Google広告の「来店コンバージョン」機能は、この課題を解決し、広告効果の可視化と自動入札の最適化を実現する有効なツールとなっています。
実店舗を運営する企業にとって、オンライン広告が実際の来店にどのように結びついているかを把握することは、マーケティング戦略の重要な課題です。
今回は、来店コンバージョンの仕組みやメリットについて解説し、使用できる配信手法や設定方法なども紹介します。来店コンバージョンとは何か、計測方法はどういう仕組みなのか知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
Google広告の来店コンバージョンとは
「来店コンバージョン」は、オンライン広告のクリックや閲覧が実店舗への来店につながっているかを把握するための効果測定方法です。
広告を見て店舗へ来店したユーザー数を計測する機能として活用され、オンラインでユーザーの購買行動が完結しない場合でも、キャッシュポイントに近い箇所での効果測定が可能です。
Google広告来店コンバージョンの仕組み
来店コンバージョンを計測するには、ユーザー側がGoogle アカウントにログインし、位置情報(ロケーション履歴)を有効にしている必要があります。ユーザーが広告を見て店舗に訪れると、位置情報と広告を見た履歴から来店コンバージョンとしてカウントされます。
このロケーション履歴は、GPSシグナルとWi-Fiからのシグナルを組み合わせた三角測量によって計測されており、ビルの階数や特定の店などの詳細な位置情報の把握が可能です。
また、データは匿名で収集され、個人のプライバシー保護と取得できないデータを補完する目的から「推定値」として扱われます。
来店コンバージョンの計測範囲
来店コンバージョンは、検索広告、ショッピング広告、ディスプレイ広告、動画キャンペーンといった主要な広告配信形式全般で計測ができます。それぞれ異なる計測基準が設定されており、検索広告では、広告をクリックしたユーザーが計測対象です。
一方、ディスプレイ広告においてはクリックだけでなく、画面内に広告の半分以上が1秒以上表示される「視認範囲」に入ったインプレッションもビュースルーコンバージョンとして測定対象に含まれます。
動画広告は、「視聴」という基準で計測がおこなわれます。具体的には、30秒以上の動画の場合は30秒以上の視聴、30秒以下の動画では完全視聴、もしくは動画へのクリックのいずれかの条件を満たしたときに、そのユーザーが計測対象です。
このように、広告形式ごとの特性に応じて適切な計測基準が設定されています。
Google広告の来店コンバージョンのメリット
来店コンバージョンのメリットは、下記の3つです。
- 広告制作に有益なデータを計測できる
- 自動入札の精度を高めることができる
- 実店舗への来店を促進できる
それぞれ解説します。
広告制作に有益なデータを計測できる
来店コンバージョンの導入によって、オンライン広告に反応したユーザーと実際の来店者の属性データを計測できることがメリットの一つです。
これらの有益なデータを分析することで、広告への関心を示したユーザー層と実際の来店行動に移したユーザー層の特徴を明確に把握できます。より効果的な広告クリエイティブの制作やターゲティングの最適化にも活用しやすいでしょう。
自動入札の精度を高めることができる
来店コンバージョンのデータは正確な数値を示すものではありませんが、継続的な機械学習プロセスを通じて実態に近い推定値を導き出すことができます。
この推定値は過去の来店データをもとに分析され、時間とともに精度が向上していく仕組みです。その結果、自動入札システムの判断材料として活用され、より効果的な入札戦略の実現につながります。
また、必要な広告枠に対して最適なタイミングで入札ができることで、支出を抑制し、投資効果の最大化を図れるといったメリットもあります。
実店舗への来店を促進できる
来店コンバージョンを活用することで、オンライン広告と実店舗への来店の関連性を具体的に把握できるようになります。
この計測データをもとに、効果的な広告配信時間帯の特定や、来店につながりやすい商圏でのターゲティング強化を図ることが可能です。
さらに、来店意欲の高いユーザー層に対してより魅力的な広告メッセージや特典を提供すれば、実店舗への来店促進を効率的におこなえるでしょう。
Google広告の来店コンバージョンの導入条件
来店コンバージョンの導入条件として挙げられるのは、次の5つです。
- アカウントがGoogleマイビジネスと連携している
- 店舗が利用対象となる国に所在している
- 利用対象外となるカテゴリに該当していない
- クリック数やインプレッション数、実店舗への来店数が十分である
- 住所アセットかアフィリエイト住所アセットが有効になっている
それぞれ解説します。
アカウントがGoogleマイビジネスと連携している
実店舗のデジタルマーケティングにおいて、Googleマイビジネスの適切な設定は必要不可欠です。
来店コンバージョンの計測有無に関わらず、まずはこの基盤となる設定を確実におこなうことが重要です。特にGoogle広告アカウントとGoogleマイビジネスの連携は、効果的な店舗プロモーションの第一歩となります。
来店コンバージョンの計測を開始するためには、下記に挙げるGoogleマイビジネスの前提条件があります。
- 対象国内での複数店舗の運営実績(具体的な適用可否はGoogleへの確認が必要)
- 各店舗のビジネス情報のGoogleマイビジネスへの登録
- 登録された店舗の90%以上でのオーナー確認の完了
一般的なコンバージョン計測とは異なり、来店コンバージョンの計測にはこれらの厳密な条件があり、すべてのアカウントですぐに利用できる機能ではない点に注意が必要です。
店舗が利用対象となる国に所在している
来店コンバージョンは、現在27ヵ国で利用可能です。日本を含む主要国(オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカなど)の他、アジア圏ではマレーシア、シンガポール、台湾などが対象です。
各国の利用条件や規制に合わせてサービスが提供されており、対象国内の店舗であることが導入の必須条件となります。
利用対象外となるカテゴリに該当していない
特定のビジネスカテゴリには、プライバシーやセンシティブな内容への配慮から来店コンバージョンの利用が制限されています。
具体的には、ヘルスケア関連、宗教、性的なコンテンツを扱うビジネス、および子供に関連するビジネスなどが対象外です。これらの制限は、ユーザーのプライバシー保護と適切な広告運用を確保するために設けられています。
クリック数やインプレッション数、実店舗への来店数が十分である
来店コンバージョンの測定精度を確保するためには、一定量以上のデータが必要です。
具体的な必要データ量は広告主によって異なりますが、広告のクリック数、インプレッション数、そして実際の店舗への来店数が十分にあることが求められます。これらのデータが蓄積されることで、より正確な来店コンバージョンの測定と分析が可能となります。
住所アセットかアフィリエイト住所アセットが有効になっている
Google広告では、住所アセットまたはアフィリエイト住所アセットを適切に設定し、有効化する必要があります。特に複数の店舗がある場合、各店舗を正確に区別できるよう、これらのアセットを適切に設定することが重要です。
また、キャンペーンや広告グループレベルでこれらのアセットが無効化されていないことを確認する必要があります。店舗拠点が多いほど、来店コンバージョンのデータ取得の可能性も高まります。
Google広告の来店コンバージョンを使用できる配信手法
来店コンバージョンを使用できる配信手法には、次のようなものがあります。
- ローカル検索広告
- ローカル在庫広告
- P-MAXキャンペーン
- ディスプレイロケーション広告
それぞれ解説します。
ローカル検索広告
「ローカル検索広告」は、Google検索やGoogleマップでのローカル検索に対して配信される広告です。
画像引用元:ローカル検索広告について – Googleヘルプ
来店意欲の高いユーザーが「買いたい」「利用したい」と思ったときに、スマ-トフォンやタブレットを使って検索する瞬間をとらえ、直接アプローチ可能な点がこの広告のメリットです。来店数に加えて、問い合わせ電話数も最適化対象として含めることができます。
ローカル在庫広告
画像引用元:ローカル在庫広告の概要 – Google Merchant Center ヘルプ
「ローカル在庫広告」は、店舗付近のユーザーがGoogle検索で商品を探した際に、実店舗の在庫状況が表示される広告です。
この広告を使うと、ユーザーは実際に店舗に訪問することなく在庫状況を確認できます。「後日店舗受取可」機能を使用することでオンラインでの予約と後日の店舗受け取りも可能です。
P-MAXキャンペーン
画像引用元:パフォーマンス マックス キャンペーンがすべての広告主に開始 – Ads & Commerce Blog
「P-MAXキャンペーン」を活用すると、GoogleマップやGoogle検索だけでなく、YouTube、Googleディスプレイネットワーク、Gmail、Discoverなどさまざまな配信面に広告を表示できます。
また、機械学習によって自動で配信面を作成し、最適化されたユーザーに配信できるという特徴があります。
ディスプレイロケーション広告
画像引用元:住所表示オプションを使って来店を増やす – Google 広告 ヘルプ
「ディスプレイロケーション広告」は、Googleディスプレイネットワークで配信される広告です。
通常のバナー広告やレスポンシブディスプレイ広告に住所アセットを追加でき、セール情報などとセットでビジュアの訴求が可能です。潜在層への来店促進に効果的な広告といえます。
Google広告の来店コンバージョンの設定方法
ここでは、来店コンバージョンの設定方法を3つのケースで紹介します。
住所アセット・アフィリエイト住所アセットの設定方法
実店舗を直接運営している場合は「住所アセット」を、他社の店舗内で商品やサービスを展開している場合は「アフィリエイト住所アセット」を使います。
住所アセットの設定方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
※関連記事: Google広告の住所アセット(旧アフィリエイト住所表示オプション)とは?
Googleビジネスプロフィールを利用中なら、「別のビジネスプロフィールマネージャアカウントへのアクセス権をリクエスト」を選択し、承認を受けることで連携が可能となります。
来店コンバージョンの確認方法
適切な設定を完了し、必要な利用条件をすべて満たしている場合、システムが来店コンバージョンのデータを自動的に収集し始めます。
データの反映までには若干の時間を要しますが、「キャンペーン」から「分析情報とレポート」の項目を開き、レポートエディタから「実店舗への来店」をクリックすると確認ができます。
こちらで来店に関する情報が正しく表示されているかを確認しておくとよいでしょう。表示されていれば、来店コンバージョンの計測が正常に機能していることを意味します。
診断ページの確認方法
来店コンバージョンのレポートで疑問点や不明点が生じた際は、診断ページを活用することで詳細な分析が可能です。
管理画面の目標アイコンをクリックし、セクションメニューから「コンバージョン」をクリックします。対象の来店コンバージョンのアクション名をクリックして「来店」ページを開いたあと「診断」をクリックすることで情報の確認ができます。
この診断ページでは、来店コンバージョンに関する重要な指標と状況を包括的に把握できます。
主要な確認項目は、下記のとおりです。
- 現在の運用状況の確認:来店コンバージョンレポートの現在の状態が一目でわかります。また、アカウントと地域の連携状況(住所アセットやアフィリエイト住所アセットの設定状態)も確認可能です。この情報は広告運用の基盤となる重要な指標として活用できます。
- キャンペーンと店舗データの状況:住所アセットを活用しているキャンペーン数が表示されます。来店データの集計は住所アセットが設定されているキャンペーンのみが対象となるため、この数値は重要な指標です。例えば、全キャンペーンのうち一部のみが住所アセットを使用している場合、来店効果の測定に漏れが生じている可能性があります。
- 店舗の拠点情報の確認:店舗の拠点情報確認は来店コンバージョンの測定において基礎となる要素です。認証完了率が低い場合、データの正確性に影響を与える可能性があります。
- データ品質とトラッキングの確認:プライバシー基準を満たし、適切な来店コンバージョンレポートを作成できるだけの十分なデータ量があるかどうかが「データのしきい値」として表示されます。データ量が不十分な場合、統計的な信頼性が確保できない可能性があるため、注意が必要です。
- コンバージョン設定の詳細:アカウントの来店コンバージョンの設定状況を確認できます。具体的には、カスタムのコンバージョン値が設定されているかどうか(コンバージョン値レポートやスマート自動入札での活用のため)が表示されます。投資対効果(ROI)の測定や最適化のためにも、適切なコンバージョン値の設定が必要です。
これらの診断データを定期的に確認し、適切に活用することで、来店施策の効果測定や改善点の把握が容易になり、より効率的なキャンペーン運用が可能となります。
まとめ
Google広告の来店コンバージョンは、オンライン広告の効果を実店舗への来店数として可視化できる重要な機能です。
この機能は、ユーザーのGoogleアカウントの位置情報を活用し、広告接触から実際の来店までを追跡することで、マーケティング施策の効果測定を可能にします。来店コンバージョンの導入により、実店舗への来店促進、効果的な広告クリエイティブの制作、そして自動入札の最適化といったさまざまなメリットがあります。
ただし、この機能を利用するためには、Googleマイビジネスとの連携や対象国での店舗運営、十分なデータ量の確保など、いくつかの重要な条件を満たすことが必要です。
配信手法としては、ローカル検索広告、ローカル在庫広告、P-MAXキャンペーン、ディスプレイロケーション広告などが活用可能です。設定においては、住所アセットやアフィリエイト住所アセットの適切な設定が基本となり、診断ページを活用することで運用状況や改善点を把握できます。
オンラインとオフラインのマーケティングを効果的に連携させ、より精度の高い広告運用を実現するためにも、来店コンバージョンの導入を検討してみてはいかがでしょうか。