WEBサイトに掲載されている広告の効果は、クリックの有無だけでは判断できません。なぜなら、広告を見たことによって広告の商品が意識づけられ、後日別のルートからコンバージョンに至る可能性があるからです。
本記事では、こうした間接的な広告効果がわかる「ビュースルーコンバージョン」の概要やカウント条件、媒体ごとの確認・設定方法などを解説します。
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目次
ビュースルーコンバージョンとは?
ビュースルーコンバージョンとは、ある広告を見た人がクリックせずにそのページを離脱後、別のルートからサイトを訪問してコンバージョンに至ったことを意味します。例えば、以下のようなケースがビュースルーコンバージョンです。
・あるWEBサイト閲覧時に、商品Aの広告バナーが目に入った
・その時点で商品Aを購入するつもりがなかったため、広告をクリックしなかった
・後日、商品Aが気になって検索し、WEBサイトにアクセスして商品Aを購入した
ビュースルーコンバージョンと似た言葉に、「クリックスルーコンバージョン」があります。クリックスルーコンバージョンとは、広告を見た人が広告をクリックし、一定期間内にコンバージョンすることです。例えば、以下のようなケースがクリックスルーコンバージョンといえます。
・商品Bの広告バナーが目に入り、クリックしてWEBサイトを訪問したが、その日は購入しなかった
・翌日、やはり商品Bのことが気になって検索し、WEBサイトにアクセスして商品Bを購入した
広告をクリックしたタイミングとコンバージョンを達成した時期は、一定期間内であればずれていても問題ありません。ビュースルーコンバージョンとクリックスルーコンバージョンの違いは、広告を見たときにクリックをしたかどうかです。
なぜビュースルーコンバージョンが必要なのか?
ビュースルーコンバージョンは、広告の間接的な効果を知るために重要な指標となります。なぜなら、広告をクリックしていなくても、広告を見たことが最終的なコンバージョンに影響しているからです。
例えば、WEBサイトで調べ物をしているときに商品Cの広告バナーを見かけて気になったものの、クリックしなかったと仮定します。翌日、前日に見た商品Cが気になり、WEBサイトを検索して購入に至った場合、商品Cを購入したきっかけは最初に広告バナーを見たことといえるでしょう。
また、ネットサーフィンをしているうちに商品Dの広告バナーを何度も目にして意識するようになるケースもあります。それがきっかけとなってWEBサイトを検索し、商品Dの購入に至ったケースでも、コンバージョンを達成したきっかけは商品Dの広告を目にしたことが影響しているといえるでしょう。
この2つのケースでは、もしユーザーが広告を見ていなかったらコンバージョンに至らなかった可能性もあります。ビュースルーコンバージョンは、クリックという直接的な効果が見えるクリックスルーコンバージョンと比べると目立たない指標です。しかし、間接的な効果を測るためには重宝する指標といえます。
ビュースルーコンバージョンのカウント条件
ビュースルーコンバージョンが1つのインプレッションだけを経由しているとは限りません。例えば、複数のインプレッションを経由したり、閲覧とクリックの両方がおこなわれたりしてコンバージョンが達成されることもあります。ここでは、さまざまなケースを例にビュースルーコンバージョンとしてカウントがおこなわれる条件を解説します。
2つの広告でインプレッションがある場合
2つの広告でインプレッションがある場合、コンバージョン直前のインプレッションをビュースルーコンバージョンとしてカウントします。
例えば、商品Eの広告を4月1日と4月5日に閲覧、4月6日に検索サイト経由で商品EのWEBサイトを訪問し購入に至ったとしましょう。この場合、ビュースルーコンバージョンとしてカウントされるのはコンバージョン直前の4月5日に見た広告です。3つ以上の広告でインプレッションがあった場合も、コンバージョン直前に見た広告のみがカウントされます。
1つの広告でインプレッション、もう1つの広告でクリックがある場合
1つの広告ではインプレッションのみ、もう1つの広告でクリックがあった場合、クリックによるコンバージョン(クリックスルーコンバージョン)のみがカウントされます。
例えば、商品Fの広告を4月1日に見た人が、4月3日に別の商品Fの広告をクリックし、4月5日に検索サイト経由でWEBサイトを訪問して、商品Fの購入に至ったとしましょう。この場合、カウントされるのは4月3日のクリックスルーコンバージョンだけで、4月1日のビュースルーコンバージョンはカウントされません。
複数の広告でインプレッション、別の広告でクリックがある場合
複数のインプレッションとクリックした広告が混在している場合、クリックスルーコンバージョンが優先してカウントされます。閲覧のみのビュースルーコンバージョンが、コンバージョン直前にあっても、カウントされるのはクリックした広告のみです。
例えば、商品Gの広告を4月1日と4月3日、4月5日に見て、4月3日のみ広告をクリックしたと仮定します。その後、4月7日に商品Gを検索してWEBサイトから購入した場合、4月1日と4月5日のビュースルーコンバージョンはカウントされません。この場合、4月3日のクリックスルーコンバージョンのみが計上されます。
閲覧とクリックが混在する場合、インプレッション数や順序を問わず、カウントされるのはクリックスルーコンバージョンのみです。
Meta広告(Facebook広告)のビュースルーコンバージョンについて
Meta広告(Facebook広告)のビュースルーコンバージョンのカウント方法は、Google広告やYahoo!広告と異なります。Meta広告(Facebook広告)では、ビュースルーコンバージョンとクリックスルーコンバージョン数値を別々に確認できません。クリックスルーコンバージョンのみか、クリックスルーコンバージョンとビュースルーコンバージョンを合わせたもののどちらかを、広告セット時の「アトリビューション設定」で設定します。
一方、Google広告とYahoo!広告ではクリックスルーコンバージョンとビュースルーコンバージョンの数値を別々に確認が可能です。アトリビューション設定は、あとから変更できないため、必要な指標を吟味して設定する必要があります。
各媒体のビュースルーコンバージョンの確認・設定方法
ビュースルーコンバージョンの確認方法と設定方法は、媒体ごとに異なります。ここでは、以下の4つの広告について、確認方法と設定方法を具体的に紹介していきます。
・Google広告
・Yahoo!広告
・Meta広告(Facebook広告)
・Twitter広告
Google広告の場合
Google広告では、Google広告アカウントにログインして、ビュースルーコンバージョンの確認と設定をおこなうことが必要です。設定方法は、Google広告アカウントにログイン後、ツールアイコンから「測定」「コンバージョン」と進み、ビュースルーコンバージョンを測定する「コンバージョンアクション」を選択して「名前」をクリックします。
「設定」から「設定の編集」を選択後、「計測期間」を設定すれば完了です。計測期間は、最大30日間まで選択できます。
確認は、Google広告アカウントにログイン後に「キャンペーン」「表示項目」「表示項目を変更」「コンバージョン」と進みましょう。
確認したい指標「ビュースルーコンバージョン」をチェックし、「適用」をクリックすれば確認できます。
Google広告では、画面にディスプレイ広告面積の50%以上が1秒以上、動画広告では2秒以上表示されたときにインプレッションとしてカウントされる仕組みです。ビュースルーコンバージョンは、このインプレッションをもとに測定されています。
Yahoo!広告の場合
Yahoo!広告のビュースルーコンバージョンの確認と設定は、Yahoo!広告管理ツールにログインすることが必要です。設定方法は、Yahoo!広告管理ツールの「YDN」タブをクリックし、「ツール」から「コンバージョン測定」「コンバージョン測定の新規設定」と進みます。
設定をおこなって保存したら、WEBサイトに設置するコンバージョンの「タグを表示」をクリックして、コンバージョン測定タグをコピー。測定するWEBページに測定タグを挿入して更新します。計測期間は、1日間です。
確認は、Yahoo!広告管理ツールの「YDN」タブをクリックし、「表示項目」から「表示項目を編集」をクリック。検索窓で「ビュー」で検索し、「ビュースルーコンバージョン数」にチェックを入れて「適用」をクリックします。すると、指定期間のビュースルーコンバージョンが表示されます。
CSV形式で保存したいときは、「ダウンロード」からおこなうことが可能です。Yahoo!広告の場合、画面に広告面積の50%以上の範囲が1秒以上連続して表示された場合にインプレッションとしてカウントされます。
Meta広告(Facebook広告)の場合
Meta広告(Facebook広告)では、Meta広告(Facebook広告)マネージャーからビュースルーコンバージョンの確認と設定をおこないます。設定方法は、Meta広告(Facebook広告)マネージャーから「キャンペーン」「広告セット」「広告」のいずれかを選択し、「列」「列をカスタマイズ」と進んで「比較ウィンドウ」をクリック。「ビュー」から計測期間を決定して完了です。
広告セット設定の「最適化と配信」「アトリビューション設定」から、アトリビューションにビュースルーコンバージョンを含むかどうかを設定できます。測定結果は、Facebook広告マネージャーから「ビューアトリビューション」を確認しましょう。画面に広告面積の1%以上の範囲が表示された場合にインプレッションがカウントされ、計測期間は1日間となっています。
Twitter広告の場合
Twitter広告では、管理画面を開き「ツール」「コンバージョントラッキング」を選んで計測するコンバージョンイベントをクリックします。「ポストビューアトリビューション期間」から期間を設定すれば完了です。
確認方法は、管理画面の「データ概要」から「データをカスタマイズ」をクリックし、カスタムデータの「ポストビュー」の目的別のコンバージョンから確認したいものをチェックします。
Twitter広告は、画面に広告が1ピクセルでも表示された場合にインプレッションとしてカウントされる仕組みです。計測期間は、デフォルトでは1日間、その他に2日間、3日間、5日間、7日間、14日間、20日間、60日間、90日間から選択ができます。
ビュースルーコンバージョンの使い方
ビュースルーコンバージョンは、他の分析方法で広告の成果がわかりづらいときに参考になる指標です。ここでは、動画広告の成果を見る場合とクリックコンバージョンが低い場合の使い方を解説していきます。
動画広告の成果指標として活用する
動画広告を少し見ただけでは、広告の内容がわかりません。そのため、動画を一瞬見ただけの人が後日コンバージョンに至っても、双方に関係があると断定するのは難しいでしょう。
しかし、動画を最初から最後まで見た人のビュースルーコンバージョンは信頼性が高い可能性があります。動画広告の場合は、ビュースルーコンバージョンが発生する広告表示の条件を一定以上の長さにすれば、成果指標として信頼性を高めることが期待できるでしょう。
クリックスルーコンバージョンがなかなか取れないときの参考指標として活用する
クリックスルーコンバージョンが少ないからといって、広告の効果がないわけではありません。ビュースルーコンバージョンで高い数値を上げていれば、間接的に効果を上げていることになります。クリックスルーコンバージョンが少ない場合は、ビュースルーコンバージョンを参考にして総合的な広告の効果を把握するとよいでしょう。
クリックスルーコンバージョンの少なさを理由に広告を停止してしまうと、結果的に高いクリックスルーコンバージョンが失われて総合的なコンバージョンが減ってしまう可能性もあります。
ビュースルーコンバージョンの使用上の注意点
ビュースルーコンバージョンを有効活用するには、設定方法や計測期間を適切におこなうことが必要です。また、ビュースルーコンバージョンは見過ごせない重要な指標ですが、万能ではありません。例えば、「広告の目的に合っていない」「数値の計測にツールが必要」なケースなど、ビュースルーコンバージョンが使えない状況があることも理解しておきましょう。
コンバージョンタグは必ず設定する
ビュースルーコンバージョンを測定する前に、測定したいWEBサイトやタグマネージャーにコンバージョンタグを設置することが必要です。例えば、Google広告のグローバルサイトタグは測定したいWEBサイトの<head>~</head>内に設置します。コンバージョンタグの設置を忘れるとビュースルーコンバージョンの測定ができないため、必ず設定しましょう。
計測期間の設定を注意する
計測期間を長くしすぎるとデータの信頼性が低くなる可能性があるため、注意が必要です。ビュースルーコンバージョンが発生する状況を想像してみると、広告を見かけたあと、コンバージョンに至るまでの期間はあまり長くないことが予測されます。
例えば、1ヵ月前に見た広告が気になって広告の商品を検索する人は少ないでしょう。多くの媒体では、計測期間がデフォルトで1日間となっています。長い期間を設定できる媒体もありますが、広告を見かけたこととコンバージョンとの関連性を適切に判断するためにも、長すぎる期間設定は避けたほうが賢明です。ただし、高価な商品で購入に検討を要する場合などは、計測期間を長くしたほうが有効な場合もあります。
計測できない媒体もある
媒体によっては、ビュースルーコンバージョンを直接計測できるものと、「AD EBiS」などの計測ツールを使って計測したほうがよいものがあります。計測ツールを使うと精度の高い分析ができますが、その分コストがかかる点は忘れてはいけません。
計測ツールを使う場合は、ビュースルーコンバージョンを計測する意味や効果をどのように活かしていくかを具体的に検討して導入を決めたいものです。例えば、まず直接計測できる媒体でビュースルーコンバージョンを計測して効果を確かめてから、計測ツールの導入を決める方法もあります。
施策の評価に本当に有効な指標か考えてから使う
ビュースルーコンバージョンが施策の評価にどの程度有効な指標かを十分考慮してから使う必要があります。ビュースルーコンバージョンがカウントされる条件は、Google広告であれば画面にディスプレイ広告面積の50%以上が1秒以上、動画広告では2秒以上表示されたときです。しかし、この条件下でユーザーが確実に広告を認識していたかどうかはわかりません。
クリックスルーコンバージョンであれば、広告がきっかけとなってWEBサイトを訪問したことが確実といえます。しかし、ビュースルーコンバージョンの場合は断定できません。そのため、ビュースルーコンバージョンばかりにこだわりすぎると、正確な広告の評価ができなくなります。もし、コンバージョンを測定しようと考えている広告が、クリック率を上げることを重視して作られている場合、ビュースルーコンバージョンを計測することは参考にならない可能性が高いです。そのため、広告の目的によってビュースルーコンバージョンが有効かどうかを十分に判断してから使うようにしましょう。
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ビュースルーコンバージョンを参考により成果の出る広告運用をおこなおう
広告をクリックしたユーザーだけでなく、広告を閲覧してコンバージョンに至るユーザーを意識して増やせば、全体のコンバージョンを押し上げることが期待できます。
そのためにも、日頃から測定したいWEBサイトにビュースルーコンバージョンの設定をおこない、定期的に結果を確認することが大切です。広告の効果を測る指標としてビュースルーコンバージョンを参考にし、より成果の出る広告運用を狙いましょう。