リスティング広告の自動入札とは？メリット・デメリットやポイントを解説

リスティング広告の入札金額の調整の手間や作業時間の削減法として自動入札に興味がある一方、以下のような疑問を抱える方も多いでしょう。

リスティング広告の自動入札は、入札額の調整にかかる手間や負担を軽減しつつ、効率的に広告効果の実現を目指せる有効な仕組みです。主要なWEB広告メディア「Google広告・Yahoo!広告」のいずれにも備わっている便利な機能です。

本記事では、リスティング広告の自動入札の概要や利用した際のメリット・デメリットとともに、設定方法や活用ポイントを順に紹介します。自動入札を積極的に活用し、リスティング広告の費用対効果の向上や効率的な運用を実現しましょう。

タガタメではリスティング広告のセカンドオピニオンや無料診断を行っております。現状の結果に課題を抱えていらっしゃる方はお気軽にご相談ください。⇒リスティング広告の無料診断はこちらから

リスティング広告の自動入札とは？

リスティング広告の自動入札とは、リスティング広告の入札単価を自動的に調整してくれる機能のことです。Google広告やYahoo!広告では、標準機能として備わっています。

システムがリアルタイムで入札に関するデータを分析し、事前に設定した目標の達成に最適な入札額を自動で設定します。人間が手動で入札価格を調整する場合に比べ、リアルタイムで高頻度に調整され、状況に応じた最適な入札額を設定できる点が特徴です。

広告主にとって自動入札のメリットは大きく、Google広告・Yahoo!広告では自動入札の利用が推奨されています。

Google広告の管理画面や便利な設定に興味がある方は、Google広告での管理画面の見方とは？シーン別見方や便利な設定を解説の記事も参考にしてください。

Google広告における自動入札戦略の主な種類

Google広告では自動入札機能において、目的に応じて使い分ける6つの異なる入札戦略が用意されています。

6つの戦略の種類や目的、想定される利用ケースは以下のとおりです。運営するサイトの状況や目標を踏まえ、適切な戦略を選択して広告効果を高めましょう。

Google広告の自動入札機能を詳しく知りたい方は、Google広告のオークションの仕組みとは？の記事も参考にしてください。

Yahoo!広告における自動入札タイプの主な種類

Yahoo!広告では、自動入札のタイプが7種類用意されており、目標に応じて選択する必要があります。

7つの入札タイプの種類や目的、想定される利用ケースは以下のとおりです。

Yahoo!広告でも自動入札タイプを的確に活用して、設定した目標に向けた広告活動を実現しましょう。

Yahoo!広告の自動入札機能を詳しく知りたい方は、Yahoo!広告の自動入札機能の種類やメリットについて解説 の記事も参考にしてください。

自動入札と手動入札の違い

リスティング広告の入札方法には、自動入札と手動入札の2つの方法があります。

自動入札はシステムが事前に設定した目標を踏まえた最適な価格を設定しますが、手動入札では運用者が状況を分析し、価格設定しなければなりません。

自動入札と手動入札の特徴を比較すると、以下のとおりに整理されます。

自動入札・手動入札には、それぞれ得手不得手があるため、特性を踏まえて最適な入札手法を選択しましょう。

リスティング広告で自動入札を利用する4つのメリット

リスティング広告において自動入札を活用すると、手動入札する場合に比べて、さまざまなメリットが得られます。

特に人気キーワードに対する広告だと入札件数も膨大であり、的確な入札を維持・継続したい場合には自動入札の優位性が高まります。

リスティング広告で自動入札を利用する場合に得られる、主要なメリットは以下の4点です。

自動入札を活用して、運営サイトを効率的に活性化させましょう。

メリット1：入札対応の手間がかからない

自動入札のメリットの1つは、入札金額の調整にかかる手間がかからないことです。リスティング広告の入札価格は常に変動し、入札するキーワードによっては毎日細かく調整する必要があります。

手動入札しかなかった時代には、キーワードごとに細かく入札単価を手動で調整していて、運用上の大きな負担となっていました。

しかし、自動入札であれば常に自動的に入札単価が調整されるため、運用者の負担が軽減され、最適な金額での入札で効率的な広告運用が実現できます。

自動入札で煩雑な入札金額の検討や調整の手間を省きつつ、狙いどおりの広告運用を進めましょう。

メリット2：効率的に広告効果を向上

効率的に広告効果を高めやすくなる点も、自動入札を利用した場合のメリットです。なぜなら、自動入札では事前に指定した入札戦略・目標の実現に向けて、最適な入札金額が自動的に設定されるためです。

前述のとおり、自動入札では「クリック数の最大化」や「目標コンバージョン単価」などの目標にあわせて戦略を選べます。そのため、決められた戦略にあわせて入札金額が自動調整され、無駄なく広告費が消化されるようになります。

目標達成に必要な入札額が的確に選択される自動入札を活用し、最小限の時間や手間でリスティング広告の効果を最大化しましょう。

リスティング広告の予算の決め方や相場にも興味がある方は、リスティング広告の費用の決め方とは？効果な方法や予算相場を解説の記事も参考にしてください。

メリット3：入札調整の頻度が増加

自動入札だと運用担当者の有無に関係なく24時間365日絶えず入札金額の調整がおこなわれ、入札調整の実施頻度を増やせる点も自動入札のメリットです。

狙った広告配信の実現・継続のためには、検索ユーザーの特性や競合の入札状況も把握しながら、絶えず入札金額を調整しなければなりません。

手動入札だと、入札金額の調整は広告運用者が対応できる時間や作業速度により限られてしまい、リアルタイムでの入札金額の最適化は困難です。

しかし、自動入札であれば検索ユーザーや入札環境の変動に応じて、瞬時に入札額が調整されるため、常に最適な広告配信が可能です。

広告運用者が常時対応するのは非現実的な点を踏まえ、自動入札の活用で最適な金額での入札や広告配信を進めましょう。

メリット4：シグナルを加味した入札調整

自動入札だと検索ユーザーの状況を示す幅広いシグナルの情報が考慮された入札額を設定でき、狙いたいユーザーに対して的確に広告配信できます。

シグナルとは、検索ユーザーの特性を示す情報を意味し、検索語句・地域・デバイス・検索時間帯などが該当します。入札金額を設定するうえで重要な情報ですが、数十億通りにもなるシグナルの組み合わせから、人間が最適な金額を決めるのは現実的ではありません。

しかし、自動入札であれば瞬時にシグナルの情報が分析され、入札機会ごとに最適な入札単価が設定されます。

シグナルを加味した的確な入札金額を設定できる自動入札で、ターゲットユーザーに合った広告を配信し、広告の精度や効果を向上させましょう。

リスティング広告で自動入札を利用する3つのデメリット

リスティング広告の自動入札には、手動入札では難しいさまざまなメリットが得られる反面、特有のデメリットも存在します。

これから自動入札を活用しようとしているのであれば、知っておくべき自動入札のデメリットとして3つ挙げられます。

自動入札は、対象のキャンペーンの入札状況を機械学習して最適な入札金額を設定する仕組みです。人間のように、何もない状況から自ら判断して最適な入札金額に設定できる仕組みではないことを押さえておきましょう。

デメリット1：学習時間の確保が必要

自動入札を利用するにあたっては、機械学習の期間が必要であり、すぐには効果を得ることができません。理由は、最適な入札金額を割り出すために、データを一定量以上蓄積し、自動入札システムが分析できるようになる必要があるためです。

学習時間は、入札戦略やコンバージョン数、コンバージョンサイクル（広告のクリックからコンバージョン完了までの期間）などに依存します。目安としては、半月から1ヵ月程度かかるとされていますが、自動入札に必要なデータの収集が完了しないと、さらに時間を要する場合もあります。

そのため、自動入札を選択後、すぐに効果が現れなくても焦らないようにしましょう。

デメリット2：大幅な変化への即応が困難

自動入札の対象であるキャンペーンにおいて、コンバージョン率の急増など学習外の状況が発生すると、自動入札が的確に対応しない恐れがあります。そもそも、自動入札は事前に機械学習したデータに基づき入札額を調整・決定する仕組みであり、新たな状況への対応が苦手です。

もし、事前に学習した内容から変化した状況が定常化した場合には、あらためて学習が必要になり、順応までに1ヵ月程度を要します。ただし、予定されたセールなどによる急激な変化には、Google広告だと「季節性の調整」、Yahoo!広告だと「スポット調整」で事前に対応できます。

学習内容から大幅に外れた状況が発生した場合には、手動入札も活用しながら、入札品質を低下させないように努めましょう。

デメリット3：一定程度の運用実績データが必要

機械学習するためには、一定程度の入札結果に関する情報が不可欠です。

例えば、Google広告の入札戦略で「コンバージョン数の最大化」を選択した場合には、1ヵ月以上で30件以上のコンバージョンが求められます。必要なデータが確保できないと、自動入札で調整される入札金額の設定品質が不安定で、狙った広告効果が出にくくなる場合があります。

もし、データの蓄積が進みづらい広告を自動入札の対象にしているのであれば、手動入札の対象に切り替えるなど、入札方針の再考も検討すべきです。

自動入札システムは、過去の入札結果データをもとに最適な入札金額を設定するため、十分なデータがないと効果が出にくいと理解しておきましょう。

Google広告での自動入札設定方法2ステップ

Google広告での自動入札の設定は、キャンペーンを新規作成する場合と作成済みのキャンペーンに設定を加える場合の2ケースに対応しています。

いずれのケースでも必要な手続きは3ステップ以内に収まり、簡単に自動入札を設定できます。

手早く自動入札を設定して、Google広告の運用を効率化しましょう。

Google広告の管理画面の見方や使い方を詳しく知りたい方は、Google広告での管理画面の見方とは？シーン別見方や便利な設定を解説の記事も参考にしてください。

ステップ1：キャンペーンを作成

自動入札は、キャンペーンを新たに作成するタイミングでも、作成済みのキャンペーンをメンテナンスするタイミングのいずれでも設定できます。

キャンペーンを新規作成する際に自動入札を設定する場合でも、基本的なキャンペーン作成の手順を通常どおりおこないます。

上図での「目標の選択」や「キャンペーンタイプの選択」・「目標達成方法の選択」の手続きをおこない、予算や入札単価を指定する画面に進みましょう。

ステップ2：入札戦略を設定

単価設定の箱が表示されたら、該当の入札戦略を選択して次へをクリックします。

なお、作成済みのキャンペーンから設定する場合には、Google広告の管理画面で自動入札を設定したいキャンペーンを選択し、編集ボタンを押すと表示される「入札戦略を変更」を押下して選択しましょう。

自動入札の戦略選択が完了したら、キャンペーンの新規作成に関する残りの手続きを進めましょう。選択後に、クリック単価などの目標値を入力すると、自動入札の設定は完了です。

Yahoo!広告での自動入札を設定方法　3ステップ

Yahoo!広告の自動入札の設定手順もGoogle広告の手続きと大きく変わらず、少ないステップで設定できる設計です。

自動入札を設定する際に必要な設定手順は以下の3ステップです。

Yahoo!広告での広告運用も自動入札機能を活用して効率化しましょう。

Yahoo!広告の管理画面の見方や使い方を詳しく知りたい方は、Yahoo!広告の管理画面の使い方を徹底解説の記事も参考にしてください。

ステップ1：検索広告のアカウントでキャンペーンを選択

Yahoo!広告の広告管理ツールで検索広告のアカウント画面から左メニューのキャンペーンを選択します。

運用中のキャンペーンから自動入札を設定したいキャンペーンをクリックし、キャンペーンの分析・編集画面に移行します。

ステップ2：キャンペーン設定画面に移行

キャンペーンの分析・編集画面が表示されたら、左メニューにある「キャンペーン設定」ボタンを押しましょう。

ステップ3：入札戦略を選択

キャンペーン設定ページにある「編集」ボタンを押下し、入札戦略を選択するページに移動します。

Yahoo!広告の7種類の自動戦略から1つを選択して、キャンペーンに適切な戦略を指定し、保存ボタンを押下すると設定は完了です。

リスティング広告で自動入札する際のポイント3つ

リスティング広告で自動入札を採用するにあたり、効果を早期に享受するためにはポイントを押さえた運用が求められます。

今後、自動入札を本格的に利用検討している場合に、知っておくと便利な運用上のポイントは下記3点です。

自動入札を成功させるには、仕組みを操るシステムの特性を踏まえた対応が必要です。感覚や経験に頼らず、基本的な運用のコツを踏まえながら、自動入札を活用しましょう。

ポイント1：現実的な目標値を設定

自動入札を設定する際には、現実的な数値や画面上で表示される推奨値などを目標値に設定するのが重要です。なぜなら、目標値が現実離れしていると、自動入札システムが適切な入札額を設定できなくなり、広告を配信する機会を逸しやすくなるためです。

そのため、目標値を設定する際には、入札戦略で選択した目標項目に関する過去の実績や傾向に基づき、現実的な数値を目標値に据えましょう。

また、入札戦略の設定時に表示される推奨値が、過去の実績から鑑みて挑戦的すぎない数値であれば、推奨値を採用するのも有効です。適切に入札が実行されるよう、自動入札の目標値は実現が見込める数値を選択しましょう。

Google広告の入札の競合分析に役立つオークション分析レポートに興味がある方は、Google広告のオークション分析レポート機能や活用方法を解説の記事も参考にしてください。

ポイント2：アカウントの構造を最適化

キャンペーンの構造はシンプルなほうが機械学習が進みやすく、自動入札による効果を短期間で得やすくなります。自動入札が的確に運用されるためには、一定以上の入札に関するデータの確保が必要です。

もしアカウントがキャンペーンや広告グループが細かく分かれた状態だと、入札データも分散され、学習に必要なデータ量の確保に時間がかかります。

そのため、同じ入札戦略を採用するキャンペーンなどを統合し、短期間で学習が進みやすいアカウントへの再構成が自動入札での成功のカギを握ります。自動入札を利用する前にアカウントの構造を最適化して、自動入札の効果を最大限に引き出しましょう。

ポイント3：機械学習期間中は大幅に設定変更しない

自動入札を設定後、機械学習が実施されている間は、なるべくアカウント構造やキーワードなどの変更を発生させないことが肝要です。

理由は、広告の設定変更をおこなった段階で機械学習がリセットされ、あらためて機械学習をしなおすことになるためです。

機械学習の状況はキャンペーンごとに下図のように表示されます。そのため、学習中と表示されたキャンペーンは、学習完了まで大幅な変更は控えましょう。

画像引用元：【検索広告】「入札戦略の状況」の追加について – Yahoo!広告ヘルプ

以前は高速でPDCAを回すことが運用で重要とされていましたが、自動入札を導入した際は、設定変更の自重が入札目標の達成への近道です。

もし変更を検討している場合には、自動入札を設定する前に実施して、機械学習が長期化するのを回避しましょう。

GA4でエンゲージメントのさらなる改善も

リスティング広告の自動入札により、運営するWEBサイトへのアクセス数やコンバージョン額が増加したら、次はGA4を活用しましょう。

GA4は、サイトにアクセスしたユーザーの滞在時間や滞在中の行動などを収集・分析するツールです。ユーザーの行動情報は、運営サイトの改善点分析に役立ち、適切に改善を施せば購入や問い合わせなどのエンゲージメント率の向上も見込めます。

GA4ではアプリとWEBサイトを行き来するユーザーも同一ユーザーと認識できるため、ユーザーの回遊状況を正確に把握できるようになります。

自動入札で効率的に運営サイトへのユーザー流入が増加したら、GA4でユーザー行動を分析し、エンゲージメントのさらなる向上も目指しましょう。

GA4の具体的な使い方や設定方法に興味のある方は、【初心者向け】Googleアナリティクス（GA4）の使い方と初期設定とはの記事も参考にしてください。

自動入札でリスティング広告の運用を効率的に

この記事では、リスティング広告の自動入札に関する基礎知識やメリット・デメリットとともに、設定方法や活用の際のポイントを解説しました。

リスティング広告の自動入札は、設定した目標に応じて入札価格を適切に調整してくれる機能です。自動入札が的確に利用できると、手動で入札額を調整する手間を省けるだけでなく、アクセス数やコンバージョン額の効率的な増加が期待されます。

ただし、入札データなどが蓄積し機械学習されないと自動入札が有効に動作しないため、試運転を一定期間おこなう必要がある点に注意が必要です。

深い知識や長い経験がなくても、効果的にリスティング広告を活用できるようになる自動入札機能を用いて、広告運用の効率化を進めましょう。

タガタメでは、広告の費用対効果やコンバージョン率の改善などにお困りの方に、デジタル領域の課題に対して最適なプランをご提案いたします。お気軽にお問い合わせください。