LP制作において、ヒアリングシートはクライアントの要望を知る手がかりになりうるものです。情報を整理したしっかりとしたヒアリングシートの作成が、そのあとの制作作業を左右するといっても過言ではありません。
この記事では、ヒアリングシートに必要な項目と作成時のポイントをご紹介します。
目次
LP制作のヒアリングシートとは
ヒアリングシートは簡単にいうと、クライアントの要望を聞き、まとめたものです。LPを制作するうえでヒアリングシートは欠かせません。クライアントの要望を把握したうえ、さまざまな共通認識を持てるからです。これがあるとないとでは、そのあとの成果に大きな違いが出てきます。
LP制作を進めるうえで、クライアントがどのような意向なのか知っておくことは必須です。そのためにはヒアリングシートに必要な項目を記載しておく必要があるでしょう。ヒアリングシートの作成方法も工夫が必要かもしれません。
LP制作におけるヒアリングシートの重要性
LPを制作するときは、クライアントが訴求したい商品やサービス、ターゲット、優先的にどのような要素を打ち出すか。また予算や納期、全体のトンマナなどクライアントが何を望んでいるのかをまとめる必要があります。その際にヒアリングシートを作成すると、要件のすり合わせができるようになるのです。
とはいえ、ヒアリングシートがすべてではありません。言葉は人によってニュアンスが異なるため、記載内容だけだとクライアントと制作サイドの解釈が異なる可能性があるのです。ですので、ヒアリングシートを基本としながら、直接話して認識を確認する必要もあります。
例えば、「若者に受けそうなページ」という要望があったとします。「若者に受けそうな」という解釈は人それぞれ異なります。ポップなイメージを持つ人もいれば、クールなものを想像する人もいるかもしれません。そのため、「若者に受けそうな」がどのようなものなのか、具体的に確認する必要があるのです。
ベンチマークとなるLPや色使い、フォントなどできるだけ掘り下げておくと、双方の認識のズレを防げるのです。クライアントが満足するLPを制作するためにも、ヒアリングシートの作成は重要になるのです。
LP制作のヒアリングシートに必要な項目
では、ヒアリングシートを作成するとき、初めての方はどのようなことを記載すればいいかわからない方もいるでしょう。
最低限必要な項目は8つありますので、以下で解説します。
基本情報
まずは基本情報を押さえましょう。WEBサイトの種類や事業内容、ターゲット、最終的なゴールはどこに置くか、そのLPは新規に制作するのか、リニューアルなのか、クライアントの事業などの強みなど、細くヒアリングしておくと、あとから確認せずに済むので結果として効率化につながります。ヒアリングシートを作成するうえで、基本情報はできるだけ丁寧に記載することがおすすめです。
サイトの種類としてはLP、ECなどいくつかの選択肢をあらかじめ設けておくとスムーズに進みます。また、LPの基本カラーやデザインをイメージするうえで事業内容が大事な要素になります。大人向けの高級ブランドの服を販売する企業のサイトでしたら、クールでかっこいいイメージを持つ方が多いと思います。最終的なゴールを記載する際には、プレビュー数、制約数などの数値を具体的にヒアリングすることも重要。目的を達成するためにどうすればいいか、決めるときの判断材料になるのです。
制作の目的
ヒアリングシートには、LP制作の目的も記載しましょう。そのLPを制作することで最終的にどのようなことにつなげたいのか、そこを明確にしておく必要があります。ここでは以下の項目をあらためて確認しておきましょう。
まずはLPを通じて獲得したいことです。商品の購入やサービスの利用の他、会員登録や資料の請求などが考えられるでしょう。次にそれを獲得したときの数値目標です。売上高を何割アップしたい、会員の登録者数を何人以上など、どのような成果を数字として具現化したいかを明確にしてください。
さらにLP制作が必要になった理由も重要です。LPの制作やリニューアルをおこなう場合、クライアントには相応の課題があるはずですので、その課題次第でLP制作で解決できないこともあります。クライアントの課題を洗い出すことはとても大切です。
デザイン
続いてデザインについてもヒアリングシートに記載します。実のところ、デザインはなかなか難しい部分で、イメージというのは言語化しにくく、具体的な形になりにくいのです。したがって、お互いの齟齬が発生しやすいところでもあります。しかしLPの印象、LPの成果はデザイン性が大きく影響します。
当然、顧客満足度にもつながるため、ヒアリングシートで具体化しておくことが極めて重要になります。デザイン要素でヒアリングすべき事項は、企業、ブランドのイメージカラーの他、LPで使用する画像素材の内容、ベンチマークにしたいLPやそこから取り入れたい要素などです。
デザインに関しては、細かく確認し、慎重に認識合わせをおこなうことで、そのあとの制作工程が順調になるでしょう。
コンテンツ
コンテンツとしてヒアリングシートに盛り込みたいのは以下の項目です。
まずは必要なコンテンツです。そしてそのコンテンツはすでに画像などの素材が揃っているのか、これから揃えるのか。クライアントはどのようなコンテンツを用意するのか、制作サイドではどのようなコンテンツを作る必要があるのか。他にレイアウトをどうするか、コンテンツはどれくらいの頻度で更新するか、内容・順番、コンテンツはクライアントと制作サイドのどちらが用意するかなどを決めましょう。
仕様
広い意味で、LP制作の仕様とはページのなかで達成したい項目を指します。そのLPにどのような要素が必要なのか、どのような機能を備えたいのか。また、何ページのLPになるのかなどの規模感を示すこともあります。
LPの仕様を考えるとき、明確にしておきたい物としてはフッター、ヘッダー、タブの有無や必要な機能(チャットボット、リンク、フォームなど)。
LPの仕様を明確にしておくことは、制作費用や納期にも多大な影響を与える要素です。同じようなボリューム感のLPでも、どのような機能を備えるかによって、制作期間や制作費用が異なってきます。仕上がりのLPをイメージするためにも仕様の明確化は重要なことです。ヒアリングシートの作成時には仕様を明確化することが大切です。
素材
LPを制作するうえで必要になる素材も、ヒアリングシートに盛り込みたいポイントでしょう。素材の項目として具体化したいのは画像やテキストの他、企業ロゴなど、どのような素材が必要なのか明確化することが必須となります。そして、それらの素材はクライアントに提供してもらえるかどうかも判断しましょう。例えば、企業ロゴなどはクライアントが持っているはずです。
もう1つ確認したいのが必要な素材を集めるために追加作業が発生するか否かということです。例えば、新たに撮影や取材の必要があるのなら、別途費用になるでしょう。納期にも関わってきます。
素材の提供の有無を曖昧にしてしまうと、後々金額面でのトラブルにつながる可能性があります。クライアントとすればあとから「別途、撮影費用が必要」といわれても「そんな話は聞いていない」と戸惑ってしまうかもしれません。
クライアントから素材を提供してもらうにしても、準備が間に合わずに納期のズレが発生する恐れもあります。この点も含めて、素材については綿密に打ち合わせておきましょう。
環境状況
LPを制作し、運用するには環境状況の確認も大切になります。どのサーバーやドメインを利用するか、環境状況の確認が必要になります。環境状況としては、次の項目を確認しておきましょう。
まず確認すべきは、新たなサーバーやドメインが必要か否か、という点です。場合によっては、制作サイドで新たなサーバーやドメインを準備する必要があるでしょう。もしもサーバーやドメインが用意してある場合は、それらの契約内容も確かめておきましょう。
環境状況の確認は、ヒアリングシートの項目を埋めるなかでも簡単な作業です。しかし、LPを制作し、運用するうえでは欠かせないことですので、忘れないようにしてください。
予算
LPの制作に際して、クライアントがどの程度の予算を想定しているか確認しましょう。当然のことですが、ビジネスとして取り組む以上、そのLP制作でどれくらいの売り上げや利益が見込めるかを判断する重要な要素になります。
どのような機能を備えて、どのような素材を揃えるかなど、作業範囲によってLPの制作費用は大きく異なってきます。ヒアリングすることで、かかる費用のざっとしたイメージは可能になります。
実際にかかった費用とクライアントが想定していた予算に差があると後々、トラブルのもとになります。とはいえ作業量に合わない額で受注してしまうと、制作サイドが損をしてしまいます。クライアントの予算感も考慮しながら、対応可能な作業範囲を説明し、上手に交渉しましょう。
納期
納期も予算同様、クライアントの希望納期を考えつつ、制作サイドが可能な納期とのバランスを取りましょう。LP制作はさまざまな工程があります。そのそれぞれにどれだけの時間が必要か、ざっとした目安があります。
まずはクライアントの希望納期から逆算して、必要な作業日数を計算して希望納期に間に合うか否か、大まかに判断ができます。極端にタイトな納期を求められた場合、制作サイドにかかる負担が甚大なものになってしまう可能性が大きいのです。また、タイトな納期を承諾しても、実際に作業してみたら間に合わなかった、などの事態も考えられます。
制作サイドの負担を低減しつつも、クライアントが納得するように充分に話し合いをしましょう。
LP制作のヒアリングシートを作る際のポイント
LP制作を受注するあたり、ヒアリングシートを作成する際にはどのようなことに気をつければよいでしょうか。「案件に合わせた基本項目を設定する」、「改善点がないか定期的に見直す」、「専門用語を使いすぎない」の3点が挙げられそうです。
案件に合わせた基本項目を設定する
ヒアリングシートは、案件に合わせて基本項目を設定しましょう。これまでに紹介したすべての項目が必要なわけではありません。ヒアリングを実施する前にわかっていることもあるでしょうし、LPの内容から考えて、確認する必要がない項目もあるでしょう。
もしも制作サイドが別案件でヒアリングシートを使っている場合も考えられます。すでにあるヒアリングシートを新たにLP制作にも用いる場合は、それに即した項目の付け足しや不要な項目の削除も必要です。適切な項目を満たしたヒアリングシートの作成を心がけましょう。
複数の媒体で準備をする
ヒアリングシートは、複数の媒体で準備するとよいでしょう。リモートで打ち合わせをおこなう場合は、紙媒体では対応できません。とはいえ、紙媒体を用意したほうが効率的な場合もあります。クライアントの環境に合致した媒体で対応することで、効率的になるうえ、満足度の向上にもつながるでしょう。
GoogleスプレットシートやExcelなどでインターネット上にヒアリングシートの元原稿を保存していくのがベストです。そうすれば電子でも紙媒体でも対応できるようになります。その際、権限を共有しておくと、インターネット上での書き込みが可能になり、プリントアウトして紙媒体での利用が可能になります。
改善点がないか定期的に見直しをおこなう
LPを制作するなかで、ヒアリングシートは定期的な見直しをおこない、改善点の有無を確認するのがおすすめです。実際にヒアリングシートを使っているうちに、実は重要ではなかった項目に気付くこともあります。もちろん、事前に項目設定していなかったものの、制作に必要な項目が見つかるケースがあるかもしれません。ヒアリングシートは作りっぱなしにしないで、必要が生じたら改善するようにしてください。
専門用語を多用しない
WEBは専門用語の多い業界です。しかし、ヒアリングシートには専門用語の使いすぎは避けてください。制作サイドにとっては、日常的に目にする専門用語であっても、クライアント側には見慣れない言葉であったりするからです。ヒアリングシートにクライアントが知らない専門用語が出てくると、その意味を調べるのに時間がかかり、結果として効率が下がってしまいます。
クライアントが理解できない用語を用いると、すり合わせ事項を確認できず、必要な情報が共有されない恐れもあるのです。ヒアリングシートはもちろんですが、クライアントとの打ち合わせなど、コミュニケーションの場では専門用語はできる限り使わないのが原則です。誰でもわかりやすい言葉に噛み砕いて説明する配慮が必要です。
専門用語をどうしても使わなくてはならない場合は、メールで補足したり、用語の説明などをすることで、クライアント側の負担も減るでしょう。
質問や提案は積極的におこなう
ヒアリングをおこなう際は、業務内容で不明なことはクライアントにどんどん質問してください。他社のLPを制作するのですから、先方の事業内容がよくわからないのはあたり前の話。そんななかで質の高いLPを制作するには、クライアントの事業内容や商品について理解を深める必要があります。
クライアントがどのような分野で事業をおこなっているのか、事前のリサーチは必要不可欠です。しかし、それでも不明点があるときはクライアントに確認してください。一方的な解釈で制作作業を進めると、認識の相違が発生する可能性があります。クオリティの高いLPを作るためにも、不明点は解決しましょう。
また、クライアントにヒアリングをおこなうときは、質問だけでなく積極的な提案もおこなうのが理想です。顧客はLP制作に疎い場合もあります。想像しているイメージが制作可能な範囲を超えている可能性もあるでしょう。それに対して「方法は異なりますが、こうすれば近い内容で制作できます」と提案ができれば、クライアントも安心するでしょう。さらにクライアントが望むLPは、ユーザー目線を忘れて、企業目線に偏りすぎてしまうことがあります。そうした場合も、制作サイドからの提案で、本来の目的を満たしたLPに近づけることがあります。
ヒアリングシートヒアリング前に記入してもらう
LP制作をおこなうとき、実際にヒアリングを実施する前にヒアリングシートを記入してもらうようにしてください。実際のヒアリングは、ヒアリングシートを見ながら記載内容を詳しく確認するための機会だからです。
それにヒアリングの際に記入してもらったのでは、時間や手間がかかって効率の悪化につながります。判明している内容は事前に記入をお願いし、そのうえで細かな部分を詰めるようにすれば、進行がスムーズになります。
制作会社への作成依頼もおすすめ
これまでヒアリングシートの作成のコツについて解説してきました。とはいえ、自社内でLPを制作する場合、慣れていないうちはなかなかうまくいかないことも考えられます。そうした場合は、制作会社に作成を依頼することも検討してみましょう。
WEB制作会社は、LP制作のプロ集団です。当然、ヒアリングシートの作成も任せられますし、プロが作ったヒアリングシートを参考にすれば、項目や記載の方法などを学べて、次回以降に活かせるかもしれません。
まとめ
LPを制作するうえで、ヒアリングシートは欠かせないものです。クライアントが何を望んでいるのかを知る道標になるからです。しっかりとヒアリングしておくことで、そのあとの制作実務の効率化やLPの仕上がりそのものにも関わってくることが考えられます。
ぜひ、この記事を参考にしてヒアリングシートを作成し、質の高いLP制作につなげてください。