WEB広告を運用していると必ず直面するのが「コンバージョンの乖離」です。なぜコンバージョン数が実売数から乖離してしまうのか?本記事では考えられる10の要因と対処方法や注意点を解説します。
CVが乖離してしまう10の要因
WEB広告運用者にとって、特に注視しなければならないのがコンバージョン(CV)数です。コンバージョン数はサービスの成約数や資料請求、来場予約など、顧客との接点を表す重要な指標。これをいかに正確に測定するかで、WEBプロモーションの良し悪しが決まります。
しかしながら「サイト上で測定したCV数と実売数が一致しない」というケースもしばしば。以下にCVが乖離してしまう10の要因を挙げましたので、順に見ていきましょう。
1.広告間で重複してCVがカウントされている
多くの広告メディアを利用しているとCVの重複が発生してしまいます。例えば1人のユーザーがGoogleリスティング広告、Googleディスプレイ広告、Meta広告(Facebook広告)を経由して最終的にランディングページに到達し、商品購入ボタンをクリックしたとします。
実際の成約数は1ですが、ユーザーが経由した3つのメディアそれぞれでCV1とカウントされてしまう可能性もあります。そうなると、レポートに明記されているCVは3ですが実売数は1という乖離が発生します。
2.コンバージョンタグの設定が間違っている
CV数乖離の原因の多くは「CVタグの設置間違い」です。CVを計測するために設置するタグのコードが間違っていたり、正しく設置されていないパターンは多々あります。また、アップデートによって新しいタグを設置しなければならないことも。CVタグは、CV数の乖離が発生したときだけでなく定期的に確認しておきましょう。
3.Cookieによる影響で計測ができない
個人情報保護の観点から、Cookie規制が年々強まっています。各サイトはCookieの対策によって仕様が変更されるケースもしばしば。この影響により、CV計測できないことも考えられます。
4.ビュースルーコンバージョンが含まれている
広告表示されてもクリックしなかったユーザーが、その他の方法でサイトを訪問して商品購入ボタンを押したときは「ビュースルーコンバージョン」となります。メディアによってCVのカウント方法が異なるため、乖離を発見した際は「ビュースルーコンバージョンが合算されているかどうか」を確認してください。
5.リピート購入時のカウント方法が異なっている
そもそもCVには「ユニークコンバージョン」と「総コンバージョン」の2つがあります。ユニークコンバージョンは1人のユーザーから何度CVが発生しても1として換算するもの。一方、総コンバージョンは1人が5回CVすれば5としてカウントされます。ユニークコンバージョンと総コンバージョンが混同していると、乖離が発生するので注意しましょう。
6.流入経路で上書きが起こっている
AmazonなどのECサイトを経由した場合、流入経路がLPから上書きされる場合もあります。ユーザーがWEB広告をクリックしてからAmazon決済を選択すると、購入ステップとして外部サイトに接続されます。流入元としてAmazon決済が認識されると乖離してしまいます。
7.媒体側とGoogleアナリティクスの計測実日が異なる
媒体側とGoogleアナリティクスの計測実日が異なることも頭に入れておきましょう。例えば、ユーザーが4月1日にWEB広告をクリックしたとします。比較サイトを閲覧して検討したうえで、4月10日にCVが発生しました。するとSNS広告などの各メディアは4月1日をCV日としますが、Googleアナリティクスでは4月10日がCV日となります。
8.媒体側とGoogleアナリティクスでコンバージョン指標が違う
計測実日とともに、媒体側とGoogleアナリティクスではCV指標が違うことも乖離の原因の一つ。CVというのは「商品成約」、「来場予約」、「資料請求」などさまざまなポイントで任意に設定するもの。媒体側では「アプリダウンロード」をCVとし、Googleアナリティクスでは「購入決済ボタン」をCVに設定していれば、当然乖離が発生してしまいます。
9.実売数のなかに計測できない売り上げが入っている>
すべての購入フローがWEBのみで完結される場合は大丈夫ですが、ユーザーによっては電話や来訪によってCVとなることも考えられます。乖離をなくすために「電話発信コンバージョン」の設定をするなどして、対策するのも一つの方法です。
10.クロスデバイスコンバージョンによる影響
ユーザーはスマートフォンやパソコン、タブレットなどあらゆるデバイスを保有しています。つまり、一人のユーザーがスマートフォンで広告をクリックし、パソコンで購買することもあるでしょう。このようなクロスデバイスコンバージョンによる影響で、乖離が発生するケースもあります。
CVが乖離してしまったときの対処法
CV数は正確な測定が求められます。几帳面な性格のWEB広告運用者であれば、CV数と実売数がズレていると気になってしょうがないのではないでしょうか。しかし、上記のとおり設定上の問題や広告配信先メディアの都合によって、乖離してしまうのは仕方ないことでもあります。
CVが乖離してしまったときの対処法としては、まず「どれほどかけ離れているか」をチェック。次に「コンバージョンタグ」や「Googleアナリティクス」、「各メディアの設定」を確認し、乖離の原因を探ります。WEB広告の規模が大きくなり経由されるサイトやアプローチ手法が多岐に渡ると、100%正確なCVの測定は難しいものです。
だからこそ重要になってくるのは「乖離率」。実際のCV数と測定されたCV数の乖離率を算出すれば、次回以降の判断に役立てることができます。乖離率を加味したうえで、次月のCV目標を立てられるようにしましょう。
CV測定で注意するポイント
WEB広告運用者は「CV数と実売数は乖離してしまうもの」と認識し、正確な情報を上司やクライアントに説明するスキルも求められます。そのために意識したいのが「戻りCVの想定」と「重複CV対策」です。
戻りコンバージョンを想定する
先述のとおり、実際にCVを獲得した日と広告アカウント上でCVを獲得した日が異なることもあります。これは「戻りコンバージョン」と呼ばれるもので、決して過去のデータが変化したりレポートミスが起きたわけではありません。
媒体側とGoogleアナリティクスの計測でCV測定日が違うために生まれる乖離であることをしっかり説明すれば、トラブルやクレームは避けられるでしょう。
計測ツールで重複コンバージョン・Cookie規制対策を
近年では多彩なSNS広告があり、それぞれがCookie規制対策を施しています。そのため「重複コンバージョン」が発生しやすい状況になっているのも事実。各メディアの管理画面に掲出されたCV数を信用してしまうと、集計の際に大きな乖離となることも。
そこで役に立つのが、メディアを横断したCV測定が可能かつCookie規制対策も搭載した計測ツールです。実際のデータと乖離が出ない、公正な計測ツールの導入も検討すべきです
まとめ
CVの乖離は長年、WEB広告運用者を悩ませている問題です。大切なのは「なぜ乖離するのか」という原因を理解したうえで「乖離するCVをどう分析して改善していくか」です。
当然、今日明日で正確なCV目標を算出するのは難しいでしょう。まずは乖離する10の要因からしっかり理解して、少しずつ理想の運用に近づけていくべきです。