マーケティングをおこなう際は、市場や消費者に関する情報・データの収集が必要になります。その場合、「統計データサイト」を利用することも多いのではないでしょうか。
今回は、統計データの概要や種類について解説し、参考にしたい統計データサイトをいくつかご紹介します。WEBマーケティング・運用型広告のターゲティングやペルソナの参考になる統計資料を探している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
統計データについて
そもそも、「統計データ」とはどのようなものを指すのでしょうか。ここでは、統計データについて、調査方法を観点とした種類を含めて解説します。
統計データとは
統計データとは、ある一定集団の性質や傾向を数量的に表したものです。
例えば、国勢調査のデータは、日本国内の人口や年齢、性別、職業、学歴などの情報を集計したもので、社会状況の把握に役立ちます。また、消費者物価指数は、一定品目の価格変動を示しており、物価の推移を確認するのに役立ちます。
このように、統計データからは客観的な情報が得られるため、意思決定や問題解決に利用したり、根拠を出して説得力を持たせることが可能です。
データの種類
統計データの調査方法は、主に下記の2つに分けることができます。
- 市場規模についてわかる調査
- 消費者についてわかる調査
それぞれ解説します。
市場規模についてわかる調査
市場規模についてわかる調査では、「商品」に対しておこなわれる「市場調査」が有名です。市場調査からは、商品の需要が金額的にどのくらいあるのかを知ることができ、商品開発・企画をおこなう場合に役立ちます。
また、商品の出荷数を調査した「出荷状況調査」も利用しやすいでしょう。出荷数からは、市場状況の確認も可能です。
消費者についてわかる調査
消費者についてわかる調査には、「意識調査」と「利用調査」があります。意識調査は、「人」に対しておこなう調査で、ターゲット設計の際に活用しやすいです。
利用調査は、消費者が商品・サービスをどのくらい利用しているのか調査したもので、さまざまな立案の際に役立つでしょう。
カテゴリ別、統計データサイト一覧
ここからは、マーケティングで利用しやすい統計データサイトを紹介します。
統計データサイトは、下記の4つのカテゴリに分けることが可能です。
- 官公庁のサイト
- 広告媒体社公式サイト
- 経済・産業・法人系
- 家計・ライフスタイル系
それぞれのカテゴリ別に解説・紹介していきます。
官公庁のサイト
官公庁による統計サイトでは、総務省による「総務省統計局」と経済産業省による「RESAS(リーサス)」が有名です。
それぞれ解説します。
総務省統計局
「総務省統計局」のホームページは、総務省が運営している統計の総合サイトです。
「総務省統計局の統計データを探す」からは、次の統計データを確認できます。
- 国勢調査
- 人口推計
- 住民基本台帳人口移動報告
- 住宅・土地統計調査
- 家計調査
- 家計消費状況調査
- 消費動向指数(CTI)
- 全国家計構造調査
- 全国消費実態調査
- 小売物価統計調査
- 消費者物価指数(CPI)
- 労働力調査
- 就業構造基本調査
- 社会生活基本調査
- 科学技術研究調査
- 経済センサス
- 事業所母集団データベース
- 個人企業経済調査
- サービス産業動向調査
- 経済構造実態調査
また、「他の期間の統計を含めて探す」からは、次のサイトに移動して確認できます。
- e-Stat:政府統計のすべてを収録した統計ポータルサイト
- 統計ダッシュボード:主な統計データが視覚的にわかりやすく見られるWEBサイト
- キッズすたっと:小中学生向けの統計WEBサイト
- 政府の総合統計書:政府統計が網羅的にまとめられた報告書
トップページの左側には、日本の人口や消費者物価指数、完全失業率などの最新の公表データが記載されており、簡易的な確認も可能です。
参考元:総務省統計局
RESAS(リーサス) – 地域経済分析システム
地域経済分析システム「RESAS(リーサス)」は、経済産業省と内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局が提供している統計サイトです。
地方創生のさまざまな取り組みを情報面から支援することを目的としており、地域活性化に効果的な施策の立案・実行・検証のためなどに広く利用されています。
グラフや色付けによって統計を視覚的に閲覧できるよう整備されているため、地域ごとの大まかな分析テーマで各指標を比較したい場合などに重宝します。
広告媒体社公式サイト
WEBマーケティングで統計によく利用されるのが、広告媒体社の公式サイトです。
ここでは、ヤフーの検索トレンドとGoogleトレンドを紹介します。
マーケットトレンド情報-LINEヤフー for Business
LINEヤフー for Businessの「Yahoo!広告運用ガイド」にある「マーケットトレンド情報」では、随時トレンドデータがアップされています。
こちらから、業種別・業界別のマーケット動向データの把握が可能です。
参考元:マーケットトレンド情報-LINEヤフー for Business
Googleトレンド
検索のトレンドを知りたい場合、「Googleトレンド」の利用もおすすめです。任意のキーワード・地域・期間を設定してトレンドを抽出できるため、配信の強弱や試算の目安として利用しやすいです。
例えば、ある市場のビッグワードを調べ、検索数の増減で年間予算の月次割り振りの参考にすることもできます。また、直近のホットトピック・キーワード一覧を確認できるのも便利です。
※関連記事: Googleトレンドとは?検索トレンドから最適な広告の展開を考える
経済・産業・法人系
ビジネスに向けたペルソナ策定・マーケティングや市場の流れを把握したい場合、経済・産業・法人のデータを取り扱うサイトを利用するとよいでしょう。
主なものとしては、下記の5つが挙げられます。
- 市場規模マップ、市場規模トレンド
- 矢野経済研究所
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
- 東京商工リサーチ
- 帝国データバンク
それぞれ解説します。
市場規模マップ、市場規模トレンド
「市場規模マップ」と「市場規模トレンド(動向)」は、業種ごとの年間市場規模、前年比成長率などを視覚的に見ることができるサイトです。
表やグラフで確認でき、マーケティングの資料としても使いやすいのが特徴です。
矢野経済研究所
マーケティングリサーチ・ソリューションをおこなっている「矢野経済研究所」のサイトには、市場規模調査の実際の結果が掲載されています。
マーケティングリサーチ専門の会社によるレポートなので、かなり詳細なデータの確認ができるのが特徴です。ただし、一部には会員登録が必要なものもあるため、注意が必要です。
参考元:矢野経済研究所
三菱UFJリサーチ&コンサルティング
「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」のサイトからは、エコノミストによるマクロ経済の定点観測や分析レポートを見ることができます。
経済の見通しや、世界・国内の大きな動きを把握する際に便利です。
参考元:ライブラリ‐経済調査‐三菱UFJリサーチ&コンサルティング
東京商工リサーチ
「東京商工リサーチ」もサイトでは、大型倒産情報などが確認可能です。
また、「TSRデータインサイト」では、東京商工リサーチが長年蓄積してきた企業情報、倒産情報および公開情報などに基づき、独自の視点に立った分析をまとめて見ることができます。
参考元:東京商工リサーチ、TSRデータインサイト東京商工リサーチ
帝国データバンク
「帝国データバンク」のサイトからは、倒産情報・景気動向調査・マクロ経済見通し・業界動向などのデータを見ることができます。
東京商工リサーチと近いポジションですが、非上場でも調査対象企業のアウトライン・業績・財務調査が有料で確認可能です。
参考元:帝国データバンク
家計・ライフスタイル系
BtoCのマーケティングの際、ペルソナ策定などの参考になりそうなデータが見られるのが次の2つのサイトです。
- 生活定点-博報堂生活総合研究所
- 都道府県別統計とランキングで見る県民性
それぞれ解説します。
生活定点-博報堂生活総合研究所
「生活定点」は、博報堂生活総合研究所が運営しているサイトです。1992年から定点調査を実施しており、日常生活に関する意識調査を公開しています。
他の統計サイトに比べてカジュアルで見やすいのが特徴で、エクセル形式のデータもダウンロード可能です。調査対象は、食や労働、ライフスタイルなどが中心です。
参考元:生活定点-博報堂生活総合研究所
都道府県別統計とランキングで見る県民性
「都道府県別統計とランキングで見る県民性」は、あらゆる要素を都道府県別にランキング化しているサイトです。さまざまな都道府県別統計を比較し、県民性をデータと都道府県ランキングで表しています。
データを使用するうえでの注意点
WEBサイトに掲載されているデータは、次の3点に注意する必要があります。
- 新鮮度:いつ調査されたデータなのか
- 妥当性・信頼度:調査がどのように実施されたのか、また実施者は誰か
- 信憑度:調査対象の母数は十分か
これらをしっかり確認したうえで、マーケティング施策の材料として適切かどうかを判断することが重要です。
まとめ
統計データとは、ある一定集団の性質や傾向を数量的に表したもので、意思決定や問題解決に利用したり、根拠を出して説得力を持たせることができます。
種類としては、市場規模についてわかる調査と消費者についてわかる調査の2つがあり、適したものを選ぶとよいでしょう。
また、官公庁のサイトや広告媒体社によるサイトなどカテゴリによって統計サイトを見つけるのもおすすめです。ぜひ、今回の記事を参考にしてマーケティングに活用してみてください。