リスティング広告は掲載順位がキーポイント。求めるクリック数やコンバージョン数を獲得するためには「競合分析」が大事です。本記事では競合分析の手順やポイント、また競合分析をする際に使える便利ツールについてご紹介します。
※関連記事: 競合分析ツール「Similarweb(シミラーウェブ)」とは?使い方も解説
目次
リスティング広告で競合分析が必要な理由
リスティング広告は特定のワードに入札していく検索連動型広告です。つまり、競合による同じキーワードやターゲティングでの入札が増えるとクリック単価が高騰します。クリック単価が高騰すれば自社広告の露出は分散されるでしょう。
すると、クリック率やコンバージョン率の低下につながります。同業他社や新規参入の状況によって自社の運用成果に大きな影響が出てしまうのです。だからこそ、競合分析でマーケット状況を見極める必要があります。
リスティング広告の競合分析で見るべきポイント
リスティング広告の競合分析でチェックすべき項目は4つあります。それぞれ以下で詳しく見ていきましょう。
競合広告の出稿キーワード
まず競合広告の出稿キーワードが何かを把握する必要があります。たとえば、新築戸建て分譲のリスティング広告で考えてみます。多くの広告主が「新築」、「戸建て」というキーワードに出稿するはずです。
Yahoo!JAPANやGoogleで「新築」、「戸建て」とキーワードを入れて検索するといくつかのリスティング広告が掲出されます。「自社広告より競合広告のほうが常に上位に掲出されている」、「競合広告が多く、自社広告がなかなか掲出されない」などの場合は「入札単価を上げる」、「キーワードを変更する」などの施策も考えなければなりません。
競合広告の内容と価格帯
競合広告の内容や商品、サービスの価格帯も調査しましょう。リスティング広告で流入が見込めるユーザーは特定のキーワードで検索しているので、購入意欲が高い人たちです。当然、複数の商品を見比べます。自社広告を見たあと、競合広告も見る可能性は十分にあります。
競合と比べて価格に優位性があれば価格訴求、サービス内容が充実しているのであればサービス内容訴求をすべき。競合広告の内容や価格帯を見て、差別化を図るのはリスティング広告においてとても重要な施策です。
競合広告のランディングページ
リスティング広告とランディングページは密接に関係しています。競合広告の内容と価格帯をチェックしたら、次はランディングページも調査するのがベター。
「リスティング広告文とランディングページで表現している内容に相違はないか」、「ユーザー目線でそのランディングページが魅力的か」などがチェックポイントになります。魅力的な表現方法は参考にして、自社のランディングページに取り入れていくのも一つの手法です。
競合広告のオークション情報
Yahoo!広告の「オークションインサイト」、Google広告の「オークション分析」で競合広告のオークション情報を確認することができます。
自社が配信しているターゲットに対し「競合はどれほど露出されているのか」、「自社広告より上位に掲出されている割合は」などを調べることができる便利な機能です。積極的に活用して、競合広告の状況を把握しておきましょう。
リスティング広告で競合分析をする手順
リスティング広告で競合分析をする手順は以下のとおり。大きく分けて6つの手順がありますが、ひとつずつ順番にステップを踏んでいけばそれほど難しいものではありません。早速確認してみましょう。
競合他社をリストアップする
最初にすべきことは競合他社のリストアップです。企業としては会社の規模やターゲット、サービス内容が類似する競合他社をリストアップしていることでしょう。
しかし、リスティング広告の競合となると、そのリストとは少し違った結果になることもあります。たとえば、自社をECサイトでリーズナブルな化粧品を販売する中小企業だとします。テレビCMを頻繁に展開し、高級化粧品を販売している大手企業は競合ではないと判断しているかもしれません。
ところがリスティング広告となると、自社で出稿している「コスメ」や「美容」などのキーワードにその大手企業も入札しており、ランディングページではキャンペーン価格と称して同じような価格帯で販売しているケースもあります。
そうなると、リスティング広告出稿ではこの大手企業を競合ととらえ、何かしらの施策をしなければなりません。リスティング広告には独自の競合他社のリストアップがあると覚えておきましょう。
競合他社の特徴や訴求内容をチェックする
リスティング広告における競合他社のリストアップが終わったあとは、先述のとおり広告の内容チェックです。まずは価格。キーワード検索で商品を探すユーザーは、当然価格が安いものを求める傾向にあります。とはいえ、競合が自社より安く商品を販売していても、自社の商品の価格を合わせて下げる必要はありません。価格で負けるのであれば、サービス内容や販売実績などを訴求して差別化を図ればよいのです。
重要なのは、競合他社の特徴や訴求内容をチェックして得た情報を自社の戦略に活かすことです。
競合サービスの出稿状況をチェックする
いくら競合より自社サービスのほうが安く充実していても、リスティング広告出稿で他社に流れてしまうケースは多々あります。中古車販売を展開するA社とB社で考えてみましょう。A社は保有台数1,000台。10万円台から300万円台まで多種多様な中古車を揃えています。一方、B社の保有台数は100台。価格帯は50万円から150万円です。この2社両方をすでに知っているユーザーであれば、A社のサイトを訪れるでしょう。
A社は「中古車」というキーワードにコストをかけてリスティング広告を展開。対してB社は「中古車」に加え「新車」というキーワードにも入札をしています。新車購入検討者には「新車レベルの車を中古車並みの価格で」とアプローチ。100万円ほどの新車を検討していたユーザーを獲得し「中古車でも十分だ」などの新たな価値観を提供することに成功しました。
このように、リスティング広告の戦略によって本来獲得できるユーザーが競合に流れてしまうことは頻繁にあります。したがって、自分自身でYahoo!JAPANやGoogleでキーワードを検索し、競合他社がどのようなキーワードに出稿しているかを調査するのは大事なこと。また、先述の「オークションインサイト」や「オークション分析」で競合の出稿状況を分析しておくのは極めて重要な作業になります。
競合他社の広告内容やランディングページをチェックする
競合の出稿状況と同時にリスティング広告の内容とランディングページも調査しましょう。リスティング広告では「広告見出し」、「説明文」、「広告表示オプション」が流入を左右するポイントとなります。
リスティング広告とランディングページの関連性が高ければ、広告の品質が高いと評価されるため、掲出順位も上がる可能性があります。リスティング広告をしっかりチェックしたあとはランディングページも確認しましょう。
もちろん見るだけではなく「どのようなキーワードで検索したか」、「そのユーザーに対してどのような訴求のリスティング広告を出稿しているか」、「興味をもったユーザーに対してランディングページでどのようにアプローチしているのか」など全体的な流れを確認して、自社広告に活かせるものは参考にすることです。
自社サービスと比較して差別化すべきポイントを探る
検索から流入、コンバージョンまで競合の一連の流れを調査したら、次は自社サービスとの比較。差別化すべきポイントを探ります。先で例に出した中古車販売のA社で差別化すべきポイントを考えてみます。A社の競合であるB社は新車購入検討者に対して「中古車でも十分だ」という新しい価値観を提供する戦略。
そこと差別化を図るのであれば、A社は「豊富な保有台数」や「選べる価格帯」に優位性があります。「新車」というキーワードに出稿する戦略を参考にし、訴求内容は競合を調査したうえで差別化を図りました。
分析した内容を自社のリスティング広告に反映する
最後に、これまでのステップを自社のリスティング広告に反映させていきましょう。まずリスティング広告の設定を変更させます。競合が出稿し、自社が出稿していないキーワードがあれば追加。タイトルや説明文も競合を意識したものに変更します。大きな変更があった場合は、ランディングページも改修すべきです。
留意点としては「競合他社も自社の分析をしている」ことです。リスティング広告をメインに集客している企業は、調査費用に多くのコストをかけて改善を繰り返しています。自社が分析した内容を反映させると、さらに競合は別の表現に切り替えるのが日常茶飯事です。つまり、リスティング広告の競合分析は習慣的に実践しておくことが大切になります。
競合分析で得た分析結果の活用方法
競合分析をおこなうとさまざまなことがわかってきます。そこで得た情報を自社のリスティング広告に反映させるのですが、それも多岐に渡るでしょう。なかでもポピュラーな分析結果の活用方法について、以下の4つを紹介します。
自社の広告内容やランディングページの改善
これまでにも記載してきましたが、リスティング広告の内容やランディングページの改善はわかりやすい施策の一つでしょう。
リスティング広告のタイトルや説明文は、キーワード検索したユーザーが最初に目が触れるテキストです。「競合としっかり差別化できているか」、「クリックしたくなる文言か」、「そもそも訴求内容が競合と比べて魅力的か」。求める数値に到達するまでトライ&エラーを繰り返すのも手です。
ランディングページの改善は手間やコストがかかります。しかし、ユーザーが商品を購入する重要な接点なので、競合のランディングページと見比べて手直ししていくことも必要です。
出稿するキーワードの選定
出稿するキーワードの選定にこれといった正解はありません。つまり、日常的に入れ替えを繰り返していくのがベター。とはいえ、やみくもにキーワードを増やしたり減らしたりするのはNGです。常に競合他社がどのようなキーワードに出稿しているかを頭に入れ、必要に応じて変化させていきます。
もし、キーワードの選定で思うような効果が出ていないのであれば、マッチタイプの部分一致や関連キーワードを追加してみるのもよいかもしれません。
入札戦略や入札単価の再検討
リスティング広告の運用は特定サイトへの集客が主な目的ですが、費用対効果の見直しもできます。すべての企業が多額のコストをかけて膨大な流入増につながるというわけではありません。限られたコストのなかで最大限のパフォーマンスが得られるように、入札戦略や入札単価の再検討も考えてみるべきです。
最上位を狙いたいキーワードというのは、競合もそれなりに入札単価を上げてきます。であれば、そのキーワードの入札単価を抑えて他のキーワードで最上位を狙うのも戦略の一つです。「検索」にはトレンドがあります。業界内でのアンテナを高くし「今、ユーザーはどのようなキーワードで検索して、どのようなサービスを求めているか」を素早く察知し、入札戦略を検討しましょう。
競合性における媒体選択の検討
「競合と差別化を図ってもなかなか結果につながらない」という場合は、注力する媒体を変えるのも戦略です。リスティング広告で多くの企業が出稿しているのはヤフーとGoogleですが、そのなかでもパソコンとスマートフォンなど、デバイスによって出稿数を増減させることができます。
今ではスマートフォンでの検索数がパソコンを上回っているため、スマートフォンへの出稿数を大幅に増やす選択肢も考えられます。競合がGoogleに注力していることがわかれば、自社はヤフーにコストをかけていく戦略もありでしょう。
また、思い切ってリスティング広告以外の露出を図るという選択肢もあります。ヤフーやGoogleにはディスプレイ広告もありますし、フェイスブックやInstagramその他SNS広告もあります。
競合性が高い媒体は当然、広告予算によって優劣がついてしまいます。たとえば「競合分析をした結果、限られたコストで最大限のパフォーマンスを得るためにヤフーのリスティング広告から撤退する」という判断もできるのです。
リスティング広告の競合分析に使える便利ツール
担当者が地道に手作業でリスティング広告の競合分析を進めていくのもよいですが、ツールを使うのもおすすめです。リスティング広告の競合分析に使える便利ツール4選を以下にまとめましたので、ご確認ください。
Google広告オークション分析
「オークション分析」はGoogle広告の管理画面にて無料で使えるツールです。自社広告と競合広告の掲出比較が可能。月別などの時間でセグメントして分析することもできるため「前月と比較して競合他社がどれほど出稿数を変更しているか」などの情報も確認することができます。
Similarweb
「Similarweb(シミラーウェブ)」はブラウザ上で手軽に分析ができるツール。分析したいサイトのURLを入力すると、そのサイトの1ヵ月のアクセス数や平均滞在時間、出稿キーワードなどが算出されます。無料版と有料版があります。
SEMRUSH
「SEMRUSH(セムラッシュ)」は有料ツールですが無料お試し期間があります。広告分析のほか、トラフィック分析など機能も豊富。特に自社が出稿しているキーワードに対して競合しているドメインを見つけ出す機能を搭載しており、把握できていなかった競合を見つけるのにも役立つでしょう。
ahrefs
「ahrefs(エイチレフス)」は世界で60万人が導入しているSEO分析ツール。競合サイトの検索上位コンテンツや想定流入キーワード、SNSでの反応などをチェックすることができます。世界最大級のデータ保有量を活かした被リンク分析が特徴。無料版はサイトエクスプローラーとサイト監査機能のみ利用可となっています。
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まとめ
競合分析は企業活動においてとても重要な項目ですが、特にリスティング広告ではそれが顕著に現れます。会社のネームバリューがあり良いサービスを良心的な価格で提供していても、リスティング広告では戦略次第で大きく立場が変わるのです。
「日常的に競合の動きを把握し、リスティング広告内におけるマーケットの状況を見極めること」、「競合分析から得た情報を自社広告に反映させ、トライ&エラーを繰り返して最適解を見つけていくこと」が大切です。