「動的リマーケティング広告」は、WEB広告において高い宣伝効果の見込める配信手法の一つです。しかし、言葉を聞いたことがあっても詳しく知らなかったり、うまく活用できていなかったり、という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、動的リマーケティング広告のメリットや設定方法、成果を出すための活用ポイントについて解説していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
目次
動的リマーケティングとは
動的リマーケティングは、別名「ダイナミックリマーケティング」とも言い、ユーザーがサイト上で閲覧した商品情報をもとに、閲覧商品やそれと関連する商品を広告としてあと追い配信する手法です。Googleやヤフー、Facebook、LINE、Criteoなどの媒体で配信でき、訪問したユーザーに続けて広告露出をおこなうことで、次回の訪問や購買を促す効果があります。また、ユーザーの閲覧行動をもとに、類似商品の広告をユーザーごとに出し分けることができるのも動的リマーケティングの特徴です。
例えば、ユーザーAとBが革製品のECサイトに訪れ、Aが財布を、Bがバッグを閲覧した場合、Aには財布の広告が、Bにはバッグの広告が表示されるといった具合に、ピンポイントでの訴求が可能です。動的リマーケティングと似ている言葉に、「動的」が付かない「リマーケティング」がありますが、違いはそれぞれのターゲティングの正確度になります。リマーケティングは、サイトに一度訪れたことのあるユーザーに対し、あとで再訪を促す広告配信の仕組みです。どのページを閲覧したか、といった行動分析のデータをもとに、別のサイトを訪問中に特定のバナー・テキスト広告を表示します。
動的リマーケティングは、閲覧商品と関連性の高い商品の広告を配信する仕組みです。過去の閲覧商品によって、「自動的に」広告内容が変わります。広告としての仕組みが違うだけでなく、リマーケティングではすべてのユーザーに同じ広告が表示され、動的リマーケティングでは各ユーザーの閲覧履歴に合わせてカスタマイズされた広告が表示される点が異なります。
動的リマーケティングのメリット
それでは、動的リマーケティングを使って広告運用をおこなう場合、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
主なメリットとして下記の3つが挙げられます。
- 低予算から始められる
- ユーザーに合わせた広告を表示できる
- 配信場所に合わせて広告サイズを自動調整してくれる
それぞれ解説します。
低予算から始められる
通常のリマーケティングと同様、最低出稿金額はありません。そのため、低予算で始めることができるのがメリットの一つです。広告費が少ない場合でも、取り入れやすい配信方法です。
ユーザーに合わせた広告を表示できる
ユーザーに合わせた広告を表示できる点も、大きなメリットです動的リマーケティングでは、ユーザーが過去に見た商品の画像が広告となって配信され、クリックするとその商品ページに遷移します。
例えば、3人のユーザーが靴のページ、Tシャツのページ、カバンのページのみを閲覧して離脱した場合、それぞれに靴のページ、Tシャツのページ、カバンの広告が表示され、クリックで遷移できます。過去に閲覧した商品画像が広告となって表示されるため、確度の高い広告配信が可能です。タグなどによってユーザーの行動情報を把握できない場合は、商品の代わりに企業ロゴが配信されます。
配信場所に合わせて広告サイズを自動調整してくれる
動的リマーケティングでは、商品・サービスの広告サイズを配信場所に合わせて自動調整してくれます。ユーザーが利用しているサイトやサービスに適した広告配信によって、効率良く広告枠全体を活用できます。
動的リマーケティング広告に適した業種
動的リマーケティングでは、品数が多い業種において高い広告効果が期待されます。商材の種類が豊富に揃っていることで、条件ごとに商品を比較したいユーザーに向け、自動でマッチした自社商品をアピールしやすくなります。
動的リマーケティング広告向きとして、「Google 広告」に専用のフォーマットが用意されている業種は下記の8つです。
- 小売(ECサイト)
- 教育
- 求人
- フライト
- 旅行
- 不動産
- 地域限定の商品・サービス
- ホテル、賃貸物件
特に、ECサイトでは、商品数だけでなく、サイズ・カラー、ブランド、素材などさまざまな多くの種類があり、閲覧した商品に関連する商品も数多いです。
例えば、6,000円台のN社の白いスニーカーを1度閲覧したユーザーに対して、同じN社の価格違いのスニーカーや、6,000円台の色違いのスニーカーなどを動的リマーケティングを利用して表示させることができます。同じように、就職活動や転職、アルバイトなどの求人サイトの場合、職種や雇用形態、報酬の多様な組み合わせによって、同じ条件でもたくさんの求人情報があります。
一例として、「東京都渋谷区のマーケティング」の仕事の閲覧履歴があるユーザーには、動的リマーケティングによって、マーケティング系の仕事ではなくても希望年収に近い東京都内の仕事など、高い関連度の求人情報が表示されることが挙げられます。
動的リマーケティングの設定方法
次に、動的リマーケティングの設定方法を紹介します。
動的リマーケティングを設定する際は、次の3つの手順でおこなっていきましょう。
- タグの設定
- データフィードの作成
- 広告の設定
それぞれ、「Google タグマネージャー」を使った「Google 広告」での設定手順を例に挙げて解説します。
タグの設定
通常のリマーケティング同様、動的リマーケティングの場合も、ユーザーの訪問履歴を残すためのタグを設置する必要があります。タグは各媒体の広告管理画面から発行可能です。
まず、広告管理画面の右上にある「ツールと設定」から「オーディエンスマネージャー」をクリックします。
次に、画面左側の「データソース」をクリック、「タグを設定」から「Google 広告タグ」を選択します。「リマーケティング」欄では、「ウェブサイトへのアクセスに関する一般的なデータのみを収集して、お客様のウェブサイトの訪問者に広告を表示します。」を選択し、「制限付きデータ処理の欄」は、チェックを付けず「保存して次へ」をクリックします。
「ウェブサイトへのタグの再インストール」の「タグを設定する」では、「Google タグマネージャーを使用する」をクリックし、「コンバージョン ID」を表示します。
表示された「コンバージョン ID」を、Google タグマネージャーで設定して完了です。
データフィードの作成
タグの設定だけでは、「ユーザーがサイトを閲覧した」という情報の取得はできても、「どのページを閲覧したか」という情報までは取得できません。ユーザーごとに表示させる広告の商品画像や価格、広告文を動的に変える必要があるため、画像や商品名、価格などの商品情報をまとめた「データフィード」を作成します。
Google 広告での作成方法やテンプレートは次のリンクを参照してください。
参考:動的リマーケティング: レスポンシブ広告のフィードを作成する|Google 広告ヘルプ
データフィードは、エクセルやスプレッドシートで管理し、媒体にアップロードする方法が一般的です。ただし、商品点数が膨大で手動管理が難しいサイトや、在庫状況の変動が激しいサイトの場合は、自動でクロールしてデータフィードを生成してくれるデータフィード最適化(DFO)ツールを利用するとよいでしょう。
また、リマーケティングタグで付与させる「固有ID」とデータフィードの「商品ID」は、完全に同一にしなければいけません。固有IDは商品ページのURLから取得するケースがほとんどですが、「/」などの記号の有無でミスが発生しやすいため、注意が必要です。
データフィードをアップロードする手順は下記のとおりです。
- 管理画面の「ツールと設定」から「ビジネスデータ」をクリックする
- 「+」をクリックして「動的広告フィード」から「カスタム」を選択する(自社の広告に合うものの選択も可能)
- データフィードの名前を指定して、ソースとなるファイルやスプレッドシート、ツールのURLをアップロードする
広告の設定
タグとデータフィードが揃ったら、最後に「広告」の設定をおこないます。まずは、広告管理画面の「+」をクリックし、「新しいキャンペーンを作成」を選択します。
自社の目的に合ったキャンペーンの目標を選択し、「ディスプレイ広告」を選択して、続行をクリックします。
キャンペーン設定で「その他の設定」から「動的広告」をクリックし、「パーソナライズド広告向けの動的広告のフィードを使用する」にチェックを入れ、アップロードしたデータフィードを選択します。
最後に、広告グループを作成し、「レスポンシブディスプレイ広告」を作成します。
以上で、動的リマーケティング広告の配信準備は完了です。
動的リマーケティングの活用ポイント
それでは、動的リマーケティングで成果を出すにはどのように活用すればいいのでしょうか。動的リマーケティングの活用ポイントとして、次の3つが挙げられます。
- モチベーションごとに広告や入札額を変える
- 購入したことのあるユーザーは省く
- パソコンとスマートフォンのデバイス実績を確認する
それぞれ解説します。
モチベーションごとに広告や入札額を変える
商品の閲覧のみだったり、購入意思はあっても結局買わなかったりなど、サイトを訪問したユーザーそれぞれでモチベーションが違います。そのため、モチベーションごとに広告や入札額を変えることで、コンバージョン率の向上につながります。データを随時確認しながら、設定を変更するとよいでしょう。
購入したことのあるユーザーは省く
動的リマーケティングの対象は、閲覧しても購入に至らなかったユーザーに絞り、購入したことのあるユーザーへの広告配信は対象外にすると効果的です。また、再購入を促す場合は、最初の購入後30日以上経過したユーザーに配信するターゲティングをおすすめします。
PCとスマートフォンのデバイス実績を確認する
スマートフォンの入札競争はPCよりも激しくないため、PCとスマートフォンの入札単価を同一にすると、スマートフォンのほうに広告がより多く配信される場合があります。動的リマーケティングを利用する際は、PCとスマートフォン、それぞれの実績を確認しながら調整することが重要です。
まとめ
動的リマーケティングは、ユーザーが閲覧した商品の商品データなどをもとに関連性の高い商品の広告を配信する手法です。特徴として、ユーザーが閲覧した商品データによってそれぞれ表示される広告が異なり、ピンポイントで訴求できることが挙げられます。
また、低予算で始められ、配信場所に合わせて広告サイズを自動調整してくれる点もメリットです。動的リマーケティング広告ではクリック率やコンバージョン率の向上が期待できるため、通常のリマーケティング広告では成果が出ないときは、ぜひ一度試してみることをおすすめします。