リスティング広告において、クリック数増加の鍵を握るのは「商標キーワード」でしょう。具体的な企業やサービス名は消費者に効果的です。一方「他社の名称を使用する」ことになるため、注意も必要です。
そこで今回は、商標キーワードを使用するか否か迷っている。または検討している方向けに、商標キーワードの特徴や商標申請、商標制限の申請方法などを解説します。
目次
商標キーワードとは
商標キーワードとは特定の企業やサービス、商品の名称のこと。例えばシャンプーの「パンテーン」やハンバーガーチェーンの「マクドナルド」などが商標キーワードになります。
商標キーワードの特徴
多くの消費者が知っている、またはファンが付いている商標キーワード。リスティング広告では以下のような特徴があります。
購買・成約につながりやすくなる
商標キーワードは、すでにその商品やサービスを知っているという人が検索するキーワード。マクドナルドを知らない人が「マクドナルド」と検索することはないはずです。つまり、商標キーワードの特徴として、まずはそのキーワードで検索する人たちはすでにその商品やサービスを知っていることと、購入を検討していて成約につながりやすいことが特徴として挙げられます。
マクドナルドを食べたいと思わないユーザーが「マクドナルド」と検索する可能性は低いでしょう。他に「モスバーガー」や「バーガーキング」と検索している可能性もありますが、「マクドナルド」も候補のなかに入っていることになります。漠然と「ハンバーガー」と検索する人よりも「マクドナルド」と検索する人のほうがマクドナルドの商品を購入しやすい状態だということがわかります。
また、認知度が低いと商品名で検索されることがないため、認知度に応じて検索される回数も変わってくることも特徴の1つです。
利用許諾は広告アカウント単位で有効
商標キーワードは広告文で使用すると、たとえアカウントの所持者が商標権の所有者であっても、ポリシー違反とみなされてしまうこともあります。そのため、利用許諾をおこなう必要がありますが、これをアカウントごとにおこなうことができるのが商標キーワードの特徴です。
商標キーワードの注意点
商標キーワードは主に他社のネームバリューを活用する意図があります。当然、広告を出稿する際にはいくつかの注意点があります。以下のポイントを十分理解しておきましょう。
自動で出稿されてしまうケースがある
まずは、意図せずに自動的に出稿されてしまうケースがあるという点です。リスティング広告はマッチタイプの設定によって、意図せずに出稿されるかどうかが変わってきます。マッチタイプは「部分一致」、「絞り込み部分一致」、「フレーズ一致」、「完全一致」の4つのタイプがあります。完全一致の場合は、設定したキーワードでしか広告が表示されない設定ですが、部分一致は関連語句やユーザーの最近の検索内容なども含めて幅広いキーワードに対して広告が出稿されます。
※関連記事: リスティング広告におけるマッチタイプ(完全一致・フレーズ一致・インテント マッチ)について解説
そのため「シャンプー」というキーワードに対して部分一致で広告掲載の設定をおこなっていた場合、商標キーワードである「パンテーン」というキーワードに対しても広告が表示されてしまうことになります。自社の商品の広告が競合他社の商品名のキーワードで検索したときに表示されてしまうことが意図せず起こってしまうのです。
広告文での使用は商標権侵害に該当する場合がある
商標キーワードを広告文で使用すると、商標権侵害に該当してしまう場合があるのも注意点の1つです。商標権は商品名や店舗名などを独占できる権利です。第三者の利用によりブランドイメージが低下したり、売り上げが減少したり不利益を被らないように設けられています。
例えば次のような広告文を見てみましょう。
「あのマクドナルドよりもおいしくて安いハンバーガーチェーンが誕生!」
これは「マクドナルド」が不利益を被る可能性の高い広告文です。このような使い方をした場合は商標権の侵害に該当し、悪質なケースでは「10年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金」という重い処罰を受けることにもなってしまいます。意図せずとも商標権侵害に該当する可能性もあるので、広告文のなかで商標キーワードは自社のもの以外使わないようにしましょう。
商標の使用許諾の申請方法
自社の広告文で商標キーワードを使用したい場合は、使用許諾を出すことでポリシー違反とみなされずに広告を出稿できます。既存サービスでの広告アカウントが存在していて、その企業が新しく別サービス宣伝のための広告アカウントを立ち上げた場合、新しいアカウントで企業名を使用するためには商標の使用許諾をおこなう必要があります。
それではどのような手順で申請すればいいのでしょうか。Google広告の場合とYahoo!検索広告の場合とで申請方法が変わってくるので、それぞれ紹介していきます。
Google広告の申請方法
GOogle広告の場合、使用許諾の申請は次の3つの手順でおこないます。
- 「商標使用許諾リクエスト」に必要な情報を入力
- Googleからの審査完了の連絡が来る
- Google広告管理画面から制限を解除
まずは、使用許諾リクエストのページを開き、「商標権所有者様、またはGoogle広告の商標権侵害の申し立てに記載された連絡担当者様ですか?」の項目で「はい」を選びます。
そのあと名前や会社名、連絡先などの連絡先を記入し、商標の詳細や広告文で使用する商標、広告アカウントのIDなどを入力して送信します。1週間ほどするとGoogleからメールで申請の結果連絡が届きます。このメールを受け取ってから広告管理画面に入り、対象の広告に対して再申請請求をおこなうことで、商標キーワードを使用できます。
Yahoo!検索広告の申請方法
Yahoo!検索広告で商標の使用許諾を申請する際には、書類の提出が必要になります。必要なものは次の3点です。
- 申請者の名刺
- 商標登録証、もしくは商標原薄
- 商標の使用を許諾する広告主の情報
名刺と商標登録証、商標原薄についてはjpgやpdf形式で提出ができます。広告主の情報に関しては、商品や企業のホームページのURLを準備する必要があります。これらを準備したうえで、「商標権者による商標の使用許諾の申請フォーム」に必要事項を入力して申請をおこないます。
また、会社名やメールアドレスの他に、商標や商標登録番号の情報が必要になります。ここで申請者の名刺と商標登録証あるいは商標登録原薄の提出が求められます。
商標キーワードの使用制限
商標キーワードは購買意欲の高い顧客が検索し、成約に至る可能性が高いキーワードです。競合他社がそこを狙って商標キーワードを使用して広告を出稿する可能性もあります。
意図しないケースもありますが、なかには悪質なやり方で商品のブランドイメージを下げる広告が出稿されてしまうこともあります。それを防ぐために「商標キーワードの使用制限」が設けられています。
他社の広告文での使用は制限を申請できる
競合他社が自社の商標キーワードに対して広告出稿ができるようになっており、それを制限することはできません。定期的に商標キーワードで検索をし、競合他社が自社のキーワードで広告を出稿していないかを探し、もし該当する企業があった場合はその企業に自社の商標キーワードでの広告出稿を停止してもらうように伝える、というやり方で対処する必要があります。
しかし、他社の広告文のなかに、自社の商標キーワードを含められないように制限をかけることは可能です。これをおこなうことで、自社サービスのブランドイメージを守り売り上げの低下などを防ぐことができます。Google広告でもYahoo!検索広告でもそのような設定が可能です。
Google広告の申請方法
商標権の使用制限はフォームに情報を入力することで申請できます。Google広告で商標キーワードの使用制限を申請する場合、商標権所有者の連絡先情報と商標名、登録番号、任意で商標権侵害をしている広告主の情報が必要になります。これらを入力したうえでフォームを送信すると、制限の申請が完了します。
注意点は「申し立ての対象・対象となる広告主」の項目で「すべての広告主」を選択した場合「商標使用を許諾された広告主」の項目に自社のGoogle広告アカウントのIDを入力しておくという点です。この項目を入力しておかないと「自社の広告内でも自社の商品名や企業名を使えないケース」に陥ってしまいます。
Yahoo!検索広告の申請方法
Yahoo!検索広告の場合も、フォームに情報を入力することで申請が可能です。Yahoo!検索広告の場合は申請者情報、商標、商標登録番号に加えて、申請者の名刺と商標登録証の写しを提出する必要があります。
また、Yahoo!検索広告の場合もGoogle広告と同様で、使用制限の対象とする広告主で「すべての広告主にたいして商標の使用を制限する」という項目にチェックを入れた場合、自社の広告主名と表示URLを入力しましょう。これを入力しないと自社の広告で自社のサービス名や商品名を使うことができなくなってしまうため、忘れずに入力してください。
まとめ
この記事では、商標キーワードの特徴や、リスティング広告で商標キーワードを使用する際の注意点などを紹介してきました。商標キーワードは、すでにその商品やサービスを知っていて、購入意欲のある顧客が検索するというのが特徴。
したがって、競合他社が意図的に自社のサービスの商標キーワードに広告を出稿したり、広告文に自社サービスの商品名などを入れたりする可能性があります。そうしたことによる被害を防ぐためには、商標キーワードの使用制限をおこなうのが対策の1つです。その手順などもこの記事で解説してきましたので、商品やサービスなどの広告を出稿する際の参考にしてください。