今、最も勢いがあるSNSといえばTikTokでしょう。若年層を中心に多くの人が閲覧しているTikTokで広告を展開したいと考える企業も少なくありません。本記事ではTikTok広告の特徴から出稿方法、活用するうえでのポイントまでわかりやすく解説していきます。
TikTok広告とは
TikTokに広告を出稿する前に、「TikTokとはどういったメディアなのか」、「どのような広告枠があるのか」を知る必要があります。まずは特徴や出稿するメリットをよく理解しておきましょう。
ショートムービーに特化したSNSである
TikTokの大きな特徴として挙げられるのが「ショートムービー」です。文字や写真を投稿してコミュニケーションするというより、動画をシェアして楽しむSNSです。「楽曲に合わせてダンスをする」、「化粧の方法を紹介する」など“動き”に特化した作品が集まるメディアであると認識しておきましょう。
年齢層が意外と広い
日本では2017年からサービス提供がスタート。翌年2018年から10代、20代にヒットしました。これにより「TikTokは若年層が見るもの」というイメージがあるかもしれません。日本では現在950万人以上のアクティブユーザーがいるとされていますが、最も多いユーザーの年齢層は40代。実は、意外にも幅広い年齢層のユーザーがTikTokを活用しているのです。
縦画面を活かした動画広告である
現在、スマートフォンで閲覧させる動画は縦画面が主流となっています。これはユーザーがスマートフォンをわざわざ横に向けなくても済むように配慮されているから。TikTokユーザーもスマートフォンの操作画面でそのまま閲覧します。したがって、縦画面を活かした動画広告を出稿するのがベターです。
広告運用費が高め
近年、ユーザー数や閲覧数が伸びてきているTikTokはFacebook広告やTwitter広告と比べて、広告運用費が高めに設定されています。当然、テキストや静止画ではなく動画を配信するため、それなりのコストを見込んでおいたほうがよいでしょう。
TikTok広告の種類
それではTikTok広告の種類を見ていきましょう。TikTok広告は大きく分けて4つの出稿方法があります。
起動画面広告
「起動画面広告」はその名の通り、ユーザーがTikTokを起動した際に表示される広告枠です。すべてのユーザーに表示されるため、とても有効なブランディング手段です。一方、1日につき1社のみの限定配信なので、出稿コストは高額。また、枠の確保もハードルが高いものになっています。
インフィード広告
反対に「インフィード広告」は出稿ハードルが低い枠です。こちらはユーザーが閲覧する投稿欄の「おすすめ」に表示される動画広告。一般投稿に紛れる形で掲載されるので、ユーザーにストレスを与えず自然と閲覧される形式になっています。通常の投稿と同じく、いいねやコメントがえられるので、ユーザーの反応を見るのにも適しています。
ハッシュタグチャレンジ
TikTokならではのプロモーションが「ハッシュタグチャレンジ」。広告主が#でテーマを設定し、ユーザーがテーマに見合った動画を作成していきます。いわゆるユーザー参加型のプロモーションなため、おもしろいテーマや見栄えのよい動画が集積されれば爆発的な効果も期待できます。
運用型広告
一般的なSNS広告に近い形で配信できるのが「運用型広告」です。TikTok内ではユーザーの投稿欄に配信されますが、TikTok以外のアプリへの配信も可能。年齢や性別などのターゲティングができるため、直接的なコンバージョン獲得を狙いたいときにおすすめです。
TikTok広告の課金方式
次にTikTok広告の課金方式を見ていきましょう。先述のとおりTikTok広告は他のSNS広告に比べて広告運用費は割高です。課金方式をしっかり把握して、無駄のない広告出稿を目指しましょう。
クリック課金型
ポピュラーなクリック課金はTikTok広告でも採用されています。クリックされた分だけコストが発生するため、無駄な費用は抑えることができます。1クリックあたりの相場は30〜100円程度。相場が100円だった場合、1,000クリックで100,000円のコストが発生する仕組みです。原則として広告に興味を持つユーザーがクリックするので、商品やサービスの成約につながりやすい課金方式といえるでしょう。
インプレッション課金型
単価を抑えて認知拡大に絞るならインプレッション課金が適しています。こちらは広告が表示されるだけでコストが発生します。ただ、1,000回の表示でも100円から1,000円ほどなので、コストパフォーマンスは悪くありません。新商品の展開やキャンペーン告知などで積極的に利用している企業が多く見られます。
再生課金型
「再生課金型」はTikTokなどに見られる動画広告において、有効的な課金方法です。動画の再生数に応じてコストが発生。また、ユーザーが一定時間を置かずに「スキップ」した場合は課金されません。広告に興味を持って動画を見続けたユーザーに課金して、スキップしたユーザーには課金しないため、費用対効果に優れた課金プランです。デメリットは費用。1再生あたり5、60円が相場で、動画制作にも費用がかかります。
期間契約型
決められたコストで運用する場合は「期間契約型」がわかりやすいでしょう。契約期間内は一定数の広告枠が固定金額で配信されます。動画の再生回数や表示回数でコストが変動しないため、毎月決められた額で広告運用している企業に合った課金方式となっています。
TikTok広告を出すための手順
次にTikTok広告を出稿するための手順を説明します。TikTokは他のSNSと違って広告アカウントのみを作成すれば出稿可能となります。手間がかからないので、SNS広告運用にチャレンジする最初のアカウントにも適しています。
はじめにTikTok For Businessにアクセス
まずは公式サイト「TikTok For Business」にアクセス。アカウント開設のためにメールアドレス、パスワードを入力します。
1.アカウント登録
「コードを送信」をクリックすると、登録したメールアドレスに認証コードが通知されるので、そちらを認証コード欄に入れて登録に進みます。
2.アカウント情報の入力
広告アカウントの設定ページでは業種、ビジネス名、電話番号などを入力します。
3.請求情報の選択
請求情報の選択は自動決済(あと払い)と手動決済(前払い)の2つ。いずれかを選択してください。
4.モードの選択
次に「広告マネージャーモード」の設定です。こちらは「簡易モード」と「カスタムモード」のどちらかを選びます。簡易モードはキャンペーンの作成や管理がしやすい簡易的なUIとなっており、カスタムモードは企業のプロモーション戦略に合わせてカスタムできる仕様となっています。あとから切り替えることもできるので、SNS広告運用初心者であれば簡易モードを選んでおきましょう。
5.目標の設定
広告マネージャーでは、まず①に「目標を設定する」があります。簡易モードの場合「トラフィック」、「コミュニティインタラクション」、「リード生成」「ウェブサイトのコンバージョン数」の4つから選ぶことができます。
6.オーディエンスの設定
②は「オーディエンスを選択する」です。こちらは「カスタムオーディエンス」と「自動オーディエンス」の2つより選択。カスタムオーディエンスは「デモグラフィック」と「興味&行動ターゲティング」もそれぞれ設定します。自動オーディエンスは詳細の設定が不要なので、まずはこちらで任せてみるのもよいでしょう。
オーディエンスの設定では下部に「どこに広告を表示させたいですか?」と問いがあるので「TikTok」、「Pangle」、「キュレーションAPP」から選びましょう。こちらは複数選択が可能です。
7.予算・スケジュールの決定
③は「予算を設定する」となっています。日予算か通算予算を選び、任意の予算を入力しましょう。「広告キャンペーンのスケジュールを設定する」に進み、日付を設定すれば③は完了します。
8.広告の作成
最後に④の「広告を作成する」です。「TikTokアカウントで投稿」と「TikTok広告マネージャーアカウントで投稿」があります。TikTokアカウントを作成していなければマネージャーアカウントで問題なく作成できます。そのまま動画をアップロードしましょう。
9.広告情報の入力
広告情報の入力は「ピクセルとイベントの設定」、「広告クリエイティブの設定」、「広告審査」の3つの手順を進めると完了です。アルコールやタバコ、ギャンブル、アダルト商品、政治的コンテンツなどは審査に通らないので注意しましょう。
10.支払い金額の決定
「お支払方法を設定する」をクリックすると広告マネージャーに遷移するので、そこで支払い金額の決定をおこないます。
11.支払い方法の選択
「お支払方法を追加」でクレジットカード、もしくはデビットカードかペイパルを選択できます。いずれかを選んで送信します。次いでカード情報を入力し認証されたら設定完了となります。
12.配信開始
広告の「公開」をクリックすれば審査が開始。広告審査は1日程度です。審査が終了すれば設定した条件で広告が配信されるようになります。
TikTok広告を出す際のポイント
TikTokへの広告出稿手順はアカウント内でわかりやすくナビゲーションしてくれるので、比較的スムーズに進むでしょう。特にこだわらなければならないのは配信するクリエイティブです。ここではTikTok広告を出す際のポイントや注意点を挙げていきます。
最初の数秒が勝負
動画広告は最初のインパクトが肝心です。先述のとおりTikTokにはスキップ機能があるので、ユーザーの興味関心を数秒で集めなければせっかく制作した動画も見られなくなります。まず、動画の出だしを工夫しましょう。
広告感を出さない
一般の投稿に溶け込むような形で広告配信されているので、当然のことながら動画の内容も広告感を出し過ぎるのはNGです。あくまでユーザーを楽しませるための制作を心がけましょう。
既存の楽曲は使用できない
TikTokで常に話題になるのは著作権問題です。「CD音源をそのまま使用する」など既存の楽曲は使用できないので注意しましょう。一方、完全なオリジナル楽曲の配信やJASRAC管理の楽曲を自身がカバーすること、TikTokが公式に提供している音源を使用することはOKです。
広告配信後の修正はできない
TikTokへ広告を配信したあとは修正ができなくなります。合わせて、申し込み後のキャンセルも不可です。動画の内容と配信設定はしっかり確認してから始めるべき。広告出稿まで、余裕のあるプロモーションスケジュールを組むことが大切です。
まとめ
TikTok広告は今、SNSのなかでも注目のプロモーション手法です。2021年にはTikTokで紹介されたものが売れる「TikTok売れ」がトレンドになりました。エンタメ力、拡散力、爆発力を兼ね備えたTikTokの運用は、今の時代にぜひともマスターしておきたいスキルです。