本記事では、オウンドメディアの作成から運用にかかる費用について解説しています。
近年、企業のマーケティング活動において「オウンドメディア」が注目を集めています。その背景には、SNSの普及と情報拡散力の向上が大きく影響しています。
総務省の「情報通信白書(令和4年版)」によると、SNSを生活や仕事で積極的に活用している人は全体の4割以上にのぼります。有益な情報はSNSを通じて拡散され、オウンドメディアに掲載されたコンテンツが話題となれば、企業の認知度向上や集客効果、CV率の向上にもつながります。
こうした背景から、自社独自の情報発信手段としてオウンドメディアを導入・運用する企業が増えています。その一方で、「費用はどのくらいかかるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
オウンドメディアを制作したい方向けに、制作・運用する際の費用相場や費用事例などを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
オウンドメディアとは
はじめに「オウンドメディア」とは、企業や組織が自らの手で運営・管理している情報発信メディアのことを指します。
例えば、企業の公式WEBサイトやブログ、SNSアカウントなども、その一例です。オウンドメディアは、企業の魅力や独自性を伝えることで、見込み顧客との接点をつくる役割を担っています。
オウンドメディアは、広告のように直接的なアプローチをおこないません。ユーザーに有益な情報を提供し自然と関心を引き寄せ、認知度を高めることが目的です。
オウンドメディアの費用相場
オウンドメディアの立ち上げから運用までにかかる費用は、「設計費」「構築費」「運用費」に大別できます。まず、オウンドメディアは初期費用として、WEBサイトの設計や構築。そして、デザインなどにかかる制作費用が発生します。
サイト公開後には、コンテンツの制作・更新にかかる費用だけではありません。アクセス解析や改善施策の実施など、運営面でのコストが継続的にかかります。オウンドメディアの制作と運用フェーズの両方を見据えたうえで、全体の予算を計画的に確保しておくことが重要です。
合計の概算費用は80万円~100万円ほどですが、仕様や目的によってことなります。ここからは、「設計費」「構築費」「運用費」に分けて費用相場と内容を解説します。
オウンドメディアの設計
まず、オウンドメディアの立ち上げにおいて、最初に必要となるのが「戦略設計」と「マーケティング」です。
項目 | 費用相場 |
戦略設計マーケティング | 10万~30万円 |
戦略設計は、オウンドメディアの中核を担う要素でブランディングやコンセプト戦略を立案します。戦略設計をもとに、集客導線の構築。そして、サイト内のユーザー動線の設計にかかる費用がコストとして発生します。
では、それぞれ詳しく解説します。
戦略設計費
オウンドメディアの戦略設計費は、ブランドの立ち位置やターゲット層を明確にし、メディアの方向性を策定する作業にかかるコストです。
戦略設計とは、単にメディアの外見やデザインを考えるだけではありません。「どのような目的で、誰に向けて、どのような価値を届けるか」という全体構想を練るプロセスです。例えば、ブランドイメージを確立するためのコンセプト設計。ほかには、競合との差別化を明確にするブランディング方針の策定などが含まれます。
すでにマーケティング経験が豊富な企業であれば、社内でこの作業を完結させることも可能です。しかし、オウンドメディアに不慣れな場合。外部の専門家やコンサルタントに依頼することで、より精度の高い設計に期待できます。
マーケティング費
戦略設計に基づいて、具体的な集客の仕組みやコンテンツの方向性を検討するために必要なのがマーケティング費です。この段階では、「どのような種類の情報を、どのような形式で発信するか」を決めていきます。
例えば、記事コンテンツを中心に展開するのか。あるいは動画や図解、イラスト、漫画など多様なメディア形式を取り入れるのかなどの方針も、ここで設計します。
企業のターゲットや商材の性質によって効果的なコンテンツ形式は異なります。そのため、マーケティングの視点から最適なアプローチを模索することが重要です。また、依頼する制作会社によって対応可能な範囲に差があります。そのため、設計段階からアウトプットの幅を見据えておく必要があります。
オウンドメディアの構築
次に、オウンドメディアを実際に構築するには、「デザイン」と「コーディング」が必要です。
項目 | 費用相場 |
デザインコーディング | 30万~100万円 |
構築では、設計した戦略をもとにサイトの見た目や操作性を形にするデザイン。そして、それを実際に機能する形で反映させるコーディングの作業が中心になります。
デザイン費
オウンドメディア全体のサイトデザインにかかる費用は、どのようなビジュアル設計をおこなうかによって大きく変動します。例えば、一からオリジナルのレイアウトを制作する場合コストが高くなりがちです。ですが、テンプレートや既存テーマをベースにした設計であれば、比較的低コストで対応可能です。
デザインにかかる費用は、使用するCMSの種類やデザインの自由度により前後します。WordPressやJoomla!などの無料CMSを活用すれば、デザイン費を抑えながらもプロ仕様の仕上がりにすることも可能です。
ただし、ビジュアル面はユーザーの第一印象を左右する重要な要素です。費用面だけで判断せず、ブランドの世界観や訴求力をしっかり反映できるかという視点も忘れずに検討しましょう。
コーディング費
コーディングとは、デザインで決めた構成や機能を、実際にWEB上で動く形にするための技術的な作業です。HTML、CSS、JavaScript、PHPなどのプログラミング言語を使い、ページの構造や機能を構築していきます。
コーディング費用は、サイトの機能性や導入するシステムによって金額が上下します。CMSツールを使う場合でも、独自の機能やデザインを反映させるために高度なカスタマイズを要するなら、その分費用が高くなります。
オウンドメディアの運用
続いて、オウンドメディアの運用では、サイトの安定稼働を支える維持費。ほかにも、マーケティング、コンテンツ制作、成果分析・改善など継続的にかかる費用が発生します。
項目 | 費用相場 |
サイト維持 | サーバー代:数百~数千円/月ドメイン代:数百円~10万円/年保守費:1万円~5万円 |
マーケティング分析・改善 | 10万~30万円/月 |
コンテンツ制作 | 2万~数十万円/本 |
オウンドメディアは構築して終わりではありません。そのあとの継続的な運用が、成否を左右する重要な要素です。
では、それぞれ詳しく解説します。
サイト維持費
サイト維持費は、サイトを開設してから運営していくうえで継続的にかかる費用です。主に、サーバーやドメイン代などが該当します。
サーバーは、サイトのデータを保管・配信する場所です。初期費用として数千円~数万円、月額では数百~数千円程度が相場です。高性能なサーバーを選ぶと、それに比例してコストも上がり数万円かかるケースもあります。
ドメイン(サイトのURL)は、取得時と毎年の更新時に費用がかかります。安価なものなら年間数百円~数千円程です。ですが、人気の高いドメインになると年間で数万円~10万円以上の価格になるケースもあります。
さらに、サイトを安定して稼働させるためには、定期的なメンテナンスやセキュリティ対策などの保守作業も必要です。保守費用は月額1万~5万円程度の費用が発生することが一般的です。ですが、保守の内容によっては、5万円以上かかることもあります。
マーケティング費
マーケティングはオウンドメディアを設計する際にも重要な要素です。コンテンツ制作においても、戦略的なマーケティング活動が欠かせません。
コンテンツ制作のマーケティング費には、主に以下のような作業のコストが含まれます。
- ペルソナ設定
- カスタマージャーニーの設計
- 検索キーワードの分析と選定
- コンテンツの方向性設計
- SNS連携や広告施策の実行
専門性の高い業務が多いため、マーケティングの外注費用は月額10万~30万円が目安とされています。自社にノウハウがない場合は、外部のプロに依頼することで効率的な集客が見込めます。
分析・改善費
オウンドメディアは「作って終わり」「記事を出して終わり」では成果は上がりません。定期的な分析と改善(PDCAサイクルの実践)が重要です。
分析・改善に関する費用には、次のような作業が含まれます。
- SEOパフォーマンスの確認と改善
- アクセス解析ツールによるユーザー行動の把握
- コンテンツの効果測定(滞在時間・離脱率など)
- サイト導線やUI/UXの改善提案
- コンバージョン率(CVR)向上施策の検討
分析・改善フェーズにかかる費用も、月額10万~30万円程度が相場です。外部へ委託する場合でも、連携をとりながら進めるため、社内の人材は不可欠です。そのため、外注費だけでなく社内担当者の人件費も予算に含めておくことがポイントです。
コンテンツ制作
オウンドメディアの運用には、継続的なコンテンツ制作が不可欠です。記事や動画など、どの形式を選ぶかによって制作コストは大きく変わります。一般的な記事は1本あたり2~10万円程度が相場です。しかし、専門家の監修やインタビューをともなう場合はそれ以上かかることもあります。
動画制作になると、1本あたり数十万を超えるケースも珍しくありません。コストを抑える手段としてクラウドソーシングもあります。ですが、品質や信頼性にバラつきが出やすくなります。そのため、戦略的に運用するなら専門の制作会社への依頼が効果的です。質の高いコンテンツは、長期的に見れば資産となり、高い集客効果を生み出します。
オウンドメディアの制作・依頼時のポイント
オウンドメディアの制作を依頼する際には、依頼範囲やサポート内容、予算の組み方を整理しておくことで、スムーズな進行と効果的な運用につながります。
依頼時に押さえておきたいポイントは、以下のとおりです。
- 依頼すべき工程を明確にしておく
- サポート面が充実しているかどうか
- 予算設計をしっかり立てておく
では、それぞれ詳しく解説します。
依頼すべき工程を明確にしておく
まず、オウンドメディアを立ち上げる際は、どの業務を外部に委託し、どの作業を自社で担うかを事前に明確にすることが、予算管理や体制構築でとても重要です。費用の幅が大きいのは、企業ごとのスキルや体制、予算規模が異なるためです。
例えば、自社内にマーケティングやサイト管理の知見を持つスタッフがいる場合。最低限の保守管理のみを外注し、ランニングコストを抑えることも可能です。一方で、十分なノウハウがない場合は、WEB制作会社などの外部パートナーにトータルで任せることで、戦略的かつ効率的な運用を目指すことも選択肢となります。
コンテンツ制作を例に取れば、「KW選定は社内で対応し、構成や執筆は外注に依頼する」など、具体的な作業ごとに切り分けて依頼することで、コストを最適化しながらノウハウの蓄積も図れます。自社の体制や知見を棚卸ししたうえで、委託範囲を決めましょう。
サポート面が充実しているかどうか
次に、オウンドメディアの制作や運用を外部に依頼する場合。単にサイトを構築して終わりではなく、公開後の運用支援体制が整っているかどうかも確認すべき重要なポイントです。特にコンテンツマーケティングでは、定期的な分析や改善提案、トラブル時の迅速な対応などが成果に直結します。
サポート体制が不十分な会社では、運用後に課題が発生した際、自社だけで対処しなければなりません。それが、結果として非効率な運用になる可能性があります。導入前には「どの範囲までサポートしてくれるのか」「定期的なレポートや改善提案はあるか」など、具体的な支援内容を確認しましょう。
また、社内に専門知識がない場合は、初期の立ち上げから運用体制の整備、成果の検証まで伴走してくれるようなパートナーを選ぶと安心です。
予算設計をしっかり立てておく
そして、オウンドメディアは一度作れば終わりではなく、継続的に改善と運用が求められます。そのため、中長期的な視点での予算設計が欠かせません。初期の構築費だけでなく、コンテンツ制作費、マーケティング費、分析・改善費といった運用にかかるコストをトータルで見積もる必要があります。
また、必要な予算は運用体制や委託範囲によって大きく変動します。自社でできる部分と外注が必要な部分を切り分けること。必要な人件費や外注費を明確にしておくことで、想定外のコスト発生を防ぐことができます。
費用対効果を意識した予算設計をおこないましょう。これにより、限られたリソースを有効活用しながら、メディアの成果を最大化できる環境が整います。
【参考】オウンドメディアでよく使われるツールと料金
ここでは、オウンドメディアでよく利用されている代表的なCMSについて紹介します。
WordPress
WordPressは、世界中で広く利用されているオープンソースのCMSです。公式サイトから無料でインストールできます。
「テーマ」と呼ばれるテンプレートやプラグインが豊富にそろっているのが魅力です。(有料・無料あり)目的に合わせて機能を追加していけば、企業サイトやECサイトなども制作できます。
Clipkit
Clipkitは、日本発のCMSでオウンドメディアの構築・運用に特化しています。
主なプランは以下のとおりです。
- SaaSプラン:初期設定費用33,000円、月額55,000円
- SaaS占有プラン:初期設定費用33,000円、月額220,000円
- サーバーインストールプラン:要問い合わせ
月間PVが100万を超える場合。20万PVごとに11,000円の追加料金が発生します。
Movable Type
Movable Typeは、WEBサイトのコンテンツ管理をサポートするCMSです。セキュリティの高さと安定性から、大企業や官公庁、教育機関などで広く採用されています。
主なプランは以下のとおりです。
- Movable Type クラウド版:月額5,000円?
- Movable Type (インストール型):90,000円
- Movable Type Advanced(インストール型):1,200,000円
複雑なカスタマイズが必要な場合や、すでにある環境にインストールして使いたい場合には、インストール型が適しています。
CMS Blue Monkey Knowus
CMS Blue Monkey Knowusは、スターティアラボが提供するBtoB企業のオウンドメディア運用に適したCMSパッケージです。HTMLの知識がなくても直感的に記事の作成や更新が可能です。画像のリサイズやソーシャルメディアとの連携機能も備えています。
主なプランは以下のとおりです。
- ベーシックプラン:初期費用50万円、月額5,000円
- オリジナルプラン:初期費用100万円(オリジナルデザイン費50万円含む)、月額15,000円
- エグゼクティブプラン:初期費用125万円(オリジナルデザイン費50万円含む)、月額50,000円
月額利用料には、WEBサーバー保守・アップデートが含まれています。
WEBサイトの成果に満足されていますか?
- このようなお悩みを抱えていらっしゃいませんか?
- WEBサイトを制作したいが、どのように進めればよいかわからない
- WEBサイトの制作からプロモーションまでの一貫した対策ができていない
- 開設後の長期的な運用計画が立っていない状態
上記お悩みをクリエイティブ制作の専門コンサルタントが解決いたします。
まとめ
オウンドメディアは、企業が自らの言葉でブランドの魅力や専門性を発信できる強力なマーケティングツールです。SNSとの連携による拡散効果も期待できます。そのため、長期的な視点での集客やCV向上を目指す企業に大きなメリットがあります。
一方で、設計・構築・運用の各段階で一定の費用がかかります。よって、予算の確保と計画的な運用が欠かせません。この記事で紹介した費用相場を参考に、自社に合ったスタイルでオウンドメディアを構築・運用していきましょう。適切な初期投資と継続的な改善を重ねることで、オウンドメディアは中長期的な資産として企業の成長を支えてくれるはずです。