いきなりですが、「定量」と聞いてどのようなことを思い浮かべますか?
- 数字で示すことができる
- 数字の大小をみる
- 数字が読める人なら誰が同じ認識を持てる
私自身もそう思っていますし、それ以上でも以下でもないと思います。
ただし、定量だけで判断をするようになると「大事な視点を見失うこともあるのでは?」と思うことがあります。今回は定量だけにしばられない視点の大事さを自分の経験を含めて記事にしました。
定量は便利なものさし。でもそれだけでいいのか?
定量はものごとを判断するときに、とても便利な判断材料です。とはいえ、ものごとの判断を「定量だけで判断してよいのか?」判断する際にこの疑問を忘れてはいけないと思います。
たとえば、
- A.3年の努力で結果を出した人
- B.10年の努力で結果を出した人
評価が高いのはどちらでしょうか?
Aの人は短期間で目標を成しとげたんだなと感じます。なにかの試験の「合格までの期間」を結果として評価するなら、Aのほうが優れている気がします。
けれど、Bを「専門的な勉強を10年間も続けている人だ」と見るとどうでしょうか?専門技術の研究を10年間も続けている。これはこれですごい努力家ですし、その道の専門家でしょう。
定量でものごとを判断するとき、一見すると誰が見ても同じような判断ができそうですが、実はとらえ方によってはまったく変わってきてしまうということです。
「定量中毒」って人、近くにいませんか?
定量中毒
「先入観や1つの視点だけでものごとを判断しがちな状態」を表す言葉としてつかわせてもらいます。
定量の数字は、見方次第で数字のもつ意味が大きく変わります。
さきほどの例では、瞬間的にはAがすごいと思った人は、もしかしたら定量中毒の初期症状かもしれません。
もう一つの例えば。とある通販サイトの例
売上好調な通販サイトがありました。
- 商品Aは販売数も多いし利益率も高い
- 商品Aを買う人は高額所得者
- お店は去年も今年も順調な売上を記録できている
これだけを見れば、Aの商品の販売に反対は少ないとおもいます。
では、1年先、10年、20年先まで大丈夫と判断してよいものでしょうか?
近い未来だけを見ているならよいのかもしれませんが、会社の長期的な存続を考えたらこれだけでは難しいように感じます。同じものがそのまま売れ続けることは少ないのではないでしょうか。
さらに人口減少や消費税率の上昇、原材料高騰などの社会情勢による不安材料もつきまといます。どんなに売れている商品があったとしても、その他の商品の開発や、場合によっては別の事業への転換なども視野に入れたほうがよいこともあるでしょう。
1つの定量数字だけで、「間違いのない選択」をするのはとても困難です。
長期的な視点で考えると、危うさを感じます。常に大局を見据えながら判断していくことが大切です。
ちょっと怖い例えば。「AI搭載お掃除ロボット」
AIが流行りはじめた頃におもしろい話がありました。
「AI搭載お掃除ロボット」
ゴミがあればAIが自動学習をして、掃除をしていく。すごく便利です。
この「AI搭載お掃除ロボット」は学習をしていきます。ロボットがどんどん賢くなると、どのようになっていくでしょうか?少し考えてみてください。
充電も勝手にしてくれて、電池が切れることがなくなる
短時間できれいに掃除してくれるようになる
できなかった掃除もできるようになる
傷ついた床や壁も補修してくれる
このくらいはできそうな気がします。これでも凄い進化ですよね。
でも、もっと深く・広く視点を変えて考えてみましょう。
ゴミや汚れが出るのはなぜなのかな?
ゴミや汚れを出しているのは、誰だ・・・?
ゴミを「ゼロ」にするために、効率的に学習をしていくロボット。
最終的に、このロボットは何を「掃除」してしまうのでしょうか?
ゴミを出しているのは誰でしょうか・・・?
少し考えるとぞっとしませんか?
優秀なAI搭載の掃除機なら、そんなふうに考えることもあるのではないでしょうか。
定量の判断と効率化が悪夢を招くことになってしまいます。
SF的な話ではありましたが、このAI搭載お掃除ロボットには、大事なプログラミングが必要です。「ゴミは掃除するものだし、きみはお掃除ロボットなんだけど、効率化をもとめてもゴミをだすもの(人)は掃除してはいけないんだよ」
…と、矛盾するロジックを組んであげることが必要です。定量思考だけでは導けない考え方です。
定量は武器だが、ときに凶器。
定量なことに対しては、誰でも迅速な判断はしやすいものです。
Q:サッカーで、100点対1点の試合がありました。勝ったチームはどちらでしょう?
いうまでもなく、100点をとったチームです。
誰でも分かるスコア(定量)をみて、迅速な判断ができても、その判断速度にたいした価値はありません。
ところが、WEBマーケティング界隈では「今回はこちらのほうが数字上とてもよいので、こちらに人や広告費を集中させましょう」と、定量を1番の材料として、判断してしまうケースはよくあります。
私の経験でも定量の数字から判断したほうが無難な結果にいたった事例は多く、知らず知らずのうちに「定量」を最優先とした判断をすることがあります。
定量は、誰が見てもわかるものなので、定量の結果を最良の材料として判断するマーケター、WEBディレクター、コンサルタントが多いのも事実です。
数字の大小や優劣なら分かりやすいのは明らかです。
けれど、ビジネスや人生のものごとの選択をするときに、「定量だけで判断してよいのか?」と、疑問を持つことが必要ではないでしょうか。
最後に
定量でかたると、効率化しかしなくなる
定量でかたると、バランスを見失う
定量だけを判断材料にして、効率化を急ぎ、他のことにはいっさい目を向けなくなってしまっては、同じ行動をくりかえすだけの作業ロボットのようになってしまいます。
ビジネスも人生も、少しでも長く続けられることが大事ですから、そのためには定量以外にも目を向けたいものです。
日頃から効率化、効率化、コスパ、コスパ言う人は「定量中毒」に要注意です!
それでは!
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