Pinterest(ピンタレスト)は、情報収集ツールの一つとしてシェアを拡大中のプラットフォームで、日本でも2022年6月から広告サービス「Pinterest アド(Pinterest 広告)」が提供されています。しかし、広告の運用方法や必要な準備などがよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、Pinterest アド(Pinterest 広告)について、その特徴や種類、配信方法などをわかりやすく解説します。Pinterest アドでの広告運用を検討している場合、ぜひ参考にしてみてください。
目次
Pinterest(ピンタレスト)とは?
Pinterest(ピンタレスト)は、インテリアやファッションなど、生活をもっと楽しくしてくれるアイデアを発見・整理できるツールです。
例えば、画像や動画を投稿する、気に入った画像を保存してまとめる、友人とシェアするなどのさまざまなサービスが利用できます。X(Twitter)やInstagramなどのSNSの主な目的はユーザー同士の交流ですが、Pinterestでは欲しい情報やアイデアを探す場合に使われることが多いです。
Pin(ピン)の探し方
Pinterestには、「Pin(ピン)」と呼ばれる多様な画像や動画が投稿されています。
ピンを探す方法は、主に下記の2つです。
- ホームフィード
- 検索
それぞれ解説します。
1.ホームフィード
Pinterestを開いて最初に表示されるのが、「ホームフィード」です。タップアクションや保存したピンをもとにした独自の機械学習によって、ユーザーが興味を引きやすいピンの表示がされます。
また、関連する情報を探索できる仕組みもあり、ピンをタップした場合、ピンの下部に「似ているピン」などのおすすめが表れます。
2.検索
Pinterestでは、情報やアイデアを探すための検索機能も提供されており、好きなキーワードを検索窓に入れて、簡単に検索できます。
また、検索後は、検索窓の下に関連するキーワードが表示されるため、より詳しく検索が可能です。検索は、キーワードからだけでなく、撮影したカメラ画像から画像解析することによってもできます。キーワードでの検索が難しいファッションやインテリアを探すには、この機能が役立つでしょう。
Pinterestの特徴
Pinterestには、ユーザー層や人気カテゴリ、非指名検索率に対しての特徴があります。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
1.ユーザー層
Pinterestは、世界では4億5000万人以上が利用しており、日本の月間利用者数は870万人(2020年12月ニールセン調べ)とされています。
男女比率は女性が57%、男性が43%で、世代別では約半数をミレニアル世代(30%)と Z 世代(23%)が占め、35% が子供がいる親です。性別や世代を問わず幅広いユーザーがいますが、特に若年層や女性に多いのが特徴です。
2.人気のカテゴリ
Pinterestにはさまざまなカテゴリがありますが、特に「ファッション」や「インテリア」、「フード」などが人気です。
以前は、「リフォーム」や「建て替え」などが検索に活用される傾向がありましたが、最近では、より身近なスタイルに関するアイデアを探すユーザーが増えています。
3.非指名検索率が97%である
Pinterestでは、上位検索の97%がブランド指定のない2〜3語のキーワードでおこなわれており、「非指名検索率」の高さが特徴です。
例えば、「テーブル ダイニング 二人用」というキーワードのように、具体的な商品名やブランドが決まっていない場合に使われるケースが多いです。よって、商品やサービスの検討をし始めたユーザーにアプローチしやすいプラットフォームだといえます。
Pinterest アド(Pinterest 広告)とは?
「Pinterest アド(Pinterest広告)」は、Pinterest上に配信できる運用型広告です。アメリカなどの海外で提供されていましたが、2022年6月1日からは日本でも開始しています。
Pinterest アドの特徴
Pinterest アドの特徴は、下記の3つです。
- 広告感のない自然な画像や動画で投稿される
- 新しいアイデアを探しているユーザーにアプローチできる
- さまざまな目的や配信フォーマットに幅広く対応できる
それぞれ解説します。
広告感のない自然な画像や動画で投稿される
Pinterest アドの最大の特徴は、通常の投稿になじむ形で配信されることです。他のピンに溶け込むような自然な画像や動画で投稿されるため、広告感がなくなります。ユーザーにクリックしてもらいやすい点が大きなメリットです。
新しいアイデアを探しているユーザーにアプローチできる
Pinterestでの検索の97%が非指名検索、ということは、アイデアを探す目的で利用するユーザーが多いといえるでしょう。そのため、Pinterest アドの配信によって、新しいアイデアを探しているだけで、まだ購入する商品を決めていないユーザーへのアプローチが可能です。
さまざまな目的や配信フォーマットに幅広く対応できる
Pinterest アドでは、画像や動画、アイデアピン、カルーセルなどさまざまなフォーマットのクリエイティブが配信できます。また、認知拡大、比較検討、コンバージョン、オフラインの売上、などのさまざまな目的に適したソリューションが用意されているのも特徴です。商材やターゲットに合わせた戦略を立て、魅力的な広告クリエイティブを作成・配信することで高い成果が期待できます。
参考元:行動へと促す Pinterest アド|Pinterest Business
Pinterest アドの種類
Pinterest アドには、次のようなさまざまな広告フォーマットがあります。
広告フォーマット | 詳細 |
画像 | 1枚の画像で作成 |
カルーセル | 2〜5 枚の複数の画像で作成
(スワイプして表示) |
動画 | 「スタンダード動画アド」とも呼ばれ、通常のピンと同じサイズの動画が利用可能です。 |
ワイド動画 | ユーザーのモバイル画面全体に表示される動画 |
コレクション | モバイルデバイスのフィードに、メイン画像と3枚の画像のスタイルで表示される |
アイデアピン | 複数の動画や画像、リスト、カスタムテキストを組み合わせ、1つのピンとして表示される
※オーガニック投稿としての作成のみ可能 |
ショッピングアド | データフィードを利用したダイナミック広告
ユーザーがPinterestで見つけた商品の購入を促進する |
種類としては、大きく「画像」と「動画」の2つに分けられるため、それぞれのレギュレーションを紹介します。
画像のレギュレーション
画像は、20MB以下の「.JPG」または「.PNG」形式が利用可能です。アスペクト比が2:3より大きいとユーザーのフィードに一部しか表示されないおそれがあるので、注意しましょう。
動画のレギュレーション
動画の場合、2GB以下で、「H.264エンコード」または「H.265エンコード」の「.MP4」、「.MOV」、「.M4V」形式が利用できます。動画の長さは4秒〜15分で、アスペクト比は「1:2(幅:高さ」以下、「1.91:1(幅:高さ)」以上です。
スタンダード動画は「正方形(1:1)」または「縦長(2:3 または 9:16)」、ワイド動画は「正方形(1:1)」または「ワイドスクリーン(16:9)」が推奨アスペクト比とされています。
参考元:広告仕様を確認する | Pinterest Business ヘルプセンター
Pinterest アドの配信目的(キャンペーンタイプ)
Pinterest アドでは、次のように、3つの配信目的に応じた5つのキャンペーンタイプがあります。
それぞれ解説します。
認知度を高める:ブランド認知度・動画視聴回数
認知度を高めることを目的としたキャンペーンは、「ブランド認知度」と「動画視聴回数」です。ブランド認知度のキャンペーンは、ブランド、商品、その他のサービスの認知度を高めます。また、動画視聴回数のキャンペーンは、ブランドの認知度を高め、WEBサイトでのアクションを促すために動画をプロモートします。
比較検討を促す:検討促進
比較検討を促すことを目的とするキャンペーンは、「検討促進」です。Pinterestで広告をクリックするユーザーを増やすキャンペーンタイプになります。
コンバージョン数を増やす:コンバージョン数・カタログ販売
コンバージョン数を増やすことが目的のキャンペーンは、「コンバージョン数」と「カタログ販売」です。コンバージョン数のキャンペーンは、WEBサイトでのアクションを促し、カタログ販売のキャンペーンは、ショッピングアドで在庫商品をプロモートします。
Pinterest アドのターゲティング
Pinterestでは、Pinterest上のさまざまなユーザーアクションをもとにした情報がフィードに出てきて、それぞれにカスタマイズされていく仕組みです。そのためPinterest アドでは、ユーザーの興味関心などをターゲティングに利用できます。
また、広告主のWEBサイトでのアクションや保持している顧客情報などを広告配信に活用する機能も用意されています。
ここでは、次の7つのターゲティングを紹介します。
- オーディエンス
- アクトアライクオーディエンス
- インタレスト
- キーワード
- 属性
- プレースメント
- 拡張
それぞれ説明します。
オーディエンス
「オーディエンス」は、WEBサイトへの訪問ユーザーやPinterestの広告主のコンテンツで何らかのアクションを取ったことのあるユーザー、顧客リストから作成して配信する仕組みです。
アクトアライクオーディエンス
「アクトアライクオーディエンス」とは、類似オーディエンスのことで、「オーディエンス」に含まれるユーザーと行動が似ているユーザーにリーチします。
インタレスト
「インタレスト」は、ユーザーの興味関心やライフイベントをもとに配信する仕組みです。関連したトピックの選択することで、特定のトピックに関心を持つユーザーにリーチします。
キーワード
「キーワード」では、ユーザーがPinterestで検索する際のキーワードまたはフレーズを指定してターゲティングします。また、対象の除外も可能です。
属性
「属性」は、性別、年齢、場所、言語、デバイスを選択して絞り込みをおこなうことができる仕組みです。
プレースメント
「プレースメント」では、Pinterestで広告を表示させたい場所を、ホームフィード、検索結果、関連するピンから選択できます。
拡張
「拡張」は、設定したターゲティングをもとに、類似するキーワードとインタレストを検索しているユーザーも自動的に広告のターゲットに設定できる仕組みです。
Pinterest アドの配信方法
Pinterest アドを配信する場合、下記の5つの手順でおこないます。
- ビジネスアカウントの開設
- WEBサイト認証
- Pinterestタグの設置
- 広告キャンペーン・アドグループ・ピン(広告)の作成
- ビジネス情報・請求先住所
それぞれ解説します。
1.ビジネスアカウントの開設
初めてPinterestを利用するときや、個人アカウントと別のメールアドレスでビジネスアカウントを作成したい場合は、ビジネスアカウントの開設をしましょう。
まずは、Pinterestのトップページから、画面右上の「無料登録」>「無料のビジネスアカウントを作成する」をクリックします。
「メールアドレス」「パスワード」「年齢」を入力し、「アカウントを作成する」をクリックします。
次に、「プロフィール名」を入力し、「WEBサイトをお持ちですか?」のチェックマークを選択、「国/地域」と「言語」は日本・日本語を選びます。
「次へ」をクリックすると、ビジネスアカウントの作成は完了です。
2.WEBサイト認証
次に、WEBサイトの認証をおこないます。
「設定」の「認証済みのアカウント」から「WEBサイト」の横にある「認証」をクリックします。
認証する方法には、「HTML タグを追加する」、「HTML ファイルをアップロードする」、「TXT レコードを追加する」の3つがあるので、選択します。「HTMLタグを追加する」を選ぶことが多いため、このケースで説明します。
ダウンロードをクリックして「HTMLファイル」がダウンロードされたら、サイト管理者にファイルのルートディレクトリへのアップロードを依頼します。
HTMLファイルをアップロードしたあとに表れる「続行する」から、認証する画面に移り、サイトのURLを入力して「確認する」をクリックします。
「接続しました」と表示されたら、WEBサイトの認証は完了です。
3.Pinterestタグの設置
次に、Pinterestタグをサイト上に設置します。
Pinterestタグの設定方法は、下記のとおりです。
- インストール方法を選択する
- ベースコードを追加する
- 「自動エンハンスドマッチ」を設定する>
- イベントコードを追加する
まず、「広告」の「コンバージョン」から「Pinterestタグ」>「タグマネージャー」の画面に遷移します。
「早速始める」からタグの設定をします。あとは、上記の順番で進めていきましょう。
4.広告キャンペーン・アドグループ・ピン(広告)の作成
広告を配信するための基本設定が完了したら、キャンペーンから広告までの作成をおこないます。
「広告」の「キャンペーンを作成する」からキャンペーンの作成をします。
「自動化されたキャンペーン」と「手動によるキャンペーン」の2つが表示されますが、設定を簡潔に済ませたい場合は「自動化されたキャンペーン」がおすすめです。
「手動によるキャンペーン」を選ぶ場合は、「キャンペーンの目的」から指示にしたがって入力していきます。
続いて、アドグループとピン(広告)の作成をおこないましょう。
5.ビジネス情報・請求先住所
初めて広告を配信する際は、キャンペーンの公開後に、請求先住所とビジネス情報の入力が必要です。
請求書先情報には、氏名やメールアドレス、電話番号、住所などを入力し、ビジネス情報では、ビジネス名や住所など自分のビジネス情報を入力します。
まとめ
Pinterestは、インテリアやファッション、レシピなどを中心に、生活をもっと楽しくしてくれるアイデアを発見・整理ができるツールです。
Pinterest アド(Pinterest広告)は、広告感のない自然な画像や動画で投稿されるのが大きな特徴で、クリックされやすいメリットがあります。今回の記事を参考に、ぜひPinterest アドでの広告運用を検討してみましょう。