明点があれば具体的に尋ねることが大切です。
CPAの計算はグロスとネットの両方で算出しておく
CPAは、1件の成果を獲得するためにかかったコストを示す指標で、広告の費用対効果を判断する際に使用します。この計算をおこなう際には「グロス金額」と「ネット金額」の両方を用意しておくことをおすすめします。
例えば、グロス金額でCPAを算出すると、広告代理店の手数料も含めたコストが計算されるため、広告主が実際に支払うトータルの費用対効果を把握できます。
一方、ネット金額でCPAを算出すれば、広告媒体そのものにかかったコストのパフォーマンスを知ることが可能です。
これらを併せて算出しておくことで、広告運用の全体的な効率と純粋な広告費用の効果を両方チェックできるため、より正確な判断ができます。
広告費を明確にするならネット建てがおすすめ
広告費をより明確にし、運用コストを把握しやすくするためにはネット建てを選ぶのがおすすめです。
ネット建てでは純粋な広告掲載費が明示されるため、「実際に広告にどれだけお金を使ったのか」が正確にわかります。
一方、グロス建ては手数料込みの総額で提示されるため、一見シンプルに見えますが、実際の広告掲載費用が不透明になる場合があります。
広告運用の費用対効果を正確に計算したい場合や、複数の代理店や媒体を比較する際には、ネット建てのほうが適しているといえます。
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リスティング広告で成果を出すためには、エクセルやPDFのレポートだけでは情報が不十分だと考えています。当社では、GA4とGoogle広告の連携や、必要に応じて広告アカウントへの「閲覧権限」の付与などを行い、明朗な費用提示を心がけています。ぜひ一度、広告診断をさせていただければと思います。
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- レポートの提出のみで効果改善のための提案がもっと欲しい
- 予算内でもっと効果をあげたい
まとめ
「グロス」と「ネット」は広告費用の計算方法で重要な概念で、それぞれにメリットや注意点があります。
これらを正確に理解することで、広告運用の効率や費用対効果を高められます。本記事を参考に、適切な選択と運用を心がけましょう。